用語

ブリッジ

ブリッジ

8つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

音楽(演奏・楽器)

ブリッジ(転換部/駒)

bridge

ポップスなどで、Aメロ・Bメロ・サビの繰り返しの合間に置き、曲調やコードを変えて流れに変化をつける転換部を指す。ギターなど弦楽器では、弦を支えて固定する駒の部品もブリッジと呼ぶ。同じ現場でも、曲の構成を話すときと楽器の調整を話すときで別のものを指す。

ラストのサビの前にブリッジを入れて、キーを上げる構成にした。

医療・医学

ブリッジ(歯の補綴治療)

dental bridge

歯科で、失った歯の両隣の歯を削って土台(支台歯)にし、人工の歯(ポンティック)を橋のように渡して連結・固定する治療。噛む機能や発音、見た目を回復するために行う。取り外せる入れ歯と違い、固定式の補綴物である。

奥歯を1本失ったので、両隣を支台にしたブリッジで治療する方針になった。

インフラ・クラウド・セキュリティ

ブリッジ(ネットワークブリッジ)

bridge

OSI参照モデルのデータリンク層(第2層)で動き、MACアドレスを見て宛先のつながるポートだけにフレームを転送する中継機器。ネットワーク同士をつなぐ役割をもつ。現在のL2スイッチはブリッジとほぼ同じ働きの機器として扱われ、仮想環境ではソフトウェアのブリッジも使われる。

仮想マシンのNICをブリッジ接続にして、物理ネットワークと同じセグメントに参加させた。

海運・貿易

ブリッジ(船橋)

bridge

船長や航海士が操船と見張りを行う、船の指揮所にあたる区画。操舵装置、レーダー、海図表示などの航海計器が集まる。外輪船の時代、左右の外輪をまたぐ連絡通路が指揮の場所になったことが語源とされる。日本語では船橋ともいう。

入港作業に入るので、全員ブリッジに上がるよう指示が出た。

半導体・電子部品

ブリッジ回路

bridge circuit

素子を橋の形に並べて接続した回路。ダイオード4個で交流を全波整流するブリッジ整流回路(ダイオードブリッジ)は電源回路の基本部品になる。ホイートストンブリッジは4辺の抵抗の比が釣り合う平衡条件を使い、未知の抵抗を精密に測る回路で、ひずみゲージの検出にも使われる。

電源入力にはブリッジダイオードを置いて全波整流している。

AI・データ

ブリッジ(クロスチェーンブリッジ)

cross-chain bridge

ブロックチェーン同士は互いに独立しているため、その間で資産やデータを移すために使う仕組み。一方のチェーンで資産をロックし、もう一方で対応するトークンを発行する方式などがある。運営者に信頼を置くタイプと、スマートコントラクトで動くタイプに分かれる。

イーサリアムから別のチェーンへ資産を移すため、ブリッジを使って送金した。

銀行・融資

ブリッジローン(つなぎ融資)

bridge loan

ブリッジファイナンス(ブリッジローン)とは、つなぎ融資のことで、新しいファイナンスを行うまでの橋渡しとしての短期融資のことをいいます。

出典:イー・ローン 用語集「ブリッジファイナンス」(イー・ローン)

本来の資金が入るまでの短期間の資金不足をしのぐ融資。次の資金調達までの橋渡しという意味でこう呼ぶ。期間が短い代わりに、通常の融資より金利が高めになることが多い。個人向けでは「つなぎ融資」の言い方が一般的。

売却代金が入るまでの間、ブリッジローンで資金をつないだ。

遊技・公営競技・盤上遊戯

ブリッジ(コントラクトブリッジ)

contract bridge

トランプ52枚を使い、4人が2組のペアに分かれて戦うカードゲーム。オークション(ビッド)で切り札と取るトリック数を宣言し合い、最終的な宣言が契約(コントラクト)になる。契約どおりのトリックを取れるかを競い、推理力や記憶力が問われる。日本では日本コントラクトブリッジ連盟が普及と競技会を担う。

週末はブリッジセンターで、ペアを組んで大会に出た。

橋の名を持つのに、橋と関係なさそうなゲーム

歯科のブリッジは、失った歯の両隣を土台にして人工の歯を橋のように渡す治療である。銀行のブリッジローンは、本来の資金が入るまでの短い期間に橋を架ける融資で、「つなぎ融資」と言い換えられる。IT インフラのブリッジはネットワーク同士をつなぐ中継機器、ブロックチェーンのクロスチェーンブリッジは、互いに独立したチェーンの間で資産を移す仕組みだ。電子回路のブリッジは素子を橋の形に並べた回路を指し、音楽のブリッジは、サビの繰り返しの合間に置かれて曲の流れをつなぎ替える。

どれも「間に渡す」という一つのイメージで説明がつく。船のブリッジ(船橋)は少し事情が違う。語源とされるのは、外輪船の左右の外輪をまたぐ連絡通路で、そこが指揮を執る場所になった。名前は本物の橋の形から来ている。

コントラクトブリッジの名前はどこから来たか

橋のイメージで説明しにくい語が、一つだけ残る。トランプのコントラクトブリッジである。

英語版 Wikipedia の「Contract bridge」によると、現存する最古のルールブックは1886年の『Biritch, or Russian Whist』で、著者はオスマン帝国下のコンスタンティノープルで働いていたイギリス人の金融業者ジョン・コリンソンだ。ゲームの起源はそこにいたロシア人の社会にあるとされる。同記事は、biritch という語を、告知人や役人を意味する古いロシア語(бирюч)の音写と考えられるとしている。同じ記事によれば、名前は1886年までに brich や britch に縮まり、やがて英語風に bridge になった。

ほかに、クリミア戦争の英国兵がガラタ橋を渡ってコーヒー店に通いながら遊んだので橋の名が付いた、という説や、トルコ語の「bir-üç(1と3)」から来たという説も紹介されている。どちらも有力な定説としては扱われておらず、「説がある」という以上のことは言えない。

歯の橋も、融資の橋も、回路の橋も、橋というイメージが先にあって名前が付いた。カードのブリッジは順序が逆で、先にあったのは発音の近い別の言葉だった。日本語の表記では、歯科医院の橋も、融資の橋も、カード卓の biritch も、同じ「ブリッジ」の4文字になる。