略語

ATP

エーティーピー

3つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

生命科学・バイオ

アデノシン三リン酸

Adenosine Triphosphate

細胞がエネルギーをやり取りするときに使う分子。リン酸の結合が切れるときに放出されるエネルギーが、筋肉の収縮などに使われる。

運動中の筋肉では ATP が絶えず分解と再合成を繰り返している。

スポーツ・フィットネス

男子プロテニス協会

Association of Tennis Professionals

男子プロテニスのツアー運営と世界ランキングを管理する団体。ニュースで「ATPランキング」と出てくるのはこの団体の順位。

今季の ATP ツアー最終戦に出場できるのは上位8名。

物流

納期回答可能数(引当可能在庫)

Available to Promise

受注時点で、顧客に「いつ・いくつ届けられるか」を約束できる数量。手持ち在庫から既存の引当を差し引き、入荷予定を加えて計算する。

ATP がゼロなので、来週入荷分での納期回答になります。

週ごとに計算し直される、2つのATPの数字

男子プロテニスの世界ランキングが初めて公表されたのは、1973年8月23日である。載ったのは186人で、1位はイリー・ナスターゼだった。男子プロテニス協会(ATP)が結成されたのは前年の1972年9月で、全米オープンの会場であるフォレストヒルズのウェスト・サイド・テニスクラブに、約70人の選手が集まったという。ランキングは、その結成から一年足らずで出たことになる。

計算機用紙に刷られた186人

ATPの公式サイトによると、この順位を処理したのはアメリカの航空宇宙企業 TRW で、場所はカリフォルニア州エルセグンドの施設だった。結果は巨大な計算機用紙に印刷された。

計算方法も公式サイトに書かれている。52週間に獲得したポイントを出場した大会数で割る平均方式で、割る数の下限は12である。出場が12大会に満たない選手も、12で割られた。当時の選手側の代表が、プロとして年間を通じて回っていると言える大会数を12と考えたためだという。ポイントは大会ごとに、賞金額(最低2万5000ドル)、ドローの大きさ、出場選手の強さに応じて決まった。

手持ちの在庫から出す約束の数

物流のATP(Available to Promise、納期回答可能数)も、帳簿から計算して出す数字だ。手持ちの在庫から、すでに別の注文に割り当てた分を引き、入荷予定を足す。出てきた数が、いま受けた注文に「いつ、いくつ届けられるか」を答えてよい上限になる。倉庫の棚を数えても、この数は出てこない。

生命科学のATP(アデノシン三リン酸)だけは計算の結果ではなく、細胞の中にある分子そのものを指す。

テニスと物流のATPは、ランキングが試合結果とポイント表から、納期回答可能数が在庫と引当と入荷予定の記録から、それぞれ決まった式で出される。入力が変われば答えも変わり、大会で勝てば順位が動き、新しい注文が入ればATPは減る。1973年の186人の並びも、式に入れた試合結果が違えば別の並びになっていた。