用語

フィード

フィード

4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

Webサービス・SaaS・アプリ

フィード(更新情報の配信)

feed

サイトやアプリの新着記事・更新情報を、決まった形式で継続的に配信する仕組みとその中身。RSSやAtomはXMLで書かれたフィードの規格で、ユーザーはフィードリーダーで複数サイトの更新をまとめて購読する。SNSやアプリでは、投稿が並ぶ画面(ニュースフィード)そのものも指す。

ブログの更新をフィードで配信しているので、リーダーに登録しておけば新着を見逃さない。

インターネット広告

商品フィード・データフィード

product feed / data feed

ショッピング広告やダイナミック広告で、商品名・価格・在庫・画像URLなどの商品データをまとめて広告媒体に入稿するためのデータファイル。広告媒体ごとの仕様に合わせて作り、更新すれば広告の内容も自動で変わる。ECの商品登録とは別に、広告配信用の入稿データとして運用する。

在庫切れの商品が広告に出ていたので、商品フィードの更新頻度を上げた。

農業・畜産・林業

飼料(家畜のえさ)

feed

牛・豚・鶏などの家畜や養殖魚に与えるえさ、つまり飼料のこと。畜産の現場では単独より、肉牛を囲って穀物飼料で肥育する「フィードロット」、牛舎で飼槽の飼料を牛の前へ押し戻す「フィードプッシャー」など、設備や手法の名前に入って使われることが多い。配合飼料メーカーの社名にも使われている。

夜間もフィードプッシャーが餌を寄せてくれるので、牛の採食量が安定した。

機械・生産

送り・送り速度

feed / feed rate

旋盤やフライス盤などの切削加工で、工具と加工物が相対的に動く量や速さ。旋削・穴あけでは主軸1回転あたりの移動量(mm/rev)、フライス加工では1分あたりの移動量(mm/min)で表すことが多い。主軸回転数と並ぶ切削条件で、仕上げ面の品質と工具寿命を左右する。

びびりが出たので、フィードを少し落として様子を見よう。

feedは同じ「与える」で、日本語では三つに割れた

「フィードを調整しておいて」と頼まれたとき、何に手を付けるかは職場ごとに違う。畜産なら餌の量や回数、製造なら加工機の送り速度、広告なら商品データの更新頻度である。同じ四文字なのに、動かす対象がまるで違う。

英語ではどれも feed の一語で済んでいる。英語版ウィクショナリーによれば、feed は古英語の fēdan(食べさせる)にさかのぼる語で、オランダ語の voeden、スウェーデン語の föda と同じ系統にある。もとは「食べ物を与える」という動きを指した。ここに並べた四つの意味は、どれもその「与える」から枝分かれしたものだ。日本語に入るとき、枝ごとに別の訳が当てられた。

飼料、送り、フィード

畜産では、与えられるものそのものが feed で、日本語では「飼料」になる。それでも現場では「フィードロット」「フィードプッシャー」のように、カタカナのまま設備の名前に残っている。配合飼料メーカーのフィード・ワンも、社名にそのまま使った例である。

切削加工では、与える対象が変わる。英語版ウィクショナリーは machining の feed を「機械に送り込まれる材料の前進運動」と書いている。日本の現場ではこれを「送り」と訳し、主軸1回転あたりの mm や、1分あたりの mm で数える。ここでは食べ物ではなく動きの量が feed である。

Web では、与えられるのは更新情報になる。英語版ウィキペディアは web feed を「頻繁に更新される内容をユーザーに提供するためのデータ形式」と説明する。RSS 2.0 の公開が2002年9月、Atom の登場が2003年6月、Atom が RFC 4287 になったのが2005年。こちらは訳されず、「フィード」とカタカナで書くのが普通になった。

冒頭の依頼を受けた人は

飼料は「与えられる物」、送りは「与える動きの量」、Web のフィードは「与えられる流れ」を指す。飼料と送りには漢語の訳が定着し、カタカナで残ったのは Web のフィードだけである。

カタカナの「フィード」がそのまま通じるのは、Web と広告のあたりに限られる。畜産の現場では、フィードロットのように設備の名前の一部として残るだけで、加工の現場では「送り」と呼ぶ。冒頭の依頼が牛舎で出たなら餌の量や回数の話になり、工作機械の前で出たなら送り速度の話になり、広告の運用担当から出たなら商品データの更新頻度の話になる。