略語

DB

ディービー

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

IT・システム開発

データベース

database

システムが扱うデータを、複数のアプリケーションやユーザーから共有・検索できるように整理して保存したもの。設計書やコードでは「DB」と略し、DB設計・DBサーバー・DB接続のように使う。表形式のRDB(リレーショナルデータベース)が主流で、管理ソフトはDBMSと呼ぶ。

画面から登録したデータはDBに保存して、一覧画面でそこから読み出す。

保険

確定給付企業年金

Defined Benefit

受け取る年金の給付額があらかじめ確定している企業年金。2002年施行の確定給付企業年金法にもとづく制度で、運用の結果責任は企業が負うため、運用成績がよくても悪くても給付額は変わらない。加入者が自分で運用を決める確定拠出年金(DC)と対にして、「DB/DC」と並べて呼ぶ。

うちの退職金制度は、一部をDBで、残りをDCで運用している。

スポーツ・フィットネス

ディフェンシブバック(アメリカンフットボール)

defensive back

アメリカンフットボールの守備で、両サイドにつくコーナーバック(CB)と最後尾につくセイフティ(S)をまとめた呼び名。主な役目はパスへの守備。パスが来そうな場面では5人以上置くことがあり、5人目をニッケルバック、6人目をダイムバックと呼ぶ。

今年のドラフトはDBの層が厚いと言われている。

音響・レコーディング

デシベル

decibel

音の大きさなど、基準量との比を対数(底10)で表す単位で、正式な記号は小文字の dB。音響では音圧を基準値 20 µPa と比べた dB SPL がよく使われる。PA やミキサーの目盛り、音量の増減を言うときの共通語になる。

ボーカルを3dB上げたら、ほかの楽器が埋もれてしまった。

建設・建築

設計施工一括発注方式(デザインビルド)

Design-Build

「設計・施工一括発注方式」とは、構造物の構造形式や主要諸元も含めた設計を、施工と一括して発注する方式である。

出典:公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン【本編】(国土交通省)

公共工事などで、設計と施工を別々に発注せず、ひとつの契約でまとめて発注する方式。施工会社が設計の段階から加わるので、その会社の工法や技術を設計に生かしやすい。一方、設計が固まる前に契約するため、地質や関係機関との協議などのリスクは大きくなりやすい。

この橋は施工難度が高いので、DB方式で発注して施工会社の工法を設計に取り込む。

DBの五つのうち、dBだけが小文字を持つ

設計書の「DB」と、ミキサーの目盛りに刻まれた「dB」を並べてみる。前者は大文字が二つ、後者は小文字と大文字だ。打ち間違いに見えるが、間違いではない。

では、五つの意味のうち、なぜdBだけ大小が混ざるのか。

ほかの四つは、言葉の頭の文字を大文字で並べた略語である。ITの database、年金の Defined Benefit、アメリカンフットボールの defensive back、建設の Design-Build。分野はばらばらでも、作り方は同じだ。会議で「DBで発注する」と言えば建設、「DBは何割か」と言えば年金だが、どちらも書けば同じ二文字になる。

dB は作りが違う。d は「10分の1」を意味する接頭辞のデシ、B は単位のベルで、二つを継いだ記号がデシベルになる。Wikipedia日本語版『デシベル』は、デシベルを「ベルに 10−1 を意味する SI接頭語デシ(記号: d)を付けたものである」と説明している。頭文字を拾ったのではなく、部品を組んだ記号なので、小文字と大文字が混ざる。声に出すときも「ディービー」ではなく「デシベル」と読む。これが冒頭の問いの答えである。

ベルは人の名前である。同じ記事によれば、ベルの語源は、アレクサンダー・グラハム・ベルが電話における電力の伝送減衰を表すのに最初に用いたことに由来する。電話線で信号が弱まる程度を測る単位に、電話を世に出した人の名が残っているわけだ。

ベルのままでは目盛りが粗すぎる。同記事は、値が10倍になるよう単位のほうを10分の1にしたデシベルが、実用では通常使われるとしている。ボーカルを3dB上げるというのは、0.3ベル上げるのと同じ量だ。ただ、現場で0.3ベルと言う人はいない。

ベルの記号がなぜ大文字のBなのか、dという小文字との並びがいつ決まったのかは、確かめられていない。人名にちなむ単位の記号が大文字で始まることが多い、という一般的な書き方に沿ったものだとは思う。ただ、そうだと言い切れる根拠は手元にない。

確かなのは、四つのDBが頭文字の略語で、dB だけが接頭辞と人名を継いだ記号だということだ。しかも読みが違う。ITも年金もアメフトも建設も「ディービー」と読み、dB だけが「デシベル」になる。表記が一字ちがうだけで、声に出す場面では混ざらない。

ミキサーの目盛りには、小文字の d と大文字の B が並んでいる。その B は、電話の減衰を測ろうとした人の名前の頭文字だ。