EQ
イーキュー
3つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
イコライザー
equalizer
周波数帯ごとに音量を持ち上げたり下げたりして、音の周波数特性の乱れを整える機能・機器。PAや録音のミックスでは、不要な帯域を削って他の音を際立たせる使い方が基本で、ボーカルの低域をハイパスフィルターで削る、ハウリングする帯域だけを狭く削る、といった調整にも使う。音に好みの味付けをする用途もある。
ボーカルが埋もれるので、ギターの中域をEQで少し削ろう。
心の知能指数
Emotional Intelligence Quotient
感情知能指数とも訳され、感情を認識して適切に扱い、対人関係に生かす力を示す指標。論理的思考力などの認知的な知性を測るIQとは別の力として扱われる。人事では採用や人材育成の観点に使われ、EQ向上研修や1on1でのフィードバックで高めるとされる。自己評価式の診断は主観やバイアスが入りやすいとの指摘もある。
管理職研修の一環として、EQを高めるコーチングを導入した。
エバークエスト
EverQuest
1999年3月に米国でサービスを開始したオンラインRPG(MMORPG)の略称。その戦闘システムを取り入れた後続の3D MMORPGは「EQクローン」と呼ばれることがある。
EQクローンと呼ばれる初期のMMORPGをよく遊んだ。
EQのつまみにQがあり、IQの隣にもQがある
ミキサーのチャンネルには、EQの区画がある。ローミッドの周波数つまみの下に、もう一つ、Qと書かれたつまみが並ぶ。EQの中にQがある。同じ文字が二度出てくるのは、偶然なのだろうか。
音響のQは、英語の quality factor の頭文字で、共振のピークの鋭さを表す値だ(Wikipedia日本語版「Q値」)。EQに使うときは、効かせる帯域の狭さを決める。Roland のシンセサイザー EX-4 のパラメーター解説には「値を大きくするほど範囲は狭くなります」とあり、設定できる幅は0.5から16まで。数字を上げれば針のように細くなり、下げれば緩やかに広がる。ハウリングする一点だけを削りたいときは大きく、全体の雰囲気を変えたいときは小さくする。
一方の EQ という略称は、equalizer の綴りから取った二文字に見える。Qは quality ではない。同じ機械の同じ区画に、別の由来のQが並んでいたことになる。
人事の側へ移ると、Qはまた別の語になる。心の知能指数としての EQ は、知能指数 IQ の Q を引き継いだ形で広まった。IQ の Q は quotient、つまり「商」だ。提唱されたのは1912年、心理学者ウィリアム・スターンが、ドイツ語の Intelligenzquotient として知能検査の採点を表したのが始まりとされる(Wikipedia日本語版「知能指数」)。商とは割り算の答えのことだ。
この「商」が、感情の話に持ち込まれる。1995年、ゴールマンが『EQ-こころの知能指数』を出し、職業での成功はIQではなくEQで決まると強調した(労働政策研究・研修機構のコラム)。感情に商があるのか、と首をかしげたくなる。割り算の答えを名乗るのに、感情には割る数も割られる数もない。名前の形だけが、先に流通したように見える。この点は、命名の経緯を直接確かめた資料がないので、推測にとどめておく。
三つめのQは、1999年3月に米国でサービスが始まったオンラインRPG「エバークエスト」の略称 EQ に入っている。こちらの Q は quest、探索の意味で、題名の後半をそのまま略したものだ。後続の3D MMORPGが、戦闘のしくみを取り入れて「EQクローン」と呼ばれることもある(Wikipedia日本語版「エバークエスト」)。
並べてみると、EQの二文字に入るQは、音響では綴りの一部と品質係数、人事では商、ゲームでは探索と、少なくとも4通りに分かれる。しかも、音響のEQだけが、内側にもう一つのQを抱えている。
卓の前に戻ると、Qのつまみは0.5から16までの数字を指している。その横のEQの名札は、同じ機械の中で、別のQを読ませる。