GC
ジーシー
9つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
ガベージコレクション
garbage collection
プログラムが動的に確保したメモリのうち、もう参照されなくなった領域を実行環境が自動で探して解放する仕組み。Java や C#、Go などで採用され、開発者が解放処理を書かずに済む一方、回収の最中にアプリが一時停止する(GC 停止)ことが性能問題の原因になる。性能調査では GC の頻度や停止時間がよく見られる。
負荷試験でレスポンスが周期的に悪化するのは、GC の停止時間が長いことが原因かもしれない。
ゼネコン(総合建設業者)
general contractor
発注者から工事を一括して請け負い、専門工事会社(サブコン)への発注や工程・品質・安全の管理を取りまとめる元請の建設会社。日本では「ゼネコン」と呼ぶのが一般的で、海外の建設プロジェクトや英語の契約書では GC と略される。
この物件は GC が決まってから、設備や内装のサブコンの見積もりを取る流れになる。
ガスクロマトグラフィー(ガスクロ)
Gas Chromatography
気化させた試料を、キャリアガス(ヘリウムや窒素など)で細いカラムに通し、成分ごとの通過時間の差で分離して検出器で定性・定量する機器分析法。揮発する成分の分析に向き、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)と並ぶ代表的な手法。質量分析計と組み合わせた GC/MS も広く使われる。
残留溶剤の測定は GC で行い、ピークの保持時間で成分を同定した。
GC含量
GC content
DNA や RNA の塩基のうち、グアニン(G)とシトシン(C)が占める割合。G と C の対は水素結合が3本、A と T の対は2本のため、GC 含量が高いほど二本鎖は安定し融解温度も上がる。プライマー設計や種の特徴づけ、ゲノム解析で指標として使われる。
このプライマーは GC 含量が70%を超えるので、アニーリング温度を高めに設定した。
GCレポ(銘柄を特定しない債券レポ)
general collateral
レポ取引(債券を担保に資金を貸し借りする取引)のうち、担保にする銘柄を指定せず、ほぼ同じレポ金利で取引される債券の集まり(バスケット)から受け渡すもの。特定の銘柄の需給ではなく資金の需給で金利が決まるため、短期金融市場の資金調達コストを映す指標になる。特定の銘柄を指定する取引(SC)と対比される。
月末の資金繰りは、GC レポで1週間分を調達して手当てした。
糖質コルチコイド(グルココルチコイド)
glucocorticoid
副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンのうち、糖や免疫の調節にかかわるもの、およびその合成薬。強い抗炎症・免疫抑制作用があり、炎症性疾患、自己免疫疾患、がん治療などに使われる。薬理学や創薬の論文では GC(複数形 GCs)と略される。
関節リウマチの治療で、GC の長期投与による副作用を減らす薬の開発が進んでいる。
淋菌(淋病の略称)
gonococcus
性感染症である淋病の原因菌(淋菌)、または淋病そのものを指す臨床上の略称。診療録や検査の場面では、クラミジアと並べて「GC/クラミジア」と書き、同時に疑って治療や検査を行うことが多い。
尿道炎の患者さんは、GC とクラミジアの両方の検査を出しておいてください。
総合成績(自転車ロードレース)
general classification
自転車のステージレースで、全ステージの合計タイムによる総合順位。1日ごとの勝者ではなく、積み上げた時間が最も短い選手が総合優勝となる。ステージ優勝がなくても総合優勝はありうる。ツール・ド・フランスでは首位がマイヨ・ジョーヌ(黄色いジャージ)を着る。総合優勝を狙う選手は「GC 狙い」と呼ばれる。
山岳ステージで1分差をつけられ、GC 争いから脱落した。
ニンテンドーゲームキューブ
GameCube
2001年に任天堂が発売した家庭用ゲーム機の略称。ほかに NGC、GCN とも書かれる。ソフトの対応機種表記や移植・エミュレーターの話題で「GC 版」「GC ソフト」のように使われる。
このタイトルは GC 版と Wii 版で収録内容が少し違う。
1952年と1960年に生まれた二つのGC
同じ会社に化学分析の部署とソフトウェア開発の部署があれば、GC という略語は別々の場所で別々の意味で使われる。分析室では GC のピークを読み、開発チームでは GC のログを読む。GC には意味が9つあるが、生まれた年を論文までたどれるものは二つしかない。分析化学のガスクロマトグラフィーと、プログラミングのガベージコレクションである。前者は1952年、後者は1960年で、8年違いになる。
ロンドンの研究所で
ガスクロマトグラフィーを考え出したのは、ロンドン北部ミル・ヒルの国立医学研究所にいたアンソニー・T・ジェームズとアーチャー・J・P・マーティンである。発明は1951年とされる。1952年3月には、ギ酸からドデカン酸までの揮発性脂肪酸を分けて微量測定した論文「Gas-liquid partition chromatography」が出た。
同じ1952年のノーベル化学賞は、マーティンとリチャード・シンジに贈られている。もっとも、授賞理由は「分配クロマトグラフィーの発明」であり、気体を使う方法そのものは含まれていない。気体を使う GC は、その分配クロマトグラフィーの延長にある。
計算機の中で
ガベージコレクションが活字になったのは1960年である。ジョン・マッカーシーが Communications of the ACM に載せた論文「Recursive functions of symbolic expressions and their computation by machine」に、使われなくなった記憶領域を回収する仕組みが書かれている。論文は1ページほどを使い、たどれる領域に印をつけて残りを回収する方法を述べる。これが、ガベージコレクションを説明した最初の公刊文献とされる。
当時マッカーシーが作っていたのはプログラミング言語 Lisp で、この仕組みはその実装に必要だったために生まれた。化学の側が試料の成分を調べる道具として始まったのに対し、こちらは計算機のメモリを管理する必要から始まっている。
出自の異なる二つの GC に、ゼネコン、GC含量、GCレポ、糖質コルチコイドなどが同じ二文字で並ぶ。分析室の GC は1952年の論文につながる装置のピークを示し、開発チームの GC は1960年の論文に書かれた仕組みのログを残している。