用語

ベース

ベース

6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

音楽(演奏・楽器)

低音楽器(エレキベース・コントラバス)

bass

バンドやオーケストラで最も低い音域を受け持つ弦楽器の総称で、エレキベース(ベースギター)とコントラバス(ウッドベース)が代表。和音の土台とリズムの両方を支え、奏者はベーシストと呼ばれる。ジャズではソロをとることもある。

このバラードはベースが半音ずつ下りていくラインが肝だね。

スポーツ・フィットネス

塁(野球)

base

野球で走者が進む地点に置かれる一塁・二塁・三塁のクッション状の標識。走者は各塁を順に踏み、塁を離れた状態で野手に触球されるとアウトになる。NPBでは2026年1月の実行委員会で、一辺を3インチ(約7.62センチ)広げた統一ベース(拡大ベース)をそのシーズンから採用する方針が決まった。本塁はホームベースと呼ぶ別形状のもので、大きさは変わらない。

ランナーが一塁ベースから大きくリードをとっている。

美容・ウェルネス

ベースメイク(下地・土台のメイク)

base makeup

メイクの土台になる工程と製品の総称で、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、フェイスパウダーを含む。肌の色や凹凸を整えるのが目的で、ポイントメイク(目元・口元の色づけ)の前に行う。単に「ベース」と言うときは化粧下地を指すことも多い。

ベースメイクを薄く仕上げて、チークで血色を足します。

半導体・電子部品

ベース(トランジスタの制御端子)

base

バイポーラトランジスタの3つの端子(ベース・エミッタ・コレクタ)の1つ。ベースに流す小さな電流(ベース電流)でコレクタ電流を制御するので、増幅やスイッチングの入力側になる。コレクタ電流はベース電流のβ倍(電流増幅率)になる。

ベース抵抗を大きくしすぎてトランジスタが十分にオンしない。

生命科学・バイオ

塩基(核酸塩基)

base

DNA・RNAを構成する核酸塩基(アデニン・グアニン・シトシン・チミン、RNAではチミンの代わりにウラシル)のこと。カタカナでは主に「ベースペア」(塩基対、bp)の形で使われ、AとT、GとCが水素結合でつくる組がDNAの長さを表す単位にもなる。シーケンサーの解析で塩基を1つずつ判定する工程は「ベースコール」と呼ばれる。

このプライマーで増幅した断片は約500ベースペアだった。

素材・化学

ベースオイル(基油)/ベースコート

base oil / base coat

素材・化学の現場では、製品の土台となる成分や層を指す。潤滑油は基油(ベースオイル)と添加剤からできており、基油が性能の土台になる。塗装では、顔料や、メタリック・パールの光輝材を含む色の層をベースコートと呼び、その上に透明なクリヤーコートを重ねて保護する。語源はどちらも英語の base で、酸・塩基の base(塩基)とは別の使い方。

この潤滑油は、ベースオイルの粘度指数が高いので低温でも固くなりにくい。

英語では同じ発音の bass と base がカタカナで一つに

このページの「ベース」は、綴りでいえば二組に分かれる。低音楽器のほうは英語で bass、塁、化粧の下地、トランジスタの端子のほうは base である。英語の bass は「ベイス」と読み、base と発音が同じになる。カタカナにすると、この二つの綴りの区別が消える。

もとは同じ綴りだった

語源辞典 Online Etymology Dictionary の bass の項によると、音楽の bass は1500年ごろに「和声をつけた曲の最も低い声部」の意味で現れた。もとは形容詞の bass(14世紀末、後期ラテン語 bassus「背が低い、低い」から)で、音の高さに使う用法は15世紀半ばからある。この項は、イタリア語 basso の影響でその意味が育ったと書いている。

綴りについては、英語版 Wiktionary の bass の項が「base の綴りをイタリア語 basso の影響で書き直したもの」と説明する。同じ項は、basso が base と bass の双方と同じラテン語に由来するとも述べている。音楽の bass と土台の base はもともと別の語ではなく、ある時期から綴りで書き分けられるようになった。

魚の bass は別の語

綴りが同じなら、魚のバスも同じ語だろうと思いたくなる。だが同じ辞典によれば、魚の bass は1400年ごろの語で、古英語 bærs、さらにゲルマン祖語の「とがった」を意味する語根にさかのぼり、背びれの棘に由来する。楽器の bass とは関係がない。

カタカナの「ベース」には、綴りで見分ける手がかりがない。野球の塁、ベースメイク、トランジスタのベース電流は、どれも base の系統である。楽器のベースだけが bass で、ベーシストは bassist と綴る。「ベース」と書くと、これらがすべて同じ見出し語に入ってしまう。

英語の資料に当たるときは、綴りを先に決める必要がある。楽器の話なら bass で検索し、化粧品や電子回路の話なら base で探す。日本語の「ベース」から英語に戻すには、どの業界の話かを先に決めなければならない。