用語

アセット

アセット

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

ゲーム・eスポーツ

ゲーム素材

game asset

ゲームを組み立てる部品となるデータ全般。3Dモデル、テクスチャ(表面に貼る画像)、効果音やBGM、アニメーション、スクリプトなどを指し、ゲームエンジンに取り込んで配置する。エンジンの画面や制作現場では、素材ファイル一つひとつを「アセット」と呼び、外部ストアで購入する出来合いの素材も同じ呼び方をする。

背景のアセットは先に仕上げて、キャラクターのアセットは来週エンジンに取り込む予定です。

証券・投資

資産(運用対象)

asset

投資対象の資産(アセット)の分類。

出典:金融・証券用語解説「アセットクラス」(大和証券)

投資や運用の対象になる資産。株式、債券、不動産、現金、コモディティ(金・原油など)が代表で、値動きの性質が近いものをまとめた分類が「アセットクラス(資産クラス)」。資産運用では、アセットクラスごとの配分を決めて分散投資し、変動リスクを抑える考え方をとる。

リスクを下げるため、アセットの配分を株式と債券で半々にしました。

IT・システム開発

IT資産

IT asset

企業が保有・利用するIT関連の管理対象。PC・サーバー・ネットワーク機器などのハードウェア、OSやアプリケーションなどのソフトウェア、ライセンスを含む。台帳で保有状況を把握し、無許可ソフトの検知、パッチ適用漏れの発見、ライセンスの過不足やコストの管理に使う。これを体系的に行う取り組みがIT資産管理(ITAM)。

退職者のPCがアセット台帳に残っていたので、ライセンスを回収して棚卸しを更新した。

インターネット広告

広告アセット

ad asset

広告を組み立てる部品となる見出し・説明文・画像・動画などの素材の単位。Google広告では、アセットを複数登録しておくと配信時に組み合わせが自動で選ばれ、ユーザーごとに成果の出やすい広告が表示される(レスポンシブ検索広告では見出し最大15個、説明文最大4個)。同じアセットをディスプレイやYouTubeなど複数の広告形式で共有して使える。

レスポンシブ検索広告の見出しアセットを増やして、組み合わせごとの成果を比べた。

不動産(開発・取引)

投資対象の不動産(物件)

real estate asset

不動産投資で、投資や運用の対象となる個別の物件、またはその用途区分。オフィス・住宅・商業・物流・ホテルなどをそれぞれ「アセット」と呼び、値動きや求められる利回りがアセットごとに異なるため、用途別に分けて比較・選別する。

このファンドは物流アセットの比率を高め、オフィスアセットは新規取得を見送る方針です。

「十分」が語源のアセットは、もとは複数形だった

ゲーム制作の現場では「背景のアセットが上がった」と言う。IT部門の台帳では、PCやライセンスが1行ずつ1件のアセットになる。金融では、株式や債券がアセットと呼ばれる。三つの現場に共通するのは、「手元にあって、価値のあるもの」という感覚だろう。ところが語源をたどると、この語の出発点は、もっと切実な場面にあった。

「十分にある」から「資産」へ

語源辞典 Online Etymology Dictionary によると、英語の asset は16世紀の1530年代に、アングロ・フランス語の asetz(のちに assetz)から入った。元は古フランス語の assez で、意味は「十分、満足、償い」。さらにさかのぼると、ラテン語の ad satis、つまり「十分なところまで」に行き着く。

最初の意味は法律用語で、死んだ人の借金や遺贈を支払うのに足りるだけの財産だった。財産が足りるかどうかが問われる場面で、足りた分だけを指していたことになる。同じ辞典によれば、1580年代には「現金に換えうる財産」という広い意味に変わっている。「十分」を意味する語が、換金できる財産の総称になった。

複数形から単数形が生まれた

同じ辞典の記述では、法律家たちは16世紀にこの語を assets と複数形で借用した。フランス語の assez は複数形ではなかったが、語末の s が英語の複数形のように聞こえたため、19世紀になって s を取った単数形 asset が作られたという。「アセット1個」という数え方は、語源から見れば後からできた使い方である。

その単数形を、いまの現場は数える単位として使っている。ゲーム制作では、素材ファイル一つひとつがアセットで、「背景のアセットが上がった」のように数える。IT資産管理では、台帳の1行ごとに1件のアセットがある。金融の「アセットクラス」は事情が違い、株式や債券といった種類のまとまりを指す分類の名前で、数える単位ではない。

素材ファイルを1つ、また1つと数えるゲームの現場と、種類をまとめて呼ぶ金融の現場。この違いは、複数形で借りた語から、19世紀に s を落として単数形を切り出した来歴と重なって見える。