CS
シーエス
6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
顧客満足/カスタマーサクセス
Customer Satisfaction / Customer Success
商品やサービスに顧客がどれだけ満足したかを見る指標「顧客満足(Customer Satisfaction)」で、アンケート調査や満足度スコアで測り、リピート率の向上などにつなげる。近年は別の意味で、サブスクリプション型のビジネスで顧客が成果を出せるよう先回りして支援する活動や部署「カスタマーサクセス(Customer Success)」も指す。同じ会議でも、どちらの意味かは文脈で判断する必要がある。
年に一度のCS調査で、サポート窓口への満足度が前年より下がっていた。
通信衛星(CS放送)
Communication Satellite
通信衛星(CS)を使う衛星放送のことで、放送専用の放送衛星(BS)を使うBS放送と対になる呼び方。BSとCSの名前の違いは、使う衛星の種類の違いからきている。CS放送は有料の多チャンネル放送が中心で、有料番組を見るには受信契約が必要になる。東経110度のCS衛星はBS衛星と同じ軌道位置にあるため、110度CS対応のBSアンテナ1台で両方を受信できる。
このチャンネルは地上波ではなくCSで放送されている専門局です。
クライマックスシリーズ(プロ野球)
Climax Series
クライマックスシリーズは下記の規定に従ってファースト、ファイナルステージに分けて行い、ファイナルステージの勝者が日本選手権シリーズに出場する。
日本プロ野球(NPB)で、セ・パ各リーグのレギュラーシーズン1位から3位の球団が、日本シリーズへの出場権をかけて戦うポストシーズンの制度。2位と3位が戦うファーストステージの勝者が、1位球団とファイナルステージを戦う。2026年の規定では、ファイナルステージは6試合制で1位球団に1勝のアドバンテージ(試合前から与えられる勝ち数)がつくが、両球団のゲーム差が10以上などの条件では7試合制・2勝のアドバンテージになる。リーグ優勝の球団が日本シリーズに進めるとは限らない。
ペナントを制してもCSで敗れれば日本シリーズには進めない。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)
Community School
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」への転換を図るための有効な仕組みです。
保護者や地域住民が学校運営協議会の委員として学校運営に加わる仕組み。教育行政では「CS」と略され、文部科学省の資料でも「CSの取組」などと書かれる。協議会は、校長が作る学校運営の基本方針の承認や、学校運営・教職員の任用についての意見を述べる役割を持つ。2017年4月施行の法改正で、設置が教育委員会の努力義務になった。
来年度は市内の全小中学校でCSを導入し、学校運営協議会を立ち上げる予定です。
帝王切開
Cesarean section
産科で、腹部と子宮を切開して胎児を取り出す手術(帝王切開術)の略称。英語の cesarean section の頭文字で、産婦人科のカルテでは既往歴や分娩方法を書くときに使う。臨床医学の略語集には、同じ「CS」でコンパートメント症候群や冠静脈洞なども載っているため、診療科によって読み方が変わる。
前回CSのため、今回も予定帝王切開で入院の予定です。
回線交換
Circuit Switched
携帯電話網で、通話のあいだ専用の通信経路を確保する回線交換方式、またはそれを使うネットワークの部分(CSドメイン)。3Gでは主に音声通話をCSドメインで扱い、データ通信を扱うパケット交換(PS)と対になっていた。LTEには回線交換網がないため、初期のLTE端末は通話のときに3G網へ切り替える「CSフォールバック(CSFB)」という技術を使った。
LTE端末が通話するときは、CSFBで3GのCSドメインに切り替わる。
「CS」は相手がいて意味が決まる
「CS」とだけ書かれたメモが手元にあるとする。CS には、少なくとも6つの意味がある。顧客満足やカスタマーサクセス(マーケティング)、通信衛星(放送)、クライマックスシリーズ(プロ野球)、コミュニティ・スクール(教育)、帝王切開(医療)、回線交換(通信)である。二文字を眺めていても、どれなのかは決まらない。
隣に対の略語がある CS
放送と通信の CS は、どちらも対になる略語を持つ。放送の CS は通信衛星のことで、放送専用の放送衛星 BS と対にして呼ばれる。BS と CS の名前の違いは、使う衛星の種類の違いからきている。東経110度の CS 衛星は BS 衛星と同じ軌道位置にあり、110度CS対応の BS アンテナ1台で両方を受信できる。
通信の CS は回線交換(Circuit Switched)で、相手はデータ通信を扱うパケット交換(PS)である。3G では主に音声通話を CS ドメインで扱い、データ通信は PS が受け持っていた。LTE には回線交換網がなく、初期の LTE 端末は通話のたびに3G網へ切り替える「CSフォールバック(CSFB)」を使った。
BS や PS が隣に並んでいるから、この2つは衛星の話、回線の話と読める。単独で書かれると、どちらなのかも分からない。
資料の種類で読み方が変わる CS
対の略語を持たない CS は、書かれた場所によって読み方が決まる。プロ野球のクライマックスシリーズは、セ・パ各リーグの1位から3位の球団が日本シリーズの出場権を争う制度で、NPB の規定には次のようにある。
「クライマックスシリーズは下記の規定に従ってファースト、ファイナルステージに分けて行い、ファイナルステージの勝者が日本選手権シリーズに出場する。」(NPB の規定)
日本シリーズに進むのはファイナルステージの勝者で、リーグ優勝の球団とは限らない。2026年の規定では、ファイナルステージは6試合制で1位球団に1勝のアドバンテージがつく。ただし両球団のゲーム差が10以上などの条件では、7試合制・2勝のアドバンテージになる。規定は年によって変わりうるため、数字を引くときは年を添える必要がある。
産科のカルテなら、CS は帝王切開(Cesarean section)で、既往歴や分娩方法を書くときに使われる。臨床医学の略語集には、コンパートメント症候群や冠静脈洞も CS として載っているので、診療科が変われば読みも変わる。教育では、文部科学省の資料に「CSの取組」と書かれ、コミュニティ・スクールの略として使われている。マーケティングでは、顧客満足とカスタマーサクセスのどちらを指すかを、同じ会議の中で文脈から判断することになる。
冒頭のメモが産科のカルテの余白にあれば帝王切開の既往だろうし、文部科学省の資料の一行なら、コミュニティ・スクールを指しているのだろう。それでも、そのカルテが産科のものかどうかを確かめるまでは、冠静脈洞の可能性が消えない。