コンペ
コンペ
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
競合プレゼンテーション
competitive presentation
広告主が複数の広告代理店に同じ課題(与件)を示し、企画を競わせて取引先を一社選ぶ手続き。まず広告主が課題と要件を説明するオリエンテーション(オリエン)があり、各社が社内で企画とメディアプランを練り、プレゼンで披露して勝敗が決まる。負けた側の提案は基本的に無償になる点が、業界でたびたび議論になる。
来週のオリエンを受けて、新商品のキャンペーンコンペに三社で参加することになった。
コンペ(ゴルフ:ゴルフコンペ)
competition
ゴルフでは、仲間や取引先など多人数が集まり、同じ日に同じコースを回って順位を競う競技会をいう。幹事が組み合わせや賞を決め、参加者のスコアの差をならすためにハンディキャップを付けるのが一般的。ペリア方式は、主催者が参加者に知らせずに選んだ隠しホール6つのスコアからハンディを算出する方式で、運の要素が強いため12ホールを使う新ペリア方式もよく使われる。
月例コンペは新ペリア方式で、優勝賞品は幹事が用意する。
設計競技(設計コンペ)
design competition
公共施設などの設計者を選ぶ方式の一つで、応募者が提出した具体的な設計案を審査して選ぶ。設計対象への発想や解決方法、体制などの提案で設計者を選ぶプロポーザル方式とは区別され、設計競技は「設計案」そのものを、プロポーザルは「設計者(人)」を選ぶ点が違う。設計案づくりの負担が大きいため、国の営繕ではプロポーザル方式が推奨されている。
新庁舎の設計者は公開コンペで選ばれ、最優秀案の設計者が基本設計に進んだ。
データ分析コンペ(Kaggleコンペなど)
data science competition
企業や研究機関が課題とデータセットを出し、参加者が機械学習などで分析モデルを作って予測の精度を競う大会。代表的な場がKaggleで、国内外の大手企業が課題を出し、上位入賞者には賞金やメダルが与えられる。実務に近いデータで腕を磨く手段としても使われる。
社内の勉強会で、過去のKaggleコンペの上位解法を読み解いた。
優勝した案の屋根が、建つ前に変わった
優勝した案がそのまま形になる、と考えるのは自然だろう。ゴルフと広告では、ほぼそのとおりに進む。
ゴルフのコンペでは、幹事が組み合わせや賞を決め、ハンディキャップで参加者のスコアの差をならして順位を競う。順位が決まった時点で話は終わる。新ペリア方式のように、参加者に知らせずに選んだ12ホールのスコアでハンディを出す方式を使っても、決まった順位があとから覆ることはない。優勝者は幹事が用意した賞品を持ち帰り、次の月例コンペが始まる。
広告のコンペ(競合プレゼンテーション)では、勝った一社が取引先になる。負けた側の提案は基本的に無償で、その扱いが業界でたびたび議論になる、と業界メディアは伝えている。勝敗がそのまま仕事を得るか得ないかに直結するので、ゴルフより重い。それでも、勝った提案がそのまま実行に移る点は、ゴルフの優勝スコアと変わらない。
建築の設計競技で選ばれるのは、建つ前の案である
建築の設計競技は、人ではなく設計案そのものを選ぶ。国土交通省の資料は、設計者の発想や体制を見るプロポーザル方式と区別し、案づくりの負担が大きいことから、国の営繕ではプロポーザル方式を推奨している。選ぶ時点では、建物はまだ建っていない。
国会議事堂の設計競技が、その隙間をよく見せる。国立国会図書館の解説によれば、大正7(1918)年から翌年にかけての競技で一等になったのは、宮内省技手の渡邊福三の案である。渡邊は着工の年にあたる大正9(1920)年に亡くなった。その後の設計を担当したのは吉武東里で、ピラミッド型の屋根を提案したとされる。同じ解説は、渡邊名義の一等案が、実際には部下の吉武ら宮内省内匠寮の職員による案ではないか、という指摘にも触れている。
議事堂の完成は昭和11(1936)年で、着工から16年かかっている。
一等になった渡邊案では、中央の屋根はドーム型だった。完成した議事堂の中央に載っているのは、ピラミッド型の屋根である。