GL
ジーエル
5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
総勘定元帳
General Ledger
仕訳帳に日付順に記録した取引を、勘定科目ごとに分けて集めた帳簿。科目ごとの増減と残高を見るために使い、試算表や決算書の元になる。会計ソフトやERPでは、請求・購買・在庫などの補助元帳から仕訳が集まる中心のモジュールをGLと呼ぶ。
月次決算の前に、GLの仮払金の残高が合っているか確認しておいてください。
地盤面(GL)
Ground Level / Ground Line
建築図面で、地盤面の高さ、またはそれを表す線を示す記号。断面図や立面図で、建物の高さや床の高さ(FL)を地盤面からの寸法で表すときの基準になる。「GL+300」のように書く。
1階の床は設計GLから300mm上げて計画しています。
一般賠償責任保険
General Liability
事業の遂行や施設の管理、製品・完成した作業の不具合で第三者にけがをさせたり物を壊したりして負う賠償責任を補償する保険。英語圏の保険会社や代理店はGL保険と略して呼ぶ。取引先や金融機関から、加入を示す保険証明書の提出を求められることも多い。
取引先から、GLの保険証券の写しを提出するよう求められた。
ガールズラブ
Girls Love
女性向け作品のうち、女性同士の恋愛を扱った作品ジャンルの呼び名。日本の商業誌で、こうした作品を指す名称として使われ始めた。古くは「百合漫画」などと呼ばれていた。「ガール」とあるが、成人女性同士の物語も含む。
この書店ではGLの新刊が、BLの棚の隣にまとめて置かれている。
ドイツ船級協会
Germanischer Lloyd
ドイツ・ハンブルクに本拠を置いた船級協会。船舶の安全検査と船級の付与を行った。2013年9月にノルウェーのDNVと合併して独立した組織ではなくなり、DNV GLとなった。DNV GLは2021年3月にDNVへ改称された。
この古い船は、GLの船級を取得していた。
GLの二文字に居合わせた保険屋
保険の窓口で「GLの写しをください」と言われたら、賠償責任保険の証券のことだ。同じ二文字が海運の席に出ると、ドイツの船級協会になる。保険の略語と船の略語がたまたま重なった、と思っていた。実際、由来に関係はない。ただ、船級協会の設立の場をのぞくと、保険業者の姿があった。
1867年3月16日、ハンブルクの取引所の大ホールに、船主、造船業者、保険業者ら約600人が集まった。Germanischer Lloyd、ドイツ船級協会の設立総会である。英語版Wikipediaによれば、団体は非営利で、設立の理由は「透明性」だった。荷主も船主も保険業者も、船の状態をほとんど知る手立てがなかったという。
保険業者が席にいたのは、引き受ける船の中身を知りたかったからだろう。これは私の想像で、記事に書かれているのは、保険業者が参加者の一人だったことと、協会の評価が船主、荷主、保険業者に伝えられる目的だったことまでだ。
名前の「Lloyd」は、ロンドンの別の組織から来ている。ロイズ船級協会(Lloyd’s Register)は1760年にさかのぼり、17世紀のロンドンにあったエドワード・ロイドのコーヒーハウスの客、つまり海運商人や保険の引受人たちが作った。船体を文字で、艤装を数字で格付けし、最上位の「A1」は1775〜76年版の登録簿に初めて現れる。「A1 at Lloyd’s」という言い回しはここから出た。ドイツの協会がこの名を選んだ経緯は、確かめられていない。なお、ロイズ船級協会は保険市場のロイズ(Lloyd’s of London)とは別の組織で、同じコーヒーハウスの周辺から出て同じ名を名乗っている。
では、保険のGLはどうか。General Liability、一般賠償責任保険は、事業や施設の管理、製品の不具合で第三者にけがをさせたり物を壊したりしたときの賠償を補償する。船とは関係のない商品だが、取引先や金融機関が加入の証明を求めるという使われ方には、見覚えがある。相手の備えを、自己申告ではなく第三者が出した紙で確かめる。1867年の船が、船級という紙で確かめられるようになったのと同じ形だ。これは二つを並べたときの私の見立てで、どちらの略語の由来にも関係はない。
窓口で求められた写しは、保険会社が出した紙である。それを受け取る取引先は、1867年のハンブルクで船の状態を知りたがった荷主と、同じ側に立っている。