CB
シービー
6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
転換社債/サーキットブレーカー
Convertible Bond / Circuit Breaker
Convertible Bondの略称。かつて「転換社債」と呼ばれていたが、平成14年4月1日の商法改正によって正式名称が「転換社債型新株予約権付社債」となった。
証券では2つの意味で使う。債券では、株式に転換できる権利の付いた社債で、株価が上がれば株式に換えて値上がり益を狙え、換えなければ社債として持ち続けて満期に額面の償還を受けられる。取引では、相場が急変したときに売買を一時止めて投資家に冷静な判断の時間を与える制度を指し、大阪取引所の日経225先物などの指数先物に導入されている。
転換価格を株価が上回ったので、保有していたCBを株式に転換した。
コンクリートブロック(CB造)
Concrete Block
空洞のあるコンクリートブロックに鉄筋を通して補強しながら積み上げ、壁にする構造を、補強コンクリートブロック造という。ブロック塀のほか、住宅など小規模な建物に使われる。ブロック塀の安全点検など、設計・施工の確認でも出てくる。
この塀はCB積みなので、控え壁と配筋を図面で確認しておいて。
コーナーバック(アメリカンフットボール)/センターバック(サッカー)
Cornerback / Centre Back
守備の選手のポジション名を表す。アメリカンフットボールではコーナーバック、サッカーではセンターバックを指し、サッカーのセンターバックは最終ラインの中央に位置する。競技によって別のポジションを指す。
同じCBでも、アメフトならコーナーバック、サッカーならセンターバックのことだ。
市民ラジオ(CB無線)
Citizens Band
27MHz帯の短距離無線で、個人が手軽に使える市民ラジオを指す。日本では技術基準適合の表示がある機器を使い、出力は0.5W以下に限られる。技適マークのない海外製などの高出力機は電波法違反となり、テレビ・ラジオの受信障害を招くため、総務省が不法市民ラジオの取り締まりを行ってきた。
輸入したCB無線機は技適マークがなく、国内では使えない。
カーボンブラック
Carbon Black
炭化水素を不完全燃焼や熱分解させて作る、直径数nm〜数百nmほどの黒い炭素の微粉末。ゴムに混ぜて強度や耐摩耗性を高める補強材として使われ、ゴム用の大半をタイヤ向けが占める。ほかに印刷インキや塗料の黒色顔料、導電性の付与にも使う。
タイヤ用ゴムはCBの粒子径で硬さと耐摩耗性が変わるので、グレードを見直したい。
遮断器
Circuit Breaker
変電所や送配電設備で、通常の負荷電流を開閉し、短絡や地絡などの事故が起きたときには事故電流を切って回路を守る機器。種類は真空遮断器(VCB)、ガス遮断器(GCB)などに分かれる。
この変電所の1号線CBがトリップしたので、動作記録を確認してください。
消えた正式名と、残ったCB
証券会社の画面で「CB」という二文字を見たとき、それが社債なのか売買停止なのかは、隣にある語で決まる。「CBを発行する」なら債券で、「CBが発動する」なら取引の停止だ。同じ業界のなかで、別々のものが同じ二文字を名乗っている。
しかも債券のほうは、日本ではもう正式名が替わっている。野村證券の用語解説集は『CB』の項にこう書く。「Convertible Bondの略称。かつて「転換社債」と呼ばれていたが、平成14年4月1日の商法改正によって正式名称が「転換社債型新株予約権付社債」となった。」
新しい名前は十三字ある。それでも二文字は残った。変わったのは日本語の名前で、略称の元のConvertible Bondという英語は、商法の外にあったからだ。
取引停止のほうのCBは、Circuit Breakerの頭文字である。1987年10月19日にニューヨークで株価が大暴落し、そのあと米国では、ダウ平均が250ポイント、400ポイント下げたところで取引を止める規則が1988年に入った(1998年からは10%、20%、30%に変わった)。売買を止めて投資家に冷静になる時間を与える制度の名前は、電気の circuit breaker と同じだ。日本でも、大阪取引所の日経225先物などの指数先物に同じ制度がある。
無線のCBは、Citizens Bandだ。米国では1958年に27MHz帯の市民向けの区分ができ、1970年代に広まった。1973年の石油危機のあと全米で時速55マイルの速度制限が課されると、トラックの運転手が、給油できるスタンドや取締りの場所を無線で教え合ったという。日本の市民ラジオも同じ27MHz帯だが、出力は0.5W以下に限られ、技適マークのない輸入機は電波法違反になる。
取引停止のCBと同じ英名の機器は、電力の現場にもある。事故電流を切って回路を守る遮断器で、種類は真空遮断器(VCB)やガス遮断器(GCB)に分かれる。
ゴムの現場には、頭文字がCBになるカーボンブラックがある。炭化水素を不完全燃焼や熱分解させて作る黒い微粉末で、タイヤの強度や耐摩耗性を高める補強材として使う。
略す前の言葉は、Convertible Bond、Circuit Breaker、Citizens Band、Carbon Blackの四種で、Circuit Breakerが二つの業界にまたがるほかは、頭文字しか共通点がない。起点の年も、1958年、1988年、2002年とばらばらだ。年も出自も違うものが、二文字に縮めたところで重なった。
冒頭の画面に戻ると、「CBを発行する」の行には、2002年に消えた「転換社債」の名前も、1987年の暴落のあとに入った制度も、顔を出さない。そこにあるのは二文字と、隣の語だけだ。