CT
シーティー
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
コンピュータ断層撮影(X線CT装置)
Computed Tomography
体の周囲からX線を当てて得た透過データをコンピュータで計算し、任意の断面や立体の画像にする画像診断装置。単純X線撮影が1方向の影を写すのに対し、多方向のデータから再構成する点が違う。MRIと並ぶ診断機器の代表で、機器の仕様書や入札では「X線CT診断装置」と書かれる。
新しいCT装置は64列で、胸部の撮影が数秒で終わる。
変流器(計器用変流器)
Current Transformer
電力設備で大きな電流を、電流計や保護リレーで扱える小さな電流(定格二次電流は5Aが多い)に変換する機器。一次電流に比例した電流が二次巻線に流れる。運転中に二次側を開放すると二次側に高電圧が生じ、絶縁破壊や焼損のおそれがあるため、「二次側開放厳禁」とされ、外すときは短絡してから扱う。
CTの二次側は開放厳禁なので、交換前に必ず短絡してから外す。
Ct値(サイクルスレッショルド)
Cycle threshold
リアルタイムPCR(qPCR)で、増幅によって蛍光シグナルが設定したしきい値に達するまでに要したサイクル数。最初に入っていた標的核酸が多いほど小さな値になるため、標準試料や参照遺伝子との比較で、元のコピー数の絶対量や相対量を見積もる指標に使う。
ΔΔCt法で、対照群に対する遺伝子発現量の変化を計算した。
対テロ部隊側(Counter-Strike などのチーム名)
Counter-Terrorists
FPS『Counter-Strike』シリーズで、テロリスト側(T)と対戦する側のチーム名。爆弾が仕掛けられたら解除し、人質救出マップでは人質を救う役を担う。この呼び方は『VALORANT』にも持ち込まれ、防衛側の初期位置(スポーン)付近の場所を「CT」と呼ぶコールアウトとして使われる。
このマップはCT側が有利だから、まず守りの配置を確認しよう。
CTの三つの語は、1971年から1999年に出そろう
CTという二文字は、四つの業界で別の意味を持つ。変流器のように設備の名前として古くからある使い方もあるが、生まれた年を確かめられるのは三つで、1971年、1993年、1999年と、28年のあいだに収まっている。
いちばん古いのは医療機器のX線CTである。最初の臨床検査は、1971年10月1日、ロンドン南西部ウィンブルドンのアトキンソン・モーリー病院で行われたとされる。対象は脳の腫瘍が疑われた女性で、装置を開発したのはゴッドフリー・ハウンズフィールドの率いるチームだった。開発の開始は1967年にさかのぼる。1979年には、ハウンズフィールドと、断層撮影の理論面を築いたアラン・コーマックがノーベル生理学・医学賞を共同で受賞した。ところがコーマックは米国で独立に研究していて、EMI社の装置開発には加わっていない。同じ賞を受けた二人は、別々の場所で別々の仕事をしていた。
生命科学のCtは、その22年後に現れる。1993年、ラッセル・ヒグチらが『Bio/Technology』に「Kinetic PCR analysis」を発表し、リアルタイムPCRの考え方が論文になった。PCRの反応液にエチジウムブロミドという蛍光色素を入れたところ、反応が進むにつれて光が強まった。この観察から、増幅の様子を反応中に追えるはずだと考えたという。蛍光があるしきい値に達するまでのサイクル数がCtで、このやり方から出てきた数字である。X線CTは画像を作る機械だが、Ct値が返すのは画像ではなく一つの数字だ。
ゲームのCTは、さらに6年あとの1999年6月19日に始まる。『Counter-Strike』が、『Half-Life』の改造データ(MOD)として初めて公開された日である。作ったのはミン・リー(Minh Le)とジェス・クリフ(Jess Cliffe)で、最初のベータ版には、人質救出のモードが一つと、警察官役とテロリスト役のモデルが一つずつ入っていた。ゲームの中でCTと言えば、このときのCounter-Terroristsの略を指す。呼び方は後続のゲームにも引き継がれ、『VALORANT』ではマップ上の場所を指すコールアウトにも使われている。
医療機器、バイオ、ゲームは、互いにほとんど接点のない分野である。その三つで、同じ二文字が別々に決まっていった。
ただ、三つのうち大文字小文字が同じなのは二つだけで、X線CTと対テロ部隊側は大文字のCT、PCRの指標はCtと書く。検査室の掲示や論文では、この小文字のtが、X線CTのCTと区別する唯一の手がかりになる。