AT
エーティー
5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
自動変速機(オートマ)
Automatic Transmission
車速やエンジンの回転速度に応じて変速比を自動で切り替える変速機。文章では「A/T」「AT」と略記され、手動変速のMT(マニュアルトランスミッション)と対比される。トルクコンバーターと遊星歯車を使う方式が一般的で、無段階に変速するCVTもある。クラッチを操作するペダルやレバーがない車は「AT限定免許」で運転できる。
この車種はAT車のみの設定で、MTの設定はありません。
アスレティックトレーナー
Athletic Trainer
スポーツ現場で選手のけがの予防、コンディショニング、安全と健康の管理、医療職へ引き継ぐまでの救急対応を担う専門職。日本では日本スポーツ協会(JSPO)が公認資格を設けている。
遠征にはチームドクターとATが帯同し、試合前のテーピングと試合後のケアを担当した。
アンチトロンビン
Antithrombin
トロンビンや活性化第Ⅹ因子などを阻害する血液凝固阻止物質で、主に肝臓で作られるタンパク質。検査項目としては、肝機能障害で産生が減り、播種性血管内凝固症候群(DIC)では消費されて血中濃度が下がるため、肝障害・血栓症・DICなどのときに測定する。「アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)」とも呼ばれる。欠乏症の患者は血栓性疾患を起こすリスクが高い。
DICが疑われるため、ATも測定した。
ATコマンド
Attention(Hayes AT command set)
モデムなどの通信機器を文字列で操作するコマンド体系の先頭に付ける2文字。1981年にHayes社のSmartmodemで使われ、「attention(注意を向けさせる)」の意味で、ダイヤルや切断、設定のリセットなどを指示する。携帯電話網向けにはETSI・3GPP(TS 27.007)が拡張コマンドを定めており、メーカーごとの独自拡張もある。
モジュールにATコマンドを送って、接続状態と電波強度を確認した。
受け入れテスト(検収テスト)
Acceptance Test
開発したシステムが契約や要件どおりに動くかを、発注側が確かめて納品を受け入れるかどうかを決めるテスト。単体テスト(UT)・結合テスト(IT)・システムテスト(ST)の後に行う最終工程で、ユーザー部門が行うUAT(ユーザー受け入れテスト)や運用面を見るOATも受け入れテストの一種として語られる。開発の前に受け入れ基準をテストの形にまとめておくATDDという開発手法もある。
ATで要件漏れが見つかったため、検収が来月に延びた。
行の頭に毎回付く、ATの2文字
モデムに「ATH」と打つと、回線が切れる。切るだけならHで足りそうなのに、なぜ毎回その前にATを付けるのか。
1981年のHayes社のSmartmodemで使われたコマンド体系は、すべての命令の頭にATを置く。ATは「attention」、つまり「注意を向けさせる」の略だ。呼びかけとしては自然な説明だと思う。ただ、Wikipediaの『Hayes AT command set』には、もう一つ別の事情が出てくる。このコマンド体系は、モデムが通信速度を自動で見分けるのを助けた、という点である。
モデムは、つながれた端末がどの速さで文字を送ってくるかを、最初は知らない。各命令の頭にAとTが置かれると決まっていれば、話が違ってくる。Aは2進数で1000001、Tは1010100。この規則的な並びは、信号の間隔を測る手がかりになる。ATは名札であると同時に、速度を合わせるための目印でもあった。
なぜATが選ばれたのか、設計した側がそこまで狙っていたのかは、確認した資料からはわからない。わかるのは、結果としてATが両方の役目を果たしたことだ。
ほかのATを並べると、この2文字の位置が目立つ。自動変速機のATはカタログの車種欄に、アスレティックトレーナーのATは遠征の帯同名簿に、アンチトロンビンのATは血液検査の項目名に載る。どれも、そこに書かれた名詞である。受け入れテストのATは、単体・結合・システムの各テストを終えたあと、検収の前に来る最終工程の名前だ。
ATコマンドのATだけは、名詞ではない。ここだけは、書かれた物を指さず、あとに何かが続くことを知らせる。受け入れテストのATが工程の最後に来るのに対して、ATコマンドのATは、一行の最初に来る。
そのATに続けて、ATZと打てば保存した設定が呼び戻され、ATDTに電話番号を続ければ、トーン方式で発信される(Dがダイヤル、Tがトーン)。毎回打つ2文字は、読み飛ばされる飾りではなく、モデムが耳を澄ますための合図だった。