略語

EL

イーエル

3つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

半導体・電子部品

エレクトロルミネッセンス(電界発光)

electroluminescence

半導体などに電界をかけて光らせる現象、またはそれを使う発光素子。発光物が有機物なら有機EL、無機物なら無機ELと呼び分ける。有機ELはバックライトが要らず素子自体が光るため、薄型のディスプレイや照明に使われる。

この有機ELパネルは、水分と酸素を遮断する封止工程の歩留まりが課題だ。

土木・測量

標高

elevation

EL.は標高の略(Elevation)。

出典:国土交通省「ダム知識 記号と単位」

ダムの堤頂や貯水位など、高さを示す図面・諸元で使う表記。EL.450.5m のように書き、その場の地面からの高さではなく、日本では東京湾の平均海面を 0m とした標高を表す。読みは「イーエル」。

ダムの天端は EL.450.5m で、常時満水位との差を図面で確認する。

銀行・融資

期待損失

Expected Loss

貸出先や貸出全体について、一定期間に平均して見込まれる損失の大きさ。デフォルト確率(PD)、デフォルト時損失率(LGD)、デフォルト時エクスポージャー(EAD)などのリスク要素から計測する。見込みを超える損失の非期待損失(UL)と対にして、信用リスクの計量に使う。

この貸出ポートフォリオの EL を計測して、貸倒引当金の水準と比べる。

ELの二文字は、三通りの切り出し方

資料に「EL」とだけ書いてあったとき、それは光なのか、高さなのか、損失なのか。二文字は同じでも、どの語からその二文字を取ったかは、三つで違っている。

エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)は、電界をかけて光らせる現象だ。発光物が有機物なら有機EL、無機物なら無機ELと呼ばれる。この語は electro と luminescence をつないだ一語で、E は前半の頭、L は後半の頭にあたる。期待損失(Expected Loss)は二語の頭文字で、境目に迷いがない。標高(Elevation)だけは、一語の頭の二文字をそのまま取っている。

国土交通省の「ダム知識 記号と単位」には、「EL.は標高の略(Elevation)。」とある。堤頂や貯水位は「EL.○○m」と書き、0m にあたるのは日本では東京湾の平均的な海面だ。同じ資料には「その場の地面からの高さではありません」という注記もある。EL.450.5m と読んだなら、それはダムの足元から測った数字ではなく、海面から測った数字になる。

損失のほうの EL には、点も単位もない。しかも「期待」と付くのに、誰も望んでいない損失を指す。日本銀行の金融高度化セミナー資料は、PD、LGD、EAD といったリスク要素を計測して「期待損失(EL)や非期待損失(UL)を把握する」と書く。LGD の説明には「デフォルトした時点での損失見込み額の与信額に対する割合」とある。ここでの「期待」は、望むという意味ではなく、平均的に見込まれる損失、つまり統計でいう期待値の意味である。

見込める損失と、見込めない損失は、銀行の中で扱いが分かれた。日本銀行が仮訳を載せたバーゼル委員会の資料によると、委員会は2003年10月11日に、非期待損失だけを対象にリスクウェイトを計測する方式へ移る意図を公表した。2004年1月14日と15日の会合では、内部格付手法のリスクウェイト関数から期待損失を除くと決めた。その代わり、銀行は実際の引当額を期待損失額と比べる。引当が足りなければ、不足分は Tier1 と Tier2 から均等に控除される。

国土交通省の資料で「EL.」と書かれた標高だけが、末尾に点を持っていた。点のない EL は、光か損失を指す。ダムの図面に点つきの EL.450.5m があれば、それは東京湾の海面から数えた高さである。