キー
キー
6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
調
key
曲の中心になる音と音階の組み合わせ(ハ長調、イ短調など)。長調・短調それぞれ12種類ある。歌い手の声域に合わせて曲全体を高く・低くずらすことも「キーを上げる/下げる」と言い、これは移調にあたる。カラオケ機器のキー調整もこの意味。
原曲のキーだと高すぎるので、2つ下げて演奏しましょう。
主キー(プライマリキー)
primary key
リレーショナルデータベースのテーブルで、1行(レコード)を他と区別するために選んだ列、またはその組み合わせ。値の重複は許されず、設計時にテーブルごとに1つだけ定める。従業員コードや注文番号が典型で、他のテーブルから参照するときの手がかりにもなる。
このテーブルは注文番号を主キーにして、明細テーブルから参照する設計にします。
キー(軸と回転部品をつなぐ部品)
key
軸とプーリー・歯車などの回転部品をつないで、トルクを伝える機械要素。軸と部品の両方に「キー溝」を切り、そこにキーをはめ込んで空回りを防ぐ。形状には平行キーなどがあり、寸法と公差は軸径に応じてJIS B 1301が定めている。
この歯車は軸径に合わせた平行キーで固定し、キー溝の公差を図面に指示してください。
キー局
key station
放送ネットワークの中心になり、番組や報道素材を系列各局へ送り出す東京の放送局。テレビでは日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビの5局を指す。大阪の広域局は准キー局と呼ばれ、キー局に準じた立場で番組を制作する。
この番組はキー局制作で、系列の地方局にネットされています。
ハイキー・ローキー(画面全体の明るさの基調)
key (high-key / low-key)
写真全体の明暗の基調を表す語。ハイキーは意図的に露出をオーバー寄りにして明るく軽く仕上げ、ローキーは露出をアンダー寄りにして暗く重厚に仕上げる。単なる露出ミスと違い、狙った表現として行う。露出補正の目安はハイキーで+1〜+3、ローキーで−1〜−3程度とされる。
ウェディングの写真はハイキーで、露出補正を+2にして明るく仕上げよう。
キー(バスケットボール:フリースローレーンと半円の区域)
key
バスケットボールのコートで、ゴール下のフリースローレーン(制限区域)と、フリースローラインの外側の半円を合わせた区域を指す呼び方。全体が鍵穴(keyhole)のように見えることから名がついた。半円の頂点付近は「トップ・オブ・ザ・キー」と呼ばれ、攻撃の起点になりやすい。
トップ・オブ・ザ・キーからのスリーポイントを決めた。
鍵の形をやめても、バスケのキーはキーのまま
バスケットボールの中継では、いまも「トップ・オブ・ザ・キー」という言い方を聞く。キーは鍵のことだが、コートのどこが鍵なのかと思う人もいるだろう。
鍵穴の形だった区域
英語版 Wikipedia の「Key (basketball)」によると、この名前はもとの形に由来する。フリースローサークルが鍵の頭、幅6フィート(約1.8m)の制限区域が軸にあたり、全体が錠前や扉の鍵のように見えた。「鍵穴(keyhole)のように見える」と説明されるのは、この見立てである。
ところが同じ記事によれば、NBA は1951-52シーズンの開幕時にこの区域を6フィートから12フィートに広げた。当時のジョージ・マイカンの支配力を抑えるための変更で、「マイカン・ルール」と呼ばれる。NCAA も1956年に同じく12フィートへ広げた。幅が倍になれば、細い軸の先に丸い頭がつく図形にはもう見えない。それでも呼び名は「キー」のまま残り、いまも「トップ・オブ・ザ・キー」という言い方で使われている。
同じ綴りでも来歴が違う
製造業のキーは、軸と歯車やプーリーの両方に切った溝(キー溝)にはめ、回転を伝える部品だ。寸法は JIS B 1301 が定める。軸と部品が空回りしないように固定する役目は、鍵が錠を回す働きと似ている。ただし、鍵の見立てから名がついたのかどうかは、確認できた資料では言えない。
音楽のキーは事情がさらに違う。語源辞典 Etymonline によれば、英語の key の元は古英語の cæg で、錠を開ける金具の意味だった。音楽の「調」の意味は17世紀に理論の用語として固まり、ラテン語の clavis(鍵)の訳が下敷きになった可能性が高いという。鍵盤の「キー」にも clavis の影響が考えられるとされる。バスケは形の見立て、音楽は翻訳を通った借用で、同じ綴りでも入口が違う。
放送の「キー局」は、また別の話になる。ニコニコ大百科などによれば、英語では key station とも書かれるが、アメリカのテレビネットワークでは flagship station のほうが使われる。日本では東京の在京5局を指す呼び方として定着した。
実況が「トップ・オブ・ザ・キー」と言うとき、その先に鍵穴の形はもうない。