略語

GM

ジーエム

9つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

スポーツ・フィットネス

ゼネラルマネージャー(球団の編成責任者)

General Manager

プロスポーツ球団で、選手の獲得・放出、契約交渉、ドラフト、トレードなどチーム編成を、オーナーが用意した予算の範囲で担う責任者。現場の指揮は監督やヘッドコーチに任せ、編成と現場の役割を分ける。MLBでは強い権限と高い報酬を伴う職として確立している。日本のプロ野球では、GMを置くかどうかや権限の範囲が球団ごとに異なる。

今オフの補強方針は、GMが予算を見ながら監督と詰めている。

ホテル・観光

総支配人

General Manager

ホテルや旅館で、客室・料飲・宿泊予約・営業・人事・収支など施設運営全体に責任を負う最上位の現場責任者。外資系ホテルでは総支配人をGMと呼ぶのが一般的。施設の収益と顧客満足の双方を最終的に預かり、オーナーや運営会社との窓口にもなる。

宿泊客からの苦情の件は、GMにも報告が上がっている。

ゲーム・eスポーツ

ゲームマスター(TRPGの進行役)

Game Master

テーブルトークRPG(TRPG、会話とサイコロで進める紙のロールプレイングゲーム)で、シナリオを用意し、プレイヤーをまとめ、ルールを運用してゲームを進める人。プレイヤーが想定外の行動をとったときも、最終判定の権限を持つGMが即興で処理する。プレイヤーとは別の役割として卓に座る。

今夜の卓はGMが急用で来られないので、セッションは延期になった。

音響・レコーディング

ジェネラルMIDI(GM音源の共通規格)

General MIDI

MIDI機器の間で音色の並びを揃えるための標準規格。128の音色をプログラムチェンジ番号の決まった順に割り当て、たとえば0番はアコースティックグランドピアノと定める。これによりMIDIデータを別のGM音源に移しても、おおむね同じ楽器の音で再生できる。後継にGM2がある。

このMIDIファイルはGM音源で作ってあるので、どの音源モジュールでも同じ楽器で鳴る。

会計・税務・監査

粗利(売上総利益)

Gross Margin

売上高から売上原価を引いた利益で、損益計算書の最初に出る段階利益。売上高で割った割合は粗利率(売上総利益率)と呼ぶ。ここから販売費及び一般管理費を引くと営業利益になる。英語の財務資料ではGMと略し、金額と率のどちらを指すかは文脈で見分ける。

今期のGMは原材料高で前期より2ポイント下がった。

分析・計測

GM計数管(ガイガー・ミュラー計数管)

Geiger-Müller counter

気体の電離で放射線を検出する計測器で、ガイガーカウンターの検出部。円筒の壁を陰極、中心の細線を陽極にして約1000Vをかけ、放射線が入ると電離のなだれ現象で電気パルスを出す。おもにβ線、γ線の計数に使う。「GM管」とも呼ぶ。

線源の計数率は、GM計数管の端窓型で測った。

遊技・公営競技・盤上遊戯

グランドマスター(チェスの最高称号)

Grandmaster

国際チェス連盟(FIDE)が授与するチェスの称号で、世界チャンピオンに次ぐ権威をもつ。一度取れば生涯有効。取得には、イロレーティング(実力を示す数値)2500以上への到達と、国際大会でのGMノルム(称号に必要な成績基準)の達成(通常3回)が要る。

彼は十代でGMの称号を得た。

生命科学・バイオ

遺伝子組換え

Genetically Modified

別の生物から取り出した有用な遺伝子を細胞のゲノムに組み込み、新しい性質をもたせる技術、またはその技術で作った生物を示す略称。GM作物(除草剤耐性や害虫抵抗性など)、GM樹木のように対象の名詞の前に付ける。英語圏ではGMO(遺伝子組換え生物)とも書く。食品表示では「遺伝子組換え」の語を使う。

このGM作物は、害虫抵抗性を持たせる遺伝子を導入して開発された。

小売・店舗

ジェネラルマーチャンダイズ(食品以外の一般商品)

General Merchandise

スーパーなどの小売で、食品・生鮮以外の日用品や雑貨をまとめて呼ぶ商品区分。台所用品、電池、電球、文房具、ペット用品、グリーティングカードなど、食品売場の外にある商品が入る。米国の食品小売では、買い物かごを大きくし、利益率を高める分野として扱われる。総合スーパーを指すGMS(General Merchandise Store)の語もここから来ている。

食品の売上が伸び悩むので、GMの売場を広げて雑貨で買い物かごを大きくしたい。

GMと名乗る許可は、誰が出すのか

チェスのグランドマスターは、国際チェス連盟(FIDE)が認めて初めて名乗れる。その最初の授与は1950年で、27人が選ばれた。ボトヴィニク、ユーヴェ、ケレスの名も並ぶ。

それより36年前に、もう称号があったという話がある。1914年、ロシア皇帝ニコライ2世が資金を出したサンクトペテルブルクの大会で、決勝に残った五人(ラスカー、カパブランカ、アレヒン、タラッシュ、マーシャル)に、皇帝が「グランドマスター」の名を与えた。出来すぎた話だと思う。チェス史家のエドワード・ウィンターは、この話を裏づける最も古い資料として知られるのは、1940年の『ザ・ニューヨーカー』誌の記事と、マーシャルの自伝(1942年)だと指摘している。大会から26年あとの語りである。皇帝が本当に称号を贈ったのかどうかは、確かめられていない。

確かなのは今のほうだ。許可は数字で出る。イロレーティング(実力を示す数値)が2500以上であること、国際大会でGMノルム(称号に必要な成績基準)を通常3回満たすこと。取れば生涯有効で、対局をやめても称号は残る。

音源の世界にも、許可を出す側がある。General MIDI は、米国のMIDI Manufacturers Association と日本のJapan MIDI Standards Committee が作り、1991年に公表された。128の音色を番号順に定め、0番はアコースティックグランドピアノ。この並びを守る機器が「GM音源」を名乗れる。メーカーが違っても、同じMIDIデータが同じ楽器で鳴るのは、この決めごとのおかげだ。

球団やホテルのGMになると、許可の出どころが変わる。任命するのはオーナーや運営会社で、イロレーティングのような基準表はない。日本のプロ野球では、GMを置くかどうかも、どこまで任せるかも球団ごとに違う。同じ General Manager でも、担う範囲は席ごとに決まる。

TRPGのGMはさらに手前にいる。シナリオを用意してルールを運用し、プレイヤーが想定外の行動をとれば、その場で最終判定を下す。権限は、その夜の卓の中で与えられる。

ガイガー・ミュラー計数管のMは、許可を受ける側の話ですらない。1928年にガイガーと管を改良したミュラーの姓が、そのまま残った。粗利(Gross Margin)、遺伝子組換え(Genetically Modified)、小売の食品以外の商品群(General Merchandise)には、名乗る人がいない。

チェスのGMは、十代で取った称号を一生持ち続ける。卓のGMは、急用で来られない夜には、席ごと空く。