用語

ヘッド

ヘッド

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

音楽(演奏・楽器)

ドラムヘッド(打面の皮・フィルム)

drumhead

ドラムの胴の開口部に張る膜で、スティックで叩く面と、その裏側で共鳴させる面の両方を指す。もとは動物の皮だったが、現在はポリエステルフィルム(Mylar など)が主流。層の数(ply)と厚さ(mil)で音色や耐久性が変わり、消耗品として張り替える。

スネアのヘッドが伸びてきたので、今度のライブ前に張り替えます。

スポーツ・フィットネス

クラブヘッド(ゴルフ)

club head

ゴルフクラブの先端にあり、ボールを打つ部分。ドライバーなどウッド型はヘッドの体積(cc)で大きさを表すことが多く、ゴルフ規則の用具規則ではクラブヘッドの体積を460cc以下と定めている。これを超えるヘッドは競技では使えない不適合クラブになる。

競技に出るなら、ヘッド体積が460cc以下の適合クラブを選んでおく。

音響・レコーディング

磁気ヘッド(録音・再生・消去)

magnetic head

テープレコーダーやカセットデッキで、走行する磁気テープに接して信号を書き込み、読み出し、消す小形の電磁石。録音用、再生用、消去用があり、録再兼用のものや複数を一体にした複合型もある。録音時は入力信号に応じてテープを磁化し、再生時はテープの磁気変化を電流に戻して増幅する。

再生音がこもるので、まずヘッドの汚れを拭いてみよう。

印刷・DTP・デザイン

印刷ヘッド(インクジェットヘッド)

print head

インクジェット印刷機の中核で、微細なノズルからインクの液滴を紙やフィルムなどの基材に噴射する部品。ノズルは数百から数千個並び、数が多いほど速度を保ったまま高解像度にしやすい。熱でインク内に気泡を生じさせて押し出す方式(サーマル)と、圧電素子で押し出す方式(ピエゾ)がある。

ノズルが詰まって筋が出たので、ヘッドを洗浄してから刷り直す。

インフラ・クラウド・セキュリティ

HEADメソッド

HTTP HEAD method

HTTPリクエストの種類の一つ。GETと同じ要求をしつつ、サーバーは本文を返さずヘッダーだけを返す。大きなファイルをダウンロードする前にContent-Lengthでサイズを確かめる、リンク切れを調べる、更新の有無を確認するといった用途に使う。

監視ツールはHEADリクエストでページの死活だけを確認している。

叩かれるヘッドと撫でられるヘッドは同じ膜

ドラムのヘッドはスティックで叩かれ、テープレコーダーの磁気ヘッドは走るテープに触れて信号を読み書きする。働き方も部品としての出自も、まるで別物に見える。ところが、ドラムのヘッドとテープの土台を素材までさかのぼると、どちらもポリエステルフィルムに行き当たる。

皮から膜へ

ドラムのヘッドは長いあいだ動物の皮だった。温度や湿度で音程が狂い、ときには破れる。ドラマーでもあったレモ・ベリ(Remo Belli)は、第二次世界大戦をきっかけに広まった合成素材に着目し、デュポンが開発したポリエステルフィルム「マイラー(Mylar)」で試作を重ねた。化学者のサム・マチニックが、フィルムの縁に穴を開けて樹脂でアルミの枠に固定する方法を考え、この接着方式の特許は1957年に取られている。最初の製品の名は「ウェザーキング」で、天候に左右されないという意味である。

これで皮は消えたに違いない、と思いたくなる。実際にはそうならなかった。1960年代を通じて、ジャズ奏者には子牛皮の音を好む人が多く、普及には時間がかかった。初期のプラスチックヘッドが白く不透明だったのも、子牛皮の見た目に似せるためだったという。

テープの厚みの大半

録音テープの土台(ベースフィルム)にも、ポリエステル(PET)が使われている。日本ではソニーが1962年に、ポリエステルベースのオープンリール用テープ「MYシリーズ」を発売した。テープの厚みの70〜80%はこのベースフィルムが占めるとされ、磁性体はその上に薄く塗られているにすぎない。磁気ヘッドが当たる磁性層を支えているのは、ポリエステルの膜である。

つまり、スティックに叩かれる打面と、磁気ヘッドに触れられるテープは、どちらも1950〜60年代に実用化が進んだポリエステルフィルムを土台にしている。ただし、ドラムヘッド用とテープ用が同じ品番の膜だったわけではない。言えるのは、素材の系統が同じだというところまでだ。

印刷のヘッドも、この膜の近くで働いている。インクジェットの印刷ヘッドが液滴を噴射する相手は、紙だけでなくフィルムも含む。叩く、読み書きする、インクを飛ばす。三つのヘッドは動作こそ違うが、どれも薄い膜のそばで働いている。