用語

キャップ

キャップ

3つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

証券・投資

金利キャップ

interest rate cap

金利オプションの一種。キャップ(cap)は、対象とする金利が上限金利(キャップレート)超えると、キャップの売り手はキャップの買い手に対して超過金利相当分の金額を支払うことを約する契約で、

出典:金融・証券用語解説「キャップ」(大和証券)

金利デリバティブの一種で、参照する金利があらかじめ決めた上限金利(キャップレート)を上回ったとき、上回った分に相当する金額を売り手が買い手に支払う契約。変動金利の借り手などが、オプション料(プレミアム)を払って金利上昇への備えとして買い、売り手はプレミアムを受け取ることで利回りを高める。下限を定める逆の取引はフロアと呼ぶ。

変動金利の借入が膨らむ懸念があるので、上限を決めるキャップを買ってヘッジしておこう。

スポーツ・フィットネス

サラリーキャップ/代表キャップ(ラグビーなど)

salary cap / cap

プロスポーツ運営では、チームが選手に払う年俸総額の上限を、リーグ全体の収入に基づいて毎年定める制度(サラリーキャップ)を指す。上限の超過を一切認めない厳格なものをハードキャップ、条件つきで超過を認める緩やかなものをソフトキャップと呼ぶ。一方、ラグビーでは代表同士のテストマッチに出場した選手に記念のキャップ(帽子)を渡す伝統があり、代表戦の出場数を「キャップ」と数える。文脈で別の意味になる。

あのリーグはサラリーキャップがあるので、主力を全員残すのは難しい。/彼は日本代表で通算50キャップに届いた。

出版・新聞・Webメディア

取材班の責任者(○○キャップ)

press club chief / team leader

新聞・通信社で、記者クラブなど担当先に詰める5〜10人ほどの記者のチームを率いる現場責任者。記者を統率して取材と原稿の仕上げに責任を持ち、紙面の案を作って、デスクなど上位の編集者の指示を受ける。担当先の名を冠して「日銀キャップ」のように呼ぶ。部活のキャプテンにたとえられる立場。

司法クラブのキャップが、夕刊に間に合うよう各記者の原稿を取りまとめている。

帽子、線、契約、そして人を指すキャップ

「日銀キャップ」は人で、「通算50キャップ」は数で、「サラリーキャップ」は線で、「金利キャップ」は契約である。四つとも同じカタカナなのに、指しているものの種類がそろっていない。共通の意味はあるのだろうか。

ラグビーのキャップは、もとは帽子である。代表同士のテストマッチに出た選手に記念の帽子を渡す伝統があり、出場数もキャップと数える。数え方は一つではなく、熊本日日新聞によれば、15人制は出場した試合がそのままキャップ数になり、7人制は大会ごとに数える。2026年7月12日には東京・秩父宮ラグビー場で7人制男子の歴代代表のキャップ授与式があり、120人以上が集まったという。出るたびに増え、減ることのない数だ。

サラリーキャップは逆に、越えてはいけない線である。チームが選手に払う年俸総額の上限を、リーグ全体の収入に基づいて毎年定める。Wikipedia日本語版によると、NBAは1984年、コミッショナーのデビッド・スターンが考案した制度を導入した。当時は3分の2のチームが財政能力を超える年俸を払って経営不振に陥っていたという。いまは、超過を認めないNFLやNHLのハードキャップと、緩やかに運用するNBAのソフトキャップに分かれている。

金利キャップは、この線を越えたときの損を売り買いする契約だ。大和証券の用語解説では、対象の金利が上限金利を超えると、売り手が買い手に超過金利相当分を支払うと説明される。借り手は先にオプション料を払う。サラリーキャップが越えることを禁じるのに対し、こちらは越える場合に備えて値段をつける。

上限を意味するのは、この二つだけである。残る二つは帽子と人で、上限とは関係がない。

新聞・通信社のキャップは、記者クラブなどの担当先に詰める5〜10人ほどの記者を率いる現場責任者だ。文春オンラインの元日銀キャップへの取材記事では、「部活のキャプテン」をイメージすると分かりやすいと語られている。紙面案を作ってデスクらの指示を受け、取材と原稿の仕上げに責任を持つ。数も線も出てこない。見たところキャプテンの略のようにも思えるが、そう断じる資料は確かめられていない。記事の「キャプテン」は、立場をわかりやすくするためのたとえである。

共通の意味と呼べるものはなく、帽子の数、年俸の上限、金利の上限、チームの責任者が、同じ表記で並んでいる。動き方もそれぞれ違う。50キャップは届けば二度と減らない。サラリーキャップの上限は毎年引き直される。金利キャップは、金利が線を越えた分だけ払われる。司法クラブのキャップは、夕刊に間に合うように今日の原稿を取りまとめる。