略語

GP

ジーピー

7つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

会計・税務・監査

売上総利益(粗利)

Gross Profit

損益計算書の最初に出る利益で、売上高から売上原価を引いて求める。販売費及び一般管理費を引く前の数字なので、商品やサービス自体の稼ぐ力を見る指標になる。売上高に対する割合である売上総利益率は、GPR(Gross Profit Ratio)と略す。

今期はGPが前年比で伸びたが、販管費も増えて営業利益は横ばいだった。

海運・貿易

汎用コンテナ(ドライコンテナ)

General Purpose (container)

国際海上輸送でもっとも多く使われる、箱形で密閉された標準的なコンテナ。温度管理などの特殊な装備がなく、一般的な乾貨物を運ぶ。サイズは20フィートと40フィートが中心で、運賃表や予約では「20GP」「40GP」と書く。

この貨物は温度管理が不要なので、40GPで予約しておいてください。

証券・投資

無限責任組合員

General Partner

投資ファンド(投資事業有限責任組合など)で、運用の意思決定と執行を担い、組合の債務に無限の責任を負う側の出資者。出資だけをして責任が限定されるLP(Limited Partner)と対になる。実際には運用会社が法人としてGPを務め、運用報酬(管理報酬)と成功報酬(キャリー)を受け取る。

このVCファンドのGPには、運用会社の合同会社が就いている。

医療・医学

一般開業医・総合診療医

General Practitioner

特定の臓器や疾患に限らず、患者の最初の診察を引き受ける医師。英国では、まず登録したGPを受診し、必要に応じて専門医へ紹介される制度が確立しており、日本の文献でもその文脈で使われることが多い。日本では家庭医、総合診療医と訳されることが多い。

英国ではまずGPを予約し、必要なら専門医に紹介してもらう。

スポーツ・フィットネス

グランプリ(モータースポーツ・フィギュアスケートなど)

Grand Prix

フランス語で「大賞」を意味する語で、競技会の名称や格式を示す。モータースポーツでは、第二次世界大戦前にヨーロッパ各国の最も権威あるレースに与えられた名称で、1950年からはそれらをシリーズ戦とするF1世界選手権が始まった。二輪の世界選手権はMotoGPと呼ばれる。競技ごとにシリーズ戦の呼称としても使う。

今週末はヨーロッパでGP開催の予定で、決勝は日曜午後に行われる。

生命科学・バイオ

糖タンパク質

glycoprotein

糖鎖が結合したタンパク質の総称で、ウイルス学では、ウイルスの膜(エンベロープ)の表面に出ている糖タンパク質を指して使う。エボラウイルスではGP1とGP2に分かれ、宿主細胞への付着と侵入を担う。HIVの「gp120」「gp41」のように、名前の数字は分子量(キロダルトン)を表す。

このワクチンは、ウイルスのGPを抗原にして中和抗体を誘導する設計だ。

防衛・安全保障

汎用爆弾

General Purpose (bomb)

爆風、貫通、破片の効果をバランスよく持たせた航空機投下の爆弾。厚い金属の殻に炸薬を詰めた無誘導の構造で、米国のMk 80シリーズ(Mk 82は500ポンド級)が代表例。誘導キットを付けてGBU-12やJDAMの弾頭にも使われる。

この爆弾は誘導装置のないGP爆弾で、JDAMキットを付けると精密誘導になる。

「一般」がいちばん重いGP

GPを七つの業界で調べると、Gが同じ「General」になるものが四つある。コンテナのGPはGeneral Purpose、ファンドのGPはGeneral Partner、診察室のGPはGeneral Practitioner、爆弾のGPもGeneral Purposeだ。残る三つは、売上総利益のGross Profit、レースのGrand Prix、ウイルスの表面に出ている糖タンパク質のglycoproteinである。

四つの「General」は、どれも特別なものの手前に置かれている。コンテナなら、温度管理などの特殊な装備を持つ箱の反対で、装備のない標準の箱が20GP、40GPだ。診察室なら、臓器や疾患で分かれた専門医の反対で、まず患者を受け止める側がGPである。英国ではまず登録したGPにかかり、必要があれば専門医へ紹介される。ファンドでは、出資だけをして責任が限定されるLP(Limited Partner)の反対がGPだ。爆弾のGPは、爆風、貫通、破片の効果を偏らせずに持たせた無誘導の標準型で、誘導キットを付けるとJDAMやGBU-12の弾頭として使われる。

ここまでなら、「一般」は「特別でない、軽いほう」という話で済む。装備がなく、専門がなく、制限がない。

金融のGPだけが、その読み方を裏切る。

投資事業有限責任組合で、GPは無限責任組合員と訳される。出資額の範囲で責任が止まるLPと違い、GPは組合の債務に限りなく責任を負う。一方で運用の判断と執行を担い、管理報酬と成功報酬を受け取るのもGPだ。実際には運用会社が法人としてGPを務めることが多い。四つの「General」のうち、制限のなさがそのまま重さになるのは、ここだけである。

コンテナの「一般」は、条件をつけないから、どの貨物でも載せやすい。診察室の「一般」は、入口を絞らないから、最初に誰でも受け止められる。金融の「一般」も、責任に上限をつけないという意味では同じ向きにある。ただ、上限がないことは、箱では融通の広さになり、組合では背負うものの大きさになる。

もう一つ、LPのLは「Limited」で、GPと対になる。ところが運賃表のGPには「Limited」にあたる相手がいない。反対側にいるのは、リーファーやオープントップのような、名前に用途が付いた箱たちだ。反対語が「限定」の場合もあれば、「専門」や「特殊」の場合もある。「一般」は、何を引いた残りなのかで中身が変わる。

「一般」と関係のない三つの中では、糖タンパク質のGPだけが数字を連れて歩く。HIVの「gp120」の120は分子量で、単位はキロダルトンだ。同じ二文字でも、こちらの重さは数字でそのまま書いてある。

では、日本語で「一般」と訳せばそろうのかというと、そうでもない。コンテナと爆弾は「汎用」、医師は「一般開業医・総合診療医」、組合員は「無限責任」と訳され、同じGeneralが三通りに分かれている。訳す側が、その業界で「一般」が何の残りなのかを読み取って、訳語を選び直しているのだろう。

運賃表で「40GP」を見かけたとき、その箱は、専門を持たないことを名前にしている。同じ二文字のGPが、ファンドの契約書では、組合の責任を一人で負う側を指している。