略語

CP

シーピー

8つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

機械・生産

工程能力指数

process capability index (Cp)

工程のばらつきが規格幅にどれだけ収まるかを表す指数。規格の上限と下限の差を、標準偏差の6倍で割って求める。1.00なら±3σが規格幅と一致し、1.33以上が望ましいとされる。平均が規格の中心からずれると過大評価になるため、ずれも考慮するCpkと併用する。

新ラインのCpが1.2しかないので、ばらつきを減らす対策が先だ。

通信・電波

サイクリックプレフィックス

Cyclic Prefix

OFDM方式の無線通信で、各シンボルの前に付け足すガードインターバル(シンボル間の余白時間)。シンボル末尾の複製を先頭に置き、マルチパス(電波が複数経路で遅れて届く現象)によるシンボル間干渉を抑える。LTEや5G NRで使われ、通常CPと拡張CPがある。

遅延広がりが大きい環境では、拡張CPを設定して干渉を避ける。

半導体・電子部品

CPテスト(ウェハ検査)

Circuit Probe

半導体の前工程で行うウェハ段階の検査。ウェハ上のチップ(ダイ)の電極パッドにプローブを当てて電気特性を調べ、全ダイを順に測って良品・不良品を判定し、歩留まりなどのデータを集める。パッケージ組立後に行うファイナルテストとは別の工程。

CPの歩留まりが落ちているので、プローブカードの摩耗を点検する。

証券・投資

コマーシャル・ペーパー

Commercial Paper

信用力のある大企業が、短期の資金を市場から調達するために発行する無担保の割引形式の約束手形。銀行借入を通さずに資金を集められる。金融の現場では短期金融市場の商品として扱われる。

運転資金はCPの発行でまかなう計画だ。

医療・医学

脳性麻痺

Cerebral Palsy

脳性麻痺(のうせいまひ、英: cerebral palsy, CP)とは、受精から生後4週までの間に、何らかの原因で生じた脳の損傷によって、運動および姿勢に異常が生じた状態。

出典:Wikipedia日本語版『脳性麻痺』

胎児期から新生児期(生後4週以内)までに脳に生じた病変がもとで起こる、運動と姿勢の障害。病変そのものは進行しないが、障害は生涯続き、症状は成長とともに変わりうるとされる(1968年の厚生省研究班の定義)。診療やリハビリの現場では「CP」と略して書かれる。

カルテの既往歴に、出生時の仮死によるCPと記載されている。

エネルギー

陰極防食(カソード防食)

Cathodic Protection

Cathodic Protection (CP) systems help prevent corrosion from occurring on the exterior of pipes

出典:Fact Sheet: Cathodic Protection(PHMSA 米国運輸省パイプライン・危険物安全局)

地中に埋めた鋼管などの外面の腐食を、電流を流して抑える電気防食の方法。マグネシウムや亜鉛などの消耗する電極(犠牲陽極)を配管につなぎ、電位差で防食電流を流す流電陽極方式と、直流電源装置で防食電流を流す外部電源方式がある。石油やガスのパイプラインで広く採用されている。

パイプラインのCPが効いているか、テストポイントで定期的に電気的な測定を行う。

インフラ・クラウド・セキュリティ

コントロールプレーン(制御プレーン)

Control Plane

クラウドやネットワークで、実際の処理や通信を担うデータプレーン(DP)に対し、設定や状態を管理する側の仕組み。Kubernetes では API サーバー、スケジューラ、etcd などがクラスタ全体の状態を管理する。API ゲートウェイの Kong などでは、構成を CP と DP に分けて書く。

CPのノードが止まっても、DPはキャッシュした設定でプロキシを続ける。

Webサービス・SaaS・アプリ

コンテンツプロバイダ

Content Provider

ニュース、動画、音楽、電子書籍など、デジタル化された情報を提供する事業者。インターネットへの接続回線を提供するISP(インターネット接続事業者)と対比して使われ、ポータルサイトや検索サービスもその提供サービスの例に挙げられる。

動画配信のCPとして、回線事業者との通信設備の費用負担を整理する。

CPは守るために、先に何かを減らす

管を腐食から守るために、別の金属を先に減らす方法がある。

エネルギー業界で「CP」といえば陰極防食だ。PHMSA(米国運輸省パイプライン・危険物安全局)のファクトシートは、これを管の外面の腐食を防ぐ仕組みとして説明している。方式のひとつ、流電陽極方式では、マグネシウムや亜鉛のような消耗する電極を鋼管につなぐ。電位差で防食電流が流れ、管のかわりに電極のほうが減っていく。守られる側は何も失わない。失うのは、守るために置かれた側である。

通信のCPにも、同じ形がある。OFDM方式の無線通信で、各シンボルの前に付け足すサイクリックプレフィックスだ。シンボル末尾の複製を先頭に置くことで、電波が複数の経路を通って遅れて届くマルチパスによる干渉を抑える。ただし付け足した区間は余白時間で、情報の送信には使えない。LTEや5G NRには通常CPと拡張CPがあり、遅延広がりの大きい環境では拡張CPを選ぶ。守りを厚くするほど、使える時間は削られる。

製造のCpは、そこまで直接ではない。工程能力指数は、規格の上限と下限の差を標準偏差の6倍で割って求める。1.00なら、±3σのばらつきがちょうど規格幅と一致する。これでは少しのずれで規格を外れるから、現場では1.33以上が望ましいとされる。規格幅の約8分の6しか使わず、残りを置いておくということだ。犠牲になるのは電極でも時間でもなく、ぎりぎりまで使い切るという選択肢である。

三つが同じ顔をしていると気づいたとき、残りの五つも同じだろうかと思った。半導体のウェハ検査(Circuit Probe)、コマーシャル・ペーパー、脳性麻痺、コントロールプレーン、コンテンツプロバイダ。並べてみても、どれも何かを減らして何かを守る形にはならない。脳性麻痺は病変が進行しないとされる病態の名前で、コマーシャル・ペーパーは銀行借入を通さずに資金を集める手形だ。同じ二文字のうち、この形をしているのは八つのうち三つだけらしい。

パイプラインのCPが効いているか、現場ではテストポイントで定期的に電気的な測定をする。流電陽極方式なら、その足もとでは今日も電極が少しずつ減り、管は減らないままでいる。