CC
シーシー
7つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
排気量(立方センチメートル)
cubic centimeter
エンジンの大きさを表す排気量を立方センチメートルで示す単位で、ピストンの動きで押しのけられる容積を全気筒ぶん合計した値を指す。通常は小文字の cc と書く。日本では軽自動車が660cc以下と定められているように、排気量が車両区分や免許・税の目安になる。
排気量660ccのエンジンを積んだ軽自動車。
字幕放送(クローズドキャプション)
closed caption
視聴者がリモコンの字幕ボタンなどで表示と非表示を切り替えられる字幕。映像に焼き付けるオープンキャプションと対になる言い方で、放送局は字幕データを番組と一緒に送る。日本では字幕放送対応の番組に「字」マークが付く。
この番組は字幕放送に対応しているので、CCをオンにすれば台詞が表示される。
クレジットカード
credit card
オンラインサービスの登録フォームや決済画面で、クレジットカードを指す略称。「CC番号」「CC情報」はカード番号・カード情報のこと。英語圏のウェブサイトやシステム開発の現場で慣習的に使われてきた通称で、入力欄の表示を短くする目的で採用されることが多い。
このフォームにCC情報を入力すると決済が完了する。
クリエイティブ・コモンズ(CCライセンス)
Creative Commons
著作者が著作権を保持したまま、利用条件を示して作品の再利用を認める国際的な仕組み。表示・継承・非営利・改変禁止の4つの条件を組み合わせた6種類のライセンスがあり、利用者は許される範囲をひと目で判断できる。
この写真はCC BYなので、クレジットを表示すれば転載できる。
主訴
chief complaint
患者が受診した理由を、本人の言葉で短くまとめた記載。診療録(カルテ)の最初に置かれ、「CC: 胸痛2日」のように書く。以降の病歴聴取や診察はこの主訴を軸に進む。
カルテのCCに「3週間続く咳」と書いた。
コモンクライテリア(ISO/IEC 15408)
Common Criteria
IT製品やシステムのセキュリティ機能が適切に設計・実装されているかを第三者が評価するための国際標準。ファイアウォールやOS、複合機などの調達要件として認証の取得が求められることが多い。日本ではIPAがITセキュリティ評価及び認証制度(JISEC)として運用している。
官公庁向けの調達では、CC認証を取得した製品であることが条件になっている。
カラムクロマトグラフィー
column chromatography
シリカゲルやアルミナなどの吸着剤を詰めた管(カラム)に試料を流し、溶媒(溶離液)との相互作用の違いで成分を分けて取り出す分離精製法。有機合成では反応後の混合物から目的物を精製する定番の操作で、論文の実験部では略して CC と書かれることがある。
粗生成物をCCで精製して、目的物を白色固体として得た。
YouTubeの画面に同居する二つのCC
YouTubeで動画を開くと、プレーヤーの右下に「CC」と書いたボタンがある。押すと字幕が出る。動画を探す画面の絞り込みにも、「Creative Commons」の項目がある。同じサイトの中に、同じ二文字の仕組みが二つ並んでいる。取り違えは起きないのだろうか。
起きない、と思う。ボタンは押せば字幕が出る。絞り込みは選べば、再利用が認められた動画だけに狭まる。動詞が違うので、迷う余地がない。
ただ、この二つは無関係なまま並んでいるのでもない。2009年2月、Googleは開発者向け動画の字幕ファイルを公開し、利用条件を「Creative Commons 3.0 BY」と明記した。公式ブログには、字幕があると動画が広い層に届く、という趣旨が「Caption tracks make YouTube videos accessible to a wider audience.」と書かれている。字幕としてのCCを、ライセンスとしてのCCの下に置いて配ったわけだ。字幕を誰でも直せて、訳せる状態にするには、字幕そのものに再利用の許可が要る。二つのCCは、ここで同じ文書に載った。
年代も遠くない。クリエイティブ・コモンズの最初のライセンスが公表されたのは2002年12月とされる。表示・継承・非営利・改変禁止の4つの条件を組み合わせる設計で、作者は著作権を持ったまま、使ってよい範囲を先に示しておける。
CCはほかにも使われている。エンジンの排気量は立方センチメートルで、普通は小文字の「cc」と書き、軽自動車は660cc以下と決まっている。登録フォームの「CC番号」はクレジットカードの番号で、カルテの先頭に書く「CC」は、患者が受診した理由、つまり主訴を指す。官公庁向けの調達では「CC認証を取得した製品」が条件になることがあり、こちらはIPAが運用する評価制度の土台になっている国際標準、コモンクライテリア(ISO/IEC 15408)を指す。有機合成の論文の実験部には「粗生成物をCCで精製した」と出てくるが、これはシリカゲルなどを詰めた管に試料を流して成分を分ける、カラムクロマトグラフィーのことだ。
ただし、この五つが同じ画面に出てくることはまずない。排気量はカタログに、カード番号は決済画面に、主訴はカルテに、認証は調達の要件に、カラムクロマトグラフィーは実験部にいる。置かれた場所が意味を決めるので、読む側も迷わない。
YouTubeは、そのまれな例外である。右下のボタンを押すと字幕が出る。検索の絞り込みを開くと、別のCCが待っている。