略語

DR

ディーアール

7つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

広告(マス・屋外・販促)

ダイレクトレスポンス広告、DR広告

Direct Response

見た人に購入・申込み・資料請求といった行動をその場で取ってもらい、広告主へ直接反応を返してもらうことを狙う広告手法。テレビショッピング、新聞広告や折込チラシ、DM、ラジオ通販が代表的で、「今すぐお電話を」のように申込み方法を目立たせて載せる。ブランドの認知を上げるイメージ広告とは対比され、問い合わせや注文の数で効果を測る。

この枠は認知用ではなくDR広告として出すので、電話番号と申込み期限を大きく入れてください。

インフラ・クラウド・セキュリティ

災害復旧、ディザスタリカバリ

Disaster Recovery

地震や火災などの災害でシステムが止まったとき、データやサービスを別の拠点で復旧させる仕組みと手順。遠隔地のバックアップやクラウド上の待機環境が使われる。事業継続計画(BCP、災害時に事業を続けるための会社全体の計画)の一部に位置づけられ、復旧までにかけてよい時間(RTO)と、データをどの時点まで戻せればよいか(RPO)の目標を決めて設計する。

東京のデータセンターが止まっても大阪で再開できるよう、DR環境を構築する。

医療機器

デジタルラジオグラフィ、DRシステム

Digital Radiography

DRシステムとは、FPD(フラットパネルディテクター)と呼ばれる撮影装置を使用し、人体を透過したX線をデジタル信号に変換して画像化するシステムです。

出典:国立病院機構 神戸医療センター 放射線科「一般撮影」

FPD(フラットパネルディテクタ。X線を受けてデジタル信号に変える平面の検出器)で、人体を透過したX線を画像にするX線撮影システム。撮影後すぐに画像を確認できる。イメージングプレートを読取装置で処理するCR(コンピューテッドラジオグラフィ)とは別の方式で、撮影室の装置をCRからDRに更新した医療機関もある。

一般撮影室の装置をCRからDRに更新して、撮影後すぐに画像を確認できるようにした。

音響・レコーディング

ダイナミックレンジ、DR値

Dynamic Range

録音・再生機器や音源で扱える、最も大きな音と最も小さな音の比。機器では、ノイズフロア(機器が出す雑音)から歪む手前までの幅を表す仕様値で、dB(デシベル)で示し、大きいほど小さな音までノイズに埋もれにくい。もう一つの使い方として、楽曲やアルバムの音量の振れ幅を測る「DR値」(DR4、DR14など)があり、マスタリングで音を強く圧縮して音量を稼ぐほど値が小さくなる。

このオーディオIFはDRが高いので、小さい音もノイズに埋もれにくい。

証券・投資

預託証券

Depositary Receipt

ある国の企業の株式を、他の国の市場でも売買できるようにする代替の証券。発行企業の株式を銀行などに預け、それを裏付けとして海外で発行する。米国の市場で取引されるものはADR、日本の取引所で円建てで売買されるものは日本型預託証券(JDR)と呼ばれ、日本の投資家が現地で直接売買しにくい外国株なども円で売買できる。

日本から直接買いにくい外国株も、日本の取引所に上場したDRなら円で売買できる。

エネルギー

ディマンド・リスポンス、デマンドレスポンス

Demand Response

電力の需要側が、供給の状況に合わせて使う電気の量を変えて、需給のバランスを取る仕組み。需要を減らす「下げDR」と、太陽光などの発電が余るときに需要を増やす「上げDR」がある。ピーク時の電気料金を高くして使用を抑えてもらう料金型と、電力会社などの依頼に応じて需要を抑え、対価を受け取るインセンティブ型がある。

夏の需給ひっ迫に備えて、工場のDRで空調の使用を一時的に抑える契約を結んだ。

機械・生産

デザインレビュー、設計審査

Design Review

設計開発をこのまま進めて品質・納期・コストの条件を満たせるかを、設計者だけでなく営業・購買・生産管理・品質保証など複数の部門で判断する会議。設計開始前、出図前、量産に入る前などの区切りで開く。製品の品質やコストは設計段階で大半が決まるとされ、手戻りを防ぐ手段として、ISO 9001でも実施が求められている。

量産に入る前に、DRで品質保証と購買から指摘を受けて図面を直した。

DRは、対になる相手で意味が決まる

「DR を更新した」と聞いたとき、病院なら撮影室の装置、IT 部門なら待機環境の入れ替えを思い浮かべるだろう。推測だが、同じ二文字で、これだけ違うものを指しうる。

7業界の展開形を並べると、Direct Response、Disaster Recovery、Digital Radiography、Dynamic Range、Depositary Receipt、Demand Response、Design Review になる。指すものは広告手法、復旧の手順、撮影システム、音量の幅、証券、電力の仕組み、会議とばらばらで、揃っているのは頭文字が D と R であることだけだ。展開形を知らなくても、業界によっては DR が何と対にされるか、どんな数字や条件で語られるかで見分けがつく。

対にされる DR

広告の DR(ダイレクトレスポンス)は、ブランドの認知を上げるイメージ広告と対比される。見た人にその場で購入や申込みをしてもらうことを狙い、効果は問い合わせや注文の数で測る。

病院の DR(デジタルラジオグラフィ)には、CR(コンピューテッドラジオグラフィ)という相手がいる。CR はイメージングプレートを読取装置で処理する方式で、DR は FPD(フラットパネルディテクタ)で撮影し、撮影後すぐに画像を確認できる。冒頭の「更新」は、撮影室の装置を CR から DR に替えた医療機関もある、という意味でありうる。国立病院機構 神戸医療センターは、DR システムを「FPD(フラットパネルディテクター)と呼ばれる撮影装置を使用し、人体を透過したX線をデジタル信号に変換して画像化するシステムです。」と説明している。

電力の DR(ディマンド・リスポンス)は、同じ略語のまま向きが逆の2種類に分かれる。需要を減らす「下げDR」と、太陽光などの発電が余るときに需要を増やす「上げDR」だ。

音響では、同じ DR が業界の中で2つの使い方をされる。機器の仕様値としてのダイナミックレンジは、ノイズフロアから歪む手前までの幅を dB で示し、大きいほど小さな音までノイズに埋もれにくい。もう一つは楽曲やアルバムの音量の振れ幅を測る「DR値」(DR4、DR14など)で、マスタリングで音を強く圧縮して音量を稼ぐほど値が小さくなる。数字が小さいほど音量が稼げていて、振れ幅は狭い。

数字や条件が付く DR

IT インフラの DR(災害復旧)は、復旧までにかけてよい時間(RTO)と、データをどの時点まで戻せればよいか(RPO)という2つの目標を決めて設計する。事業継続計画(BCP)の一部という位置づけである。

製造業のデザインレビューは、品質・納期・コストの条件を満たせるかを複数の部門で判断する会議で、ISO 9001でも実施が求められている。金融の預託証券は、米国で取引されるものが ADR、日本の取引所で円建てで売買されるものが JDR と、頭に付く文字で区別される。

DR に付く数字は業界で種類が違う。広告は注文の数、音響の DR値は音量の振れ幅、IT は RTO と RPO である。

だから IT 部門の「DR を更新した」は、RTO と RPO の目標を満たすための待機環境の入れ替えを指しうる。病院の同じ一言は、CR からの置き換えを指しうる。