CR
シーアール
7つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
CR機(カードリーダー式パチンコ機)
Card Reader
プリペイドカードで玉を借りるタイプのパチンコ機の区分で、1992年に登場した。CRはカードリーダーの略とされることが多い。カードを通じて玉貸しのお金の流れを把握でき、税務などの透明化が狙いだった。2018年2月以降の規則で型式試験に適合した機種は「P」と表記され、CR機を含む旧規則機は2022年1月31日までにホールから撤去された。
このホールは昔、CR機ばかり並んでいたらしい。
徐放性製剤(CR錠)
Controlled Release
有効成分の放出速度を調節し、血中濃度を長く保つ製剤につく剤形名の略称。製品名の末尾に「ニフェジピンCR錠」のように付き、1日の服用回数を減らす目的で使われる。SR(Sustained Release)やLA(Long Acting)など似た表記もあり、CRとの区別のしかたは資料によって異なる。
この薬はCR錠なので、割ったり砕いたりせずに服用するよう伝えた。
コンピューテッドラジオグラフィ(CR)
Computed Radiography
X線フィルムの代わりに、再利用できるイメージングプレートでX線画像を撮る方式。プレートに残った潜像をレーザーで読み取ってデジタル化する。富士フイルムが1981年にX線画像のデジタル化を発表し、1983年に世界で初めて製品化した。フラットパネルを使うDR(Digital Radiography)と対比される。
この病院の一般撮影装置はCRからDRに更新された。
クロロプレンゴム
Chloroprene Rubber
クロロプレンを重合してつくる合成ゴムの略号。1931年にデュポンが「デュプレン」の名で発売し、1936年に「ネオプレン」と改称された。耐候性・耐油性・難燃性のバランスがよく、ホースやベルト、ウェットスーツなどに使われる。
このシール材は耐候性を考えてCRを選んだ。
完全奏効(完全寛解)/心臓リハビリテーション
Complete Response / Cardiac Rehabilitation
診療の場では別々の意味で使われる。がん治療の効果判定ではCRは完全奏効(完全寛解)で、画像上などで腫瘍が確認できなくなった状態を指し、必ずしも治癒を意味しない。PR(部分奏効)、SD(安定)、PD(進行)と並ぶ4区分の1つ。循環器領域ではCRは心臓リハビリテーションの略で、心疾患の患者に運動療法・教育・生活指導を組み合わせて行う。
化学療法の3コース後に画像を見直し、CRと判定された。
復帰(キャリッジリターン)
Carriage Return
カーソルを行頭へ戻す制御文字で、改行コードの一種。語源はタイプライターで、紙を載せた台(キャリッジ)を元の位置へ戻す動作にある。LF(行送り)と組み合わせ、Windowsは CR+LF、Linuxは LF のみ、古いMacは CR のみで改行を表す。OS間でファイルを受け渡すと改行の扱いが食い違うことがある。
テキストファイルの改行コードがCRLFのままで、Linux上のスクリプトが動かなかった。
貸方(かしかた)
Credit
複式簿記で、仕訳や勘定の右側を表す記号。借方(Dr:Debit)と対になり、負債・純資産・収益の増加と、資産・費用の減少を右側に記録する。英語圏の帳簿や会計の教科書では Cr と略記され、Dr と並べて左右を示す。略記の由来はラテン語 credere(信頼する・委ねる)とする説などがあり、はっきりしない。
この仕訳は現金をCrに、売上をDrに入れていて左右が逆だった。
CRの3つの出自を、年表に並べてみる
CRという2文字は、どの業界でも似た時期に使われ始めたに違いない。そう思って年代を並べると、見込みはすぐに崩れた。
最も古いのはクロロプレンゴムだ。デュポン社が1930年にクロロプレンの重合で合成ゴムに近い物質を得て、1931年後半に「デュプレン」の商標で市場に出した。のちに商標は「ネオプレン」へ替わった。替わった年は資料によって1936年とも1937年とも書かれていて、1930年代半ばとしか言えない。完成品ではなく製品の素材であることを明確にするためだった、と説明する資料がある。
次が医用画像のCR(コンピューテッドラジオグラフィ)である。富士フイルムが1983年6月にブリュッセルの国際放射線学会(ICR)で発表した。第一世代の「FCR101」は価格が1.5億円、処理能力は1時間に45枚だったと伝えられている。1931年のゴムの登場から半世紀以上あとになる。
パチンコのCR機は、1992年8月に6つのメーカーが同時に発表したのが最初とされる。医用画像のCRから9年後にあたり、CRはCard Readerの略とされることが多い。
終わりの日付がついたのは一つだけ
ゴムのCRには、終わりの日付が見当たらない。ネオプレンの名はウェットスーツの素材としても残っている。
医用画像のCRは、フラットパネルを使うDRに置き換わっていく流れにある。ただし病院ごとに更新時期が異なり、制度で一斉に消えるわけではない。
パチンコの場合は、規則の切り替えが区切りになった。2018年2月以降の規則で、型式試験に適合した機種が「P」と表記されるようになり、旧規則機は2022年1月31日までにホールから撤去された。「CR」という区分そのものが、この日付で終わっている。
1931年に素材として生まれ、1983年に画像診断の装置となり、1992年にホールの機械の区分になったCR。3つのうち最後に来たCR機が、2022年に最初に日付つきで退場した。