略語

AM

エーエム

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

放送(テレビ・ラジオ)

AM放送(中波ラジオ放送)

Amplitude Modulation broadcasting

中波帯の電波で番組を送るラジオ放送の呼び名。FM放送と対にして局や周波数を区別するときに使う。広域をカバーしやすい一方で雑音や難聴に弱く、災害時の継続や難聴解消のため、AM局が FM の周波数で同じ番組を流す「FM補完放送(ワイドFM)」が整備されている。

この番組はAMとワイドFMの両方で聴けるので、車の中でも入りやすい。

通信・電波

振幅変調

Amplitude Modulation

信号波の振幅に応じて電波の強さ(振幅)を変える通信方式。

出典:デジタル大辞泉(小学館)/コトバンク

音声などの信号の大きさに合わせて、搬送波(情報を乗せて運ぶ基準の電波)の振幅を変える変調方式。音声を無線で送る方式として古くから使われてきた。搬送波の周波数は一定のまま保つ。搬送波の両側に側波帯(信号の周波数分だけ上下にできる成分)が生じる。

AMは回路が単純な反面、雑音が振幅に乗りやすい。

機械・生産

積層造形(3Dプリンティング)

Additive Manufacturing

3次元モデルのデータをもとに、材料を一層ずつ付け足して立体物をつくる加工の総称。削り出す切削加工と対比される。金属・樹脂など材料や方式ごとに分類され、用語は ISO/ASTM 52900 で整理されている。試作だけでなく、複雑形状の量産部品にも使われる。

この部品は切削では作れない内部流路があるので、AMで造形する。

証券・投資

資産運用(アセットマネジメント)

Asset Management

顧客から預かった資金を株式・債券・不動産などに投資して増やす業務、またはその会社。社名に「アセットマネジメント」を含む投資信託委託会社が代表例で、運用方針を決めて信託銀行に売買を指示する。資産を保管・管理する信託銀行とは役割が異なる。

AM各社の新ファンドを比べて、運用報酬の水準も確認した。

不動産(開発・取引)

不動産アセットマネジメント

Asset Management

投資家やオーナーに代わって不動産を戦略的に運用し、価値と収益の最大化を図る業務。J-REIT(不動産投資信託)の運用会社やファンドで、物件の取得・運用方針・売却までを統括する。現場の管理を担うプロパティマネジメント(PM)と連携し、担当者はアセットマネージャーと呼ばれる。

AMがPMと賃料改定の方針を詰めてから売却時期を決める。

電波を離れても残る「AM」、委員会で付いた「AM」

方式の名前が、そのまま局の名前になった

ラジオで「AMの局」と言うとき、その二文字は通信の振幅変調(Amplitude Modulation)と同じ綴りである。偶然の一致ではない。中波放送は振幅変調で音声を載せる方式で、その方式名が放送の呼び名になった。FMも同じ成り立ちで、周波数変調(Frequency Modulation)の頭文字である。リスナーにとっては局の区別でも、もとは変調方式の違いだった。

この対応が崩れはじめている。総務省は、AM局の番組をFMの周波数でも流す「FM補完放送(ワイドFM)」を整備してきた。2021年の報道によれば、民放AMラジオ47社のうち44社が、2028年秋の再免許をめどにFM局への転換を目指している。見送る意向とされたのは北海道放送、STVラジオ、秋田放送の3局で、中継局の建設費や経営体力が理由に挙がっていた(J-CAST ニュースの記事による)。

転換が進んでも、リスナーは「AMの番組」と呼び続けるかもしれない。これは推測だが、局名や番組名に「AM」が残る例が出てきても不思議ではない。電波が振幅変調でなくなったあとも、方式を指していた二文字が局の種別を指す呼び名として使われる。通信の側では、AMは振幅変調のままである。

委員会が揃えた名前

製造のAM(Additive Manufacturing、積層造形)は成り立ちが違う。ASTM International は2009年2月、積層造形を扱う委員会F42の設立を発表した。最初に承認された規格は用語を整理する ASTM F2792 で、その後、用語は ISO/ASTM 52900 に引き継がれている(ASTM の発表および関連解説による)。それまで「ラピッドプロトタイピング」と呼ばれることの多かった技術に、委員会が「Additive Manufacturing」という名前を揃えた。

放送のAMは現場の呼び名が先にあり、電波の方式が変わっても残りうる。製造のAMは用語集が先にあり、現場の呼び名があとから寄っていった。

金融や不動産のAM(Asset Management、資産運用)は、また別の語から来ている。社名に「アセットマネジメント」を含む運用会社の略称として、AMの二文字は一般に使われている。