AP
エーピー
6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
アシスタントプロデューサー
Assistant Producer
番組制作でプロデューサーを補佐する役職。企画のアイデア出しやリサーチ、出演者への対応など、番組づくりの実務に幅広く関わるが、大きな決定の最終判断はプロデューサーが持つ。番組によっては台本を書いたり、撮影を手伝ったりもする。
今回の特番はAPが出演者との調整から短い台本の執筆まで受け持っている。
アクセスポイント
Access Point
ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどの無線端末を、有線LANに接続、また無線端末同士を接続する中継機器である。
Wi-Fiの電波と有線LANをつなぐ中継機器。スマートフォンやパソコンなどの無線端末を、有線のネットワークに接続する親機の役割を担う。ルーター機能を持たないブリッジタイプと、持つルータータイプがある。
会議室で電波が弱いので、廊下の天井にAPを1台追加した。
AP通信
The Associated Press
ニューヨークに本部を置くアメリカの非営利の通信社。1846年設立で、加盟する新聞社や放送局などが運営する協同組合の形をとる。記事・写真・映像を報道機関に配信している。
この写真はAP提供なので、掲載時にクレジットを入れてください。
AP(アドバンスト・プレースメント)
Advanced Placement
The AP Program offers college-level courses and exams that you can take in high school.
米国の非営利団体College Boardが運営する、高校生が大学レベルの内容を学べる科目と統一試験のプログラム。試験は毎年5月に実施され、一定以上の点数を取ると、米国のほとんどの大学で単位認定や上級科目への配置が受けられる。
海外大学を受けるなら、高校のうちにAPで微積分と化学を取っておくと出願で有利になる。
指定参加者
Authorized Participant
ETF(上場投資信託)の運用会社と直接、設定・交換(発行と解約)を行える証券会社などのこと。現物株のバスケットとETFを交換でき、ETFの市場価格と対象指数がずれたときに裁定取引で差を埋める。設定された新しいETFは取引所を通じて売買される。
指定参加者(AP)が裁定取引を行うので、ETFの市場価格は対象指数から離れにくい。
買掛金
Accounts Payable
商品や原材料を掛けで仕入れ、まだ支払っていない代金を表す負債の勘定科目。貸借対照表では流動負債に入る。経理部門では支払いの処理を行う担当や部署も「AP」と呼び、請求書の受領から支払いまでの業務を指す。売掛金(AR)の反対側にあたる。
月末の締めまでに、仕入先の請求書をAPに回してください。
報道フロアで三つのAPが重なる
放送局の報道フロアで、ディレクターが「APに連絡しといて」と言ったとする。連絡する先は、隣の席のアシスタントプロデューサーかもしれない。ニューヨークの通信社かもしれない。天井のWi-Fi機器を管理している担当者という線もある。三つとも、略せばAPになる。
偶然にしては、重なり方が出来すぎている。通信社のAPが放送局に映像を売るようになった時期には、はっきりした年がある。
AP通信が放送局向けの映像ニュースに乗り出したのは1994年だ。ロンドンを拠点にAPTVを作り、1990年代末には競合のWTN(Worldwide Television News)を買収した。その後は「AP Video」と呼ばれ、APTNという略称は公式には使われていないが、放送局では今もそう呼ぶ人が多いという。AP通信は、放送局に映像素材を売る側にもなったわけだ。
もっとも、通信社としてのAPの出自を見ると、放送とは縁の遠い話だ。設立は1846年。ニューヨークの日刊紙5紙が、ニュースを集める費用を分け合うために作った。設立の経緯は資料により異なり、英語版ウィキペディアは、米墨戦争の報道の送信費としている。いまも加盟社が運営する協同組合の形をとる。もとは新聞社が割り勘をするための仕組みだった。
一方、制作現場のAPは、プロデューサーを補佐する役職である。企画のリサーチ、出演者への対応、撮影の手伝い。英国の映像業界の人材育成団体ScreenSkillsにも、アシスタントプロデューサーの仕事として載っている。ただ、どこまでを任されるかは番組によって違う。同じ「AP」という肩書きで、短い台本まで書く人もいれば、撮影の段取りが中心の人もいるだろう。
三つめの機器は、NTT東日本のビジネス用語集では、無線端末を有線LANにつなぐ中継機器と説明されている。
こうして並べると、三つはまったく別の素性だ。割り勘から生まれた協同組合、番組ごとに仕事の幅が違う役職、天井の箱。共通するのは、どれも「何かと何かの間」で働いていることくらいか。通信社は出来事と報道機関の間、機器は無線と有線の間、アシスタントは決める人と動く人の間。ただしこれは並べてみての見立てで、どの資料にも書かれてはいない。
取り違えを防ぐのは、結局、前後の言葉だろう。「APの写真」なら通信社、「APが入らない」なら機器、「APが出演者に電話している」なら人だ。画面の隅に「映像提供 AP」と出ている下で、天井のAPが通信を中継し、隣の席ではAPが電話をかけている。報道フロアには、その三つが同時にいても不思議ではない。