用語

リード

リード

9つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

マーケティング・CRM

見込み客

sales lead

自社商品やサービスに興味・接点のある、初期段階の見込み顧客のことを指します。

出典:Salesforce Japan「リードとは?ビジネスやマーケティング・営業での意味と獲得方法と育て方を解説」

商品やサービスに関心を示したものの、まだ顧客になっていない個人や企業。資料請求、セミナー参加、問い合わせなどで接点ができた時点で名簿に載せ、育成や営業引き渡しの対象にする。

展示会で集めた名刺をリードとして登録し、資料をダウンロードした人から順に営業へ渡します。

機械・生産

リード(ねじ)

lead

ねじのつる巻き線に沿って軸の周りを一周するとき,軸方向に進む距離

出典:JIS B 0101:2013 ねじ用語(番号1208 リード)

ねじを1回転させたとき、軸方向に進む距離。一条ねじならピッチ(山と山の間隔)と同じで、多条ねじではピッチに条数を掛けた値になり、二条ねじなら1回転でピッチの2倍進む。

この二条ねじはピッチが2mmだから、リードは4mmになり、1回転で4mm進む。

半導体・電子部品

リード(部品の端子)

lead

部品の端子のことで、プリント基板のスルーホールに挿入しはんだ付けをし、電気的な相互接続に使用される。

出典:アライ「基板から見た基板のための用語集(り)」

電子部品から出ている端子。基板の穴(スルーホール)に挿してはんだ付けし、電気的につなぐ。半導体パッケージでは、外へ出て外部の配線とつなぐ端子をアウターリードと呼ぶ。

部品のリードを基板のスルーホールに挿して、裏側からはんだ付けする。

スポーツ・フィットネス

リード(離塁)

lead (off a base)

野球で、塁上の走者が次の塁を狙うため、投手の牽制球でアウトにならない範囲で塁から離れること。距離が大きいほど盗塁や進塁に有利だが、牽制で刺されるリスクも増える。別の意味として、捕手が打者を打ち取るために球種やコースを組み立てること(配球)もリードと呼ぶ。配球とほぼ同じ意味で使われることが多いが、広くは投手の力を引き出すための捕手の働き全体を指す。

一塁走者は投手のクセを見て、いつもより半歩大きくリードを取った。

音楽(演奏・楽器)

リード(木管楽器の振動片)

reed

クラリネットやサクソフォンのマウスピースに取り付ける薄い板で、息を受けて振動し音のもとになる。素材は主にケーン(葦の仲間)で、英語では lead ではなく reed と書く。硬さは多くの銘柄で番号で表し小さいほど柔らかいが、S・M・H で表す銘柄もある。

本番前にリードを3番から2番半に替えたら、息が入りやすくなった。

出版・新聞・Webメディア

リード(前文・リード文)

lead (lede)

リードは本文を簡潔にまとめたもので、数行のなかに本文のエッセンスが込められています。

出典:日本新聞協会 NIE「新聞文章の特徴」

新聞や Web 記事で、見出しの次に置く冒頭の数行。本文の要点を短くまとめたもので、読者はここを読んで本文まで進むかを決める。新聞では「前文」とも呼び、結論を先に書いて後ろほど詳しくなる「逆三角形」の記事の入口にあたる。

この記事はリードで結論を言い切って、詳しい経緯は本文に回そう。

医療機器

リード(ペースメーカーリード)

lead (pacing lead)

不整脈の治療を目的にペースメーカと接続して使用する導線又は導線に付加して植え込まれるもの

出典:一般社団法人日本不整脈デバイス工業会(JADIA)

植込み型ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)の本体と心臓をつなぐ細い導線で、薬事上も「ペースメーカリード」として本体とは別の医療機器に分類される。心臓の電気信号を拾って本体へ伝える感知(センシング)と、本体が出す電気刺激を心筋へ届けるペーシングの両方を担う。静脈を通して心腔内に置く心内膜リードが一般的で、成長期の小児や心奇形のある患者では、外科的に心外膜に置く心外膜リードを使う。1台に使う本数は機種により1〜3本。

リードの先端は右心房と右心室に固定し、本体は左鎖骨の下に植え込みます。

製薬・創薬

リード(リード化合物)

lead compound

シード化合物を合成展開・評価を繰り返し、得られた臨床開発に進む候補化合物をリード化合物といい、この探索段階をリードディスカバリ、リード最適化(lead optimization)と呼ぶ。

出典:製薬医学用語集「リード化合物」・日本製薬医学会(JAPhMed)

創薬の探索段階で、スクリーニングで見つかったヒット化合物(標的に活性を示した化合物)やシード化合物をもとに合成と評価を繰り返して選ぶ、医薬品の骨格の出発点になる化合物。活性だけでなく、物性・体内動態(ADME:吸収・分布・代謝・排泄)・安全性の見通しも含めて選抜する。選んだリードの構造を少しずつ変えて活性・体内動態・毒性を改善する工程をリード最適化(LO)と呼び、ここを経て前臨床に進める開発候補化合物を絞り込む。

ヒット化合物からリードを選び、リード最適化で体内動態を改善している。

スポーツ・フィットネス

リード(クライミング:リードクライミング)

lead climbing

ロープで安全が確保された競技者が十数メートルの壁に設定されたコースを登り、その到達高度を競う競技です。

出典:公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会 種目とルール

スポーツクライミングの種目の一つで、ロープで安全を確保しながら高さ12m以上の壁に設定されたコースを登り、どこまで登れたか(獲得高度)で順位を決める。選手は壁の支点に付いたクイックドロー(2つのカラビナを短いスリングでつないだ器具)に登りながら自分でロープを掛けていき、最後の支点に掛ければ完登になる。制限時間は1本6分で、長い距離を登るため持久力と力の配分が勝敗を分ける。同じスポーツ分野にある野球のリード(離塁)とは別の意味。

リードは持久力が要るので、最後の数手まで腕を残して登った。

「リード」のうち reed だけは別の語

「リード」というカタカナ4文字は、8つの業界に入っている。マーケティングの見込み客、製造のねじ、電子部品の端子、スポーツの野球とクライミング、木管楽器の振動片、記事の前文、ペースメーカーの導線、創薬の化合物で、意味は9つある。全部が英語の lead(導く)から来たのだろう、と思いたくなる。

ところが、綴りで区別がつくのは1つだけだった。

木管楽器のリードは reed

木管楽器のリードは、クラリネットやサクソフォンのマウスピースに付ける薄い板である。素材は主にケーン(葦の仲間)で、英語では reed と書く。動詞の lead の系統とは別の語で、カタカナにしたときに同じ「リード」になっただけだ。硬さは多くの銘柄で番号で表され、小さいほど柔らかい。S、M、H で表す銘柄もある。

導線の組、始まりの位置の組

電子部品の端子は、基板のスルーホールに挿してはんだ付けする。半導体パッケージから外へ出て外部の配線とつなぐものは、アウターリードと呼ぶ。ペースメーカーのリードは、本体と心臓をつなぐ細い導線で、心臓の電気信号を本体へ伝え、本体の電気刺激を心筋へ届ける。どちらも電気を通してつなぐ導線だが、薬事上、ペースメーカーのリードは本体とは別の医療機器に分類される。1台に使う本数は1〜3本で、心内膜リードが一般的、小児などでは心外膜リードを使う。

もう一つ、ここからは推測だが、「最初にある位置」でまとまりそうな組がある。創薬のリード化合物は、ヒット化合物やシード化合物をもとに合成と評価を繰り返して選ぶ、医薬品の骨格の出発点だ。その構造を改良する工程がリード最適化(LO)と呼ばれる。記事のリード文は、見出しの次に置く冒頭の数行で、結論を先に書く逆三角形の記事の入口になる。マーケティングでは、資料請求やセミナー参加で接点ができた時点で名簿に載せる。いずれも「ここから先が始まる」という地点に付いた名前に見える。語の由来としてつながるかどうかは確認していない。

野球の捕手のリードは、この組に入らない。位置を指すのではなく、打者を打ち取るために球種やコースを組み立て、投手の力を引き出す働きを指す。走者のリードは、牽制球でアウトにならない範囲で塁から離れる距離である。クライミングのリードは、ロープで安全を確保しながら高さ12m以上の壁を登り、到達高度で順位を決める種目で、登る本人が自分でクイックドローにロープを掛けていく。制限時間は6分。ねじのリードは、1回転させたときに軸方向へ進む距離で、二条ねじならピッチの2倍になる。

9つの意味のうち、別の語だと確認できたのは reed の1つだけである。残る8つが lead の系統かどうかは、電子部品の端子、ペースメーカーのリード、創薬のリードを含め、未確認のままにしておく。