略語

CPA

シーピーエー

4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

会計・税務・監査

公認会計士(米国の資格は USCPA・米国公認会計士)

Certified Public Accountant

会計・監査の専門職資格の英語名で、日本の公認会計士も英語では Certified Public Accountant と表し、日本公認会計士協会の英語名も JICPA。米国では統一試験(Uniform CPA Examination)に合格し、学歴・実務経験・倫理の要件を満たしたうえで、州の会計士委員会(board of accountancy)から免許を受ける。全米共通の免許はない。日本では米国の資格を「USCPA」と呼んで区別する。USCPA の資格だけでは日本の監査業務はできず、行うには公認会計士法16条の2による外国公認会計士の承認と登録が必要。

米国でCPAの免許を取るには、試験に合格するだけでなく、州ごとに決められた実務経験も必要だ。

インターネット広告

顧客獲得単価(成果獲得単価)

Cost Per Acquisition

広告費を成果(コンバージョン、CV)の件数で割った、成果1件あたりの獲得コスト。計算式は CPA=広告費÷CV数で、低いほど効率がよい。クリック単価の CPC、表示1,000回あたりの CPM、クリック率の CTR が広告がクリックされるまでを見る指標なのに対し、CPA は購入・申込などの成果までを見る。expansion は Acquisition(顧客獲得)が主流だが、Action(会員登録・資料請求などの行動)と書く資料もある。

目標CPAを5,000円に設定したが、先月の実績は7,000円だったので入札を見直した。

医療・医学

心肺停止

cardiopulmonary arrest

救急・救命の現場で、心臓と呼吸の両方、またはどちらかが止まった状態を表す略語。救急隊からの連絡や救急外来では「CPA」と略して呼ぶ。判断の基準は、深い昏睡、自発呼吸がない、頸動脈の拍動がない、心電図が心静止・心室細動・無脈性電気活動などを示す、の4つ。病院に着いた時点で心肺停止なら「来院時心肺停止(CPAOA)」と呼ぶ。心停止(cardiac arrest)とほぼ同じ意味で使われることも多い。

救急隊から、60代男性のCPAで5分後に到着するとの連絡が入った。

海運・貿易

最接近距離(最接近点)

Closest Point of Approach

航海中、相手船と自船がどちらも今の針路・速力のまま進んだと仮定したときに、両船が最も近づく距離。レーダーの ARPA(自動衝突予防援助装置)や、AIS(船舶自動識別装置)の情報を表示する航海機器が計算して表示し、衝突のおそれを判断する材料になる。最も近づくまでの時間は TCPA(Time to CPA)で示し、CPA と合わせて避航(衝突を避けるための動作)のタイミングを決める。

ARPAの表示でCPAが0.3海里しかなく、TCPAも10分を切ったので早めに針路を変えた。

CPAに文字を足して区別する4つの現場

CPA と書かれた文書を渡されたら、最初に確かめるのは三文字の中身より、それがどの現場の紙かということになる。資格、広告の単価、命の状態、船の距離。四つの現場で、CPA はそれぞれ別のものを指す。

文字を足して取り違えを避ける現場

会計では、米国の資格を「USCPA」と呼び、日本の公認会計士と区別する。日本の公認会計士も英語では Certified Public Accountant と表し、日本公認会計士協会の英語名は JICPA である。英語名だけを見れば、日米の資格は同じ呼び名になる。区別が必要な理由は実務にある。USCPA の資格だけでは日本の監査業務はできず、行うには公認会計士法16条の2による外国公認会計士の承認と登録がいる。

医療と海事にも、CPA に文字を足した語がある。病院に着いた時点で心肺停止(cardiopulmonary arrest)なら「来院時心肺停止(CPAOA)」と呼び、状況を一語に畳み込む。海事の CPA は最接近距離(Closest Point of Approach)で、最も近づくまでの時間は TCPA(Time to CPA)で示す。避航、つまり衝突を避けるための動作のタイミングは、この二つを合わせて決める。

広告の CPA(Cost Per Acquisition、顧客獲得単価)だけは、足される側ではなく並べられる側にいる。クリック単価の CPC、表示1,000回あたりの CPM、クリック率の CTR は、広告がクリックされるまでを見る指標である。CPA は購入や申込といった成果までを見る指標で、広告費÷成果(コンバージョン)の件数で求める。

状態か、計算値か

医療の CPA は、判断基準で決まる状態である。深い昏睡、自発呼吸がない、頸動脈の拍動がない、心電図が心静止、心室細動、無脈性電気活動などを示す、の四つで判断する。救急隊の連絡や救急外来では「CPA」と略して呼ばれ、心停止(cardiac arrest)とほぼ同じ意味で使われることも多い。

海事の CPA は、状態ではなく計算値である。両船が今の針路と速力のまま進むと仮定したときに最も近づく距離を、レーダーの ARPA(自動衝突予防援助装置)や AIS(船舶自動識別装置)の情報を表示する機器が出す。仮定が崩れれば、値も変わる。

医療の CPA が「止まっている」状態を、海事の CPA が「最も近づく」点を指すのは、どちらも危険な局面を示す語だからだと読むこともできる。ただしこれは並べたときの印象であり、語の成り立ちや由来を確かめたものではない。

広告の CPA は、同じ現場の中でも中身が揺れる。Acquisition(顧客獲得)が主流だが、Action(会員登録や資料請求などの行動)と書く資料もある。何を一件と数えるかが、資料によって少しずつ動くわけだ。資格や状態や距離なら現場を確かめれば足りるところ、広告の CPA だけは、渡された紙がどの定義で書かれているかまで確かめることになる。