略語

FM

エフエム

4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

放送(テレビ・ラジオ)

FM放送(超短波放送)

Frequency Modulation

音声の変化を電波の周波数の変化に乗せて送るラジオ放送。日本では76.0〜99.0MHzの超短波を使い、AM放送より音の帯域が広くステレオ放送にも向く一方、電波は山かげに回り込みにくい。局名やチャンネル名にも「FM」が付く。

災害時に備えて、FM放送でも聴けるラジオを用意しておく。

音響・レコーディング

FM音源

Frequency Modulation synthesis

ある正弦波(モジュレーター)で別の正弦波(キャリア)の周波数を揺らし、複雑な倍音を作るシンセサイザーの音づくりの方式。波形を作る単位を「オペレーター」と呼び、その組み合わせ方で金属的な音や電子ピアノ風の音を得る。スタンフォード大のチャウニングが発見し、ヤマハのDX7(1983年)で広く普及した。

このエレピの音色はFM音源のオペレーターを4つ重ねて作っている。

不動産管理・ビルメンテナンス

ファシリティマネジメント

Facility Management

企業・団体などの全施設及び環境を経営的視点から総合的に企画・管理・活用する経営管理活動

出典:青森県「FM(ファシリティマネジメント)とは?」(社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会〈JFMA〉の定義として掲載)

土地・建物・設備などの施設と、そこで働く環境を、経営の視点から計画・管理・活用すること。単なる設備の保守や清掃ではなく、コストを抑えつつ施設の価値と使いやすさを高めるのが狙い。日本ではJFMA(日本ファシリティマネジメント協会)が普及を進め、人材の育成も行う。

オフィスの集約はFMの観点から、賃料と稼働率を見直して判断した。

証券・投資

ファンドマネージャー

Fund Manager

投資信託や年金などの運用で、投資先の銘柄選びと資産配分を決め、売買の指図を出す運用担当者。運用会社の運用体制の開示資料などでは「FM人数」のように「FM」と略して書かれる。エコノミストやアナリストの情報も使って判断する立場にある。

来週の運用会議で、FMが組入比率の見直し案を説明する。

FMラジオとFM音源は、同じ「周波数を揺らす」技

FMには四つの意味があり、そのうち二つは同じ言葉の略である。ラジオのFMとシンセサイザーのFM音源は、どちらも Frequency Modulation、周波数変調だ。ファシリティマネジメントやファンドマネージャーのFMとは、頭文字がそろっただけの関係にすぎない。

語源が同じなら、ラジオの音と楽器の音は親戚なのだろうか。原理は確かに同じだが、狙いは大きく違う。

電波の周波数を変えて雑音を避ける

放送のFMを実用の形にしたのは、米国の技術者エドウィン・アームストロングである。1933年12月26日に、周波数変調に関する特許が4件認められた。AM(振幅変調)は電波の強さを変えて音を伝えるが、FMは電波の周波数を変える。雑音に強く音質がよい一方、帯域を広く使う。FMの1チャンネルは200kHzで、AMの20倍の幅になると説明されている(Electronics Notes による)。アームストロングは1937年、自費でニュージャージー州に40キロワットのFM局 W2XMN を建てた。

揺らしすぎて見つかった音色

1967年、スタンフォード大学のジョン・チャウニングは、人工知能研究所で極端なビブラート(音程を揺らす効果)を試していた。揺れの速さが人間に聞き取れる範囲を超えると、ビブラートは消え、まったく新しい音色が現れたという(ヤマハの解説記事による)。ゆっくりなら「揺れ」と聞こえる周波数の変化が、音の高さの範囲まで速くなると「音色」として聞こえる。

大学は1974年にこの発見をヤマハにライセンスした。大学にとって最も収益の大きい特許の一つになったとされる。1983年発売の DX7 は、1980年代のポピュラー音楽の音を決めた楽器と言われる。

特許から放送局までが4年、発見から DX7 までが16年。1933年に電波の上で雑音を避けるために使われた原理は、1967年にはコンピューターの中で、新しい音色を作るために使われた。