GS
ジーエス
6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
ガソリンスタンド(給油所)
gasoline stand
車や農機に給油する小売拠点の略称。石油業界・行政の文書ではサービスステーション(SS)とも呼ぶが、報道や支援策では GS とも書かれる。過疎地で店舗が減り、燃料供給網の維持が政策課題になっている。
過疎地の GS が閉鎖されると、灯油の配送や農機への給油に支障が出る。
グループ・サウンズ
group sounds
1960年代後半に日本で流行した、エレキギターを中心にしたバンド編成のポップ・ロックの総称。和製英語で、ザ・スパイダース、ブルー・コメッツ、ザ・タイガース、ザ・テンプターズなどが代表格。レコード会社や芸能プロダクションが売り出した、当時の音楽産業の一大ジャンルだった。
あの喫茶店は、GS のシングル盤ばかり集めて流している。
グランドスラム(テニス:四大大会)
Grand Slam
テニスで、全豪・全仏・全英(ウィンブルドン)・全米の四大大会を指す。スポーツ報道では見出しで GS と略し、「GS 優勝回数」のように四大大会での優勝数を数える言い方に使う。
彼は GS 通算の優勝回数で歴代1位に並んだ。
一般俸給表(米国連邦政府)
General Schedule
米国連邦政府の民間人のホワイトカラー職員に使われる等級・給与制度。GS-1 から GS-15 までの15等級があり、職務の難しさや責任の重さで等級が決まる。求人票では「GS-12」のように等級つきで書かれる。
この求人の職位は GS-13 で、連邦政府の給与表に従う。
グリーソンスコア(グリソンスコア)
Gleason score
前立腺がんの生検・手術標本で、顕微鏡で見た組織の型から悪性度を採点する病理の指標。最も多い型と2番目に多い型の点数を足し、現在はおおむね6〜10で表す。論文では GS と略され、予後の目安や治療方針の判断に使われる。
生検の GS が手術標本の GS より低く出る例が報告されている。
グルタミン合成酵素
glutamine synthetase
グルタミン酸とアンモニアからグルタミンを作る反応を触媒する酵素。組換えタンパク質を作る CHO 細胞では選択マーカーとして広く使われ、GS を欠いた宿主細胞などに目的遺伝子とともに GS を導入して、生産する細胞株を選ぶ。
GS を選択マーカーにして、抗体を作る CHO 細胞株を構築した。
GSの頭文字Gで、人の名前なのは一つだけ
GS の2文字は、二つの語の頭文字だろう。そう思って六つの業界の展開形を並べると、G の語が互いに似ていない。
Grand、Group、General、Gleason、glutamine、gasoline。グランドは「大」、グループは「集団」、ジェネラルは「一般」、グルタミンは物質の名前、ガソリンは燃料の名前である。グリーソンだけが、人の名前だ。
人の名前になった G
グリーソンスコアの Gleason は、米国の病理医ドナルド・グリーソン(Donald F. Gleason)に由来する。米国退役軍人省(VA)の病院で1954年から1975年まで検査部長を務め、VA の前立腺がん共同研究に加わって、組織の乱れ方で悪性度を分ける体系を考案した。論文の GS は Gleason Score、つまりグリーソンの点数で、G はその人の姓の頭文字にあたる。
ほかの五つは、語の意味から頭文字を取っている。名前を冠した指標が、ほかの GS と同じ二文字に収まっただけだ。
先に言葉だけがあった GS
テニスの Grand Slam は、もとはトランプのブリッジの語である。1回の配札で13トリックをすべて取ることを指す。
テニスでの最初期の用例として確かめられたのは、1933年9月10日付の Salt Lake City Tribune に載った AP 通信の記事だ。ジャック・クロフォードが「テニス史上初の grand slam」を目指す、と報じている。クロフォードは全米の決勝でフレッド・ペリーに敗れ、達成できなかった。
達成した選手がまだいないのに、語は先に使われていたことになる。テニスに転用したのはアリソン・ダンジグ、対象は1938年のドン・バッジの四大大会制覇、という説明をよく見かける。ただ、この1933年の記事はそれより5年早い。誰が最初に使ったのかは、この記事だけでは決まらない。
グループ・サウンズは、日本で作られた語だ。デジタル大辞泉は「〈和〉group+sounds」と示す和製英語とし、呼称は昭和42年(1967)頃からとされる(精選版日本国語大辞典による)。1960年代半ばの流行のあとに、名前が付いたことになる。
ブリッジの語から来たもの、人の名前、日本で作られた語。同じ二文字の下に、生まれた場所が三つ並んでいる。病理の報告書の「GS 7」は、グリーソンの名前から来た二文字である。