略語

IC

アイシー

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

半導体・電子部品

集積回路

Integrated Circuit

トランジスタ・抵抗・コンデンサなどの回路素子を1つの半導体基板の上に作り込み、配線でつないでパッケージに封入した電子部品。メモリ、マイクロプロセッサ、ASICなど種類が多い。製造では、ウェーハー上に回路を作る工程を前工程、チップに切り出して容器に封入するまでを後工程と呼ぶ。

このICは電源電圧が3.3Vまでなので、5V系の基板には使えません。

土木・測量

インターチェンジ

Interchange

2つ以上の道路が交差または接近する箇所で、ランプ(連絡路)を設けて道路どうしを立体的に接続する施設。料金所などを含む施設全体がICで、連絡路ひとつひとつを指すランプとは区別される。ランプはICやジャンクションの構造の一部と位置づけられる。

次のICで降りるので、ランプの合流部の路面標示を確認しておいてください。

医療・医学

インフォームド・コンセント(説明と同意)

Informed Consent

この「説明と同意」のことを「インフォームド・コンセント」といいます。

出典:厚生労働省 治験について(一般の方へ)3.インフォームド・コンセント

医師が患者に、目的・方法・予測される効果と副作用・ほかの治療法などを説明文書で説明し、患者が自分の意思で決めて同意すること。厚生労働省は治験の場面で、同意文書に患者と医師が署名し、控えと説明文書が患者に渡されると説明している。

治験への参加前に、説明文書を読んでICを受け、同意文書に署名しました。

分析・計測

イオンクロマトグラフィー

Ion Chromatography

水溶液中でイオンとして存在する物質を、イオン交換樹脂を詰めたカラムで分離し、電気伝導度検出器などで定量する分析手法。微量の無機陰イオンや、アルカリ金属・アルカリ土類金属・アンモニウムイオンの分析に向く。陰イオンと陽イオンは分析条件が異なり、1台の装置では同時に測れない。河川水・雨水・純水などの水の分析に使う。

排水中の陰イオンはICで測定し、ピークの面積を標準液と比べて定量します。

証券・投資

投資委員会

Investment Committee

VCファンドで、投資案件の実行可否の最終判断を行う会議体。通常はファンドのパートナーなどが構成する。担当者がデューデリジェンス(詳細審査)の報告書を作ってICと共有し、ICが議論と質問を経て決める。

来週のICに向けて、投資メモと想定リターンの資料をまとめています。

ETCカードのICは、ICで使われる

ETCカードの端子は、ICチップである。車載器にカードを差し込み、高速道路のICに入り、料金所のゲートを通る。車の中と外で「IC」が二度出てくる。しかも料金所は、インターチェンジに併設されている。カードの集積回路は、インターチェンジの中で使われるわけだ。

何か共通の由来があるに違いない。そう思いたくなる。

ところが、綴りはIntegrated CircuitとInterchangeで、別の語である。重なったのは頭文字だけだった。ならば、二つが世に出た時期はどうか。

医療のインフォームド・コンセントは、1957年のカリフォルニア州の判決(Salgo v. Leland Stanford Jr. University Board of Trustees)で、この語が判決の言葉として現れたとされる。大動脈造影のあとに下肢にまひが残った患者が、リスクの説明がなかったとして病院側を訴えた事件だ。翌1958年9月12日には、ジャック・キルビーがテキサス・インスツルメンツで、ゲルマニウムの小片に回路を作り込んだ最初の動作する集積回路とされるものを動かして見せた。この功績で、キルビーは2000年のノーベル物理学賞を受けている。

米国で1年違いである。

道路のICは、日本ではその5年後に現れる。1963年7月16日、名神高速道路の栗東から尼崎までが、日本初の高速道路として開通した。両端が栗東ICと尼崎ICだった。

そこから38年たった2001年3月30日、千葉、沖縄、首都高速の3地区でETCが動き出す。国土交通省の資料では、2003年3月末までに約900の料金所へ整備する計画だった。インターチェンジの料金所で、カードの集積回路が使われる景色が広がっていく。

イオンクロマトグラフィーと投資委員会のICは、この流れに置いていない。いつから略されてきたのか、確かめられた資料がないからだ。

医療・電子・道路の三つは、1957年から1963年の6年間に出そろう。ただし、この時期に「IC」という略称が使われていたかどうかは、確認できていない。確かなのは、語が指すものが、この6年のうちに米国と日本で現れたことまでである。

次にETCゲートを通るとき、車載器に挿したカードを見てほしい。金属端子の中にあるのは、1958年に動いたゲルマニウムの小片と同じ、回路を一枚に作り込むという考え方だ。