略語

GK

ジーケー

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

スポーツ・フィットネス

ゴールキーパー(サッカー・ハンドボールなど)

goalkeeper

ゴールを守る専任の選手を表す記号。サッカーでは競技規則上、ペナルティーエリア内で手を使える唯一のポジションで、メンバー表や戦術ボードにはGKと書く。ハンドボールやホッケーなど、ゴールを守る専任選手がいる競技でも同じ略し方をする。

今日のGKは足元が上手いから、最終ラインからのビルドアップに参加させよう。

趣味・ホビー・玩具

ガレージキット

garage kit

レジンキャストなどで少数生産される組み立て式の模型・フィギュア。原型師や小規模なサークルが原型から型を取って複製し、買い手がパーツの処理・接着・塗装をして仕上げる。日本では「ガレキ」と略すことが多く、「GK」は中国語圏のファンや通販で広く使われ、塗装済みのレジン製スタチューも含めて呼ぶ。

海外通販で買ったGKは未塗装キットだったので、サフを吹いて塗り始めた。

不動産(開発・取引)

合同会社(GK-TKスキームの器)

Godo Kaisha

不動産証券化で、物件(多くは信託受益権)を保有する特別目的会社(SPC)に使われる合同会社。投資家とは匿名組合(TK)契約を結んで出資を集めるため、あわせて「GK-TKスキーム」と呼ぶ。TMK(特定目的会社)方式より制約が少なく維持管理コストも低いため、広く使われている。

このファンドはGKを買い手にして、投資家から匿名組合出資を集める。

生命科学・バイオ

グルコキナーゼ

glucokinase

グルコースにリン酸基を付けてグルコース-6-リン酸にする酵素で、ヘキソキナーゼ(糖をリン酸化する酵素群)の一種。肝臓と膵β細胞に多く、血糖値が上がると反応が進むため、血糖のセンサーとして働く。β細胞ではインスリン分泌、肝細胞ではグリコーゲン(貯蔵用のブドウ糖)の蓄積につながる。論文や創薬では GK と略し、活性化薬は GKA と呼ぶ。

肝臓特異的にGKを活性化する化合物を、糖尿病薬の候補として評価した。

医療・医学

ガンマナイフ(脳の定位放射線治療)

Gamma Knife

頭を切らずに脳内の病変を治す放射線治療、またはその装置。約200個のコバルト60線源から出るガンマ線の細いビームを一点に集め、周囲の正常組織への影響を抑えて照射する。転移性脳腫瘍、髄膜腫、聴神経腫瘍などが対象で、日本では1996年から健康保険の対象になっている。脳神経外科や放射線科では GK と略す。

多発脳転移の患者さんには、まずGKで治療できるか検討しよう。

手を使える線は、1912年に自陣の半分から縮んだ

サッカーでGKだけが手を使えるのは、ペナルティーエリアの中にいる間に限られる。一歩出れば、ただの選手と同じ扱いだ。ゴールを守る役目なら、手を使う場所まで線で区切る必要はなさそうに思える。なぜ線があるのか。

もともとは、線ではなく半面だった。1871年の規則改正でGKという役が生まれたとき、手を使えるのは「ゴールを守るため」とされた。1870年代にはそれが「自陣のどこでも」という書き方になる。エリアに縮められたのは1912年である。きっかけについては、ウェールズ代表のGK、リー・リッチモンド・ルースの名前が語られてきた。自陣を飛び出して攻撃に加わるのが好きな選手で、彼の働きが改正の直接の原因だったと言われている。ただし、この因果は定説として確かめられたものではなく、「言われている」という域を出ない。

いずれにせよ、GKは役職である前に、規則の例外として作られた。例外には、場所の限りがつく。

同じ二文字は、不動産ファンドの資料では別のものを指す。合同会社である。会社法が施行された2006年5月に生まれた会社の形で、米国のLLCをモデルにしたため「日本版LLC」とも呼ばれる。出資者が有限責任のまま経営にも加わる点が特徴で、この器に物件(多くは信託受益権)を持たせ、投資家からは匿名組合(TK)で出資を集める。それが「GK-TK」だ。

GKの名前は、英語の略ではない。「合同会社」と「匿名組合」を、ローマ字にしたときの頭文字から取っている。合同という字も、合名会社・合資会社に字をそろえただけで、とくに意味はないと説明される。名前に意味がなくても、役目ははっきりしている。物件を持つだけの空の器である。

もうひとつのGKは、ガレージキットだ。日本では「ガレキ」と呼ぶことが多く、「GK」は中国語圏のファンや通販で広く使われる。レジンで少数だけ複製した部品を、買い手が自分で削り、接着し、塗る。こちらも英語の garage kit の頭文字で、1980年代に日本の模型ファンが、市販のプラモデルでは物足りずに自分たちで作り始めたのが広がりのもとになったとされる。

医学や生命科学にも、二つのGKがある。ひとつはグルコキナーゼ。グルコースにリン酸基を付ける酵素で、肝臓と膵β細胞に多い。血糖値が上がると反応が進むので、血糖のセンサーとして働く。論文ではGKと略し、活性化薬はGKAと呼ばれる。もうひとつはガンマナイフ。約200個のコバルト60線源から出るガンマ線の細いビームを一点に集め、頭を切らずに脳内の病変へ当てる治療で、脳神経外科や放射線科ではGKと略す。日本で健康保険の対象になったのは1996年からだ。前者は体の中で血糖を測り続け、後者は体の外から一点を狙う。

並べると、年代がずれている。サッカーのGKが1871年、模型のGKが1980年代、ガンマナイフの保険適用が1996年、会社のGKが2006年。合同会社のGKだけが、日本語をローマ字に直してできた。英語圏の人が同じ綴りを見れば、まず思い浮かべるのはゴールキーパーのほうだろう。

線の外では手を使えない選手と、物件を持つだけの器と、組み立て前のレジンの部品と、血糖値が上がると動き出す酵素と、一点に集められたガンマ線。五つのGKは、互いのことを知らないまま、同じ二文字を名乗っている。