略語

BA

ビーエー

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

IT・システム開発

ビジネスアナリスト

Business Analyst

システム開発で、業務の課題や利用者の要望を整理し、何を作るべきかの要求にまとめる役割。ビジネスアナリシス(業務分析)という活動そのものを BA と略すこともあり、その知識体系を示すガイドが BABOK(IIBA が発行)。要件定義の前後で、依頼側と開発側の橋渡しをする。

要件が固まらないので、BA を一人アサインして業務フローの整理から始めよう。

美容・ウェルネス

ビューティーアドバイザー(美容部員)

Beauty Advisor

百貨店やドラッグストアなどの化粧品売り場で、客の悩みを聞いて化粧品を提案・販売する職種。美容部員と同じ意味で、会社により BC(ビューティーカウンセラー)などとも呼ぶ。接客のほか、試用(タッチアップ)、陳列、在庫確認も担う。

新作の発売日は、BA 全員でタッチアップの手順を確認します。

スポーツ・フィットネス

打率(野球)

batting average

野球で、打者が何割ヒットを打ったかを表す成績。安打数を打数で割って求め、50安打を175打数で記録すれば .286 になる。英語の記録では BA または AVG と書く。

今季の BA は .300 を超えている。

製薬・創薬

バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)

bioavailability

薬の有効成分が、体循環血中に入る速度と量。製剤が違うと崩壊や溶け方が変わり、BA に差が出る。後発医薬品は、先発医薬品と BA が同等であること(生物学的同等性)をヒト試験などで確かめる。

この錠剤は水に溶けにくいので、製剤の工夫で BA を高めた。

教育

文学士・学士(教養)

Bachelor of Arts

大学で文系・教養の課程を修めた人に授与される学士の学位。日本では教養学部の卒業者に授与される「学士(教養)」が Bachelor of Arts にあたる。英語の学位表記では BA(B.A.)と略す。

海外の大学で BA を取得してから大学院に進んだ。

打率の BA は一つ、薬の BA は二つ

打率の .286 は、日本では「2割8分6厘」と読む。50安打を175打数で割ると0.2857になり、四捨五入して小数点の前のゼロを落とした数字だ。英語の記録では、この打率(batting average)を BA と書く。

BA には、システム開発のビジネスアナリスト、化粧品売り場のビューティーアドバイザー、大学の学士号(Bachelor of Arts)の意味もある。このうち数字で語られるものがもう一つあって、薬のバイオアベイラビリティだ。こちらも、飲んだものがどれだけ届いたかを数で見る。ところが打率が一つの数で済むのに対して、薬の BA は一つの数では済まない。

打率の側から見る。英語版 Wikipedia によれば、安打を打数で割る方法は1871年、新聞 New York Clipper の記者ハーヴィー・ドブソン(Hervie Dobson)が提案し、1876年にはナショナル・リーグの全チームが計算していた。現代では .300 以上が優秀とされ、.400 を超えるのはほとんど不可能と見られている。一人の打者の「何割打ったか」が、小数三桁の一行で伝わる。

薬の側の定義は、後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン(令和2年3月19日、国立医薬品食品衛生研究所掲載)にある。バイオアベイラビリティは「有効成分の未変化体又は活性代謝物が体循環血中に入る速度及び量」。数ではなく、「速度」と「量」の二本立てで書かれている。

なぜ二つ要るのか。ガイドラインは、血中濃度の時間変化から二つの値を取る。血中濃度が時間を通じて積み上がった総量にあたる AUC と、血中濃度の最大値 Cmax だ。先発品と後発品で、この二つの平均の比が 0.80〜1.25 に収まれば同等とされる。

ただ、ガイドラインにはもう一文ある。「作用が強くない薬物では、Cmax についてはこれよりも広い範囲を生物学的同等の許容域とすることもある」。逆から読めば、作用の強い薬では、ピークの高さの差が広くは許されない。同じ量が入っても、一気に入るか、ゆっくり入るかで体への当たり方が変わりうる、と読める(これは私の解釈で、ガイドラインがそう書いているわけではない)。打率はこの区別を持たない。安打が四本まとまって出ても、毎試合一本ずつ出ても、4安打は4安打だ。

打率が一つの数に潰れているおかげで、.286 と .301 の差は掲示板でもすぐ読める。薬の BA を同じ一行で掲示しようとすると、AUC の比と Cmax の比で、最低二行は要る。