用語

ロット

ロット

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

機械・生産

生産ロット・製造ロット

lot

同じ条件でまとめて作る製品の数量で、生産計画と品質管理の両方の単位になる。ロットごとにロット番号を付けておくと、不具合が出たときに原材料や工程まで遡れる。取引先が決める「最小ロット」は、段取り替え(機械の設定の切り替え)の回数を抑えるための下限数量として使われる。

この部品は最小ロットが500個なので、試作の3個だけでは受けてもらえない。

製薬・創薬

ロット(製造単位)

lot

この省令で「ロット」とは、一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品及び原料(以下「製品等」という。)の一群をいう。

出典:医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成十六年厚生労働省令第百七十九号)第二条第四項

GMP省令で、一つの製造期間内に一連の工程で均質になるよう作った製品と原料の一群と決められた法令上の単位。品質試験・出荷判定・回収の範囲はこのロットで決まり、製造記録もロット番号で結びつけて管理する。

このロットは試験結果が規格に適合したため、出荷判定を行います。

半導体・電子部品

ウェハロット

lot

半導体工場でウェハをまとめて流す処理単位。1キャリア(ウェハを入れる容器)に最大25枚を収め、その25枚前後を1ロットとして同じ条件で処理する。一部だけ別条件で流したい場合はロットを分割(スプリット)し、MES(製造実行システム)の仕掛品管理でロットごとに進捗を追う。

このロットから5枚を抜いて、別条件の実験ロットとして流してください。

物流

発注ロット・輸送ロット・保管ロット

lot

モノを動かす・仕入れる・置くときのまとまりの数量で、場面ごとに別の意味になる。発注ロットは1回の発注でまとめて買う数量で、仕入先の最小発注数量(MOQ)とも関わる。輸送ロットは1回の輸送でまとめて送る量、保管ロットは倉庫で保管料を計算する単位。ロットを大きくすると単価や送料は下がるが、在庫は増える。

発注ロットを増やせば仕入れ単価は下がるが、保管ロットが膨らんで倉庫代が上がる。

証券・投資

ロット(FXの取引数量)

lot

FXで通貨を売買するときの取引数量の単位。1ロットの通貨量は会社ごとに違い、1,000通貨・1万通貨・10万通貨とする例が多い。注文はロット数で出し、損益や必要な証拠金(取引の担保として預けるお金)はロット数に比例して大きくなる。

この口座は1ロットが1万通貨なので、3ロットで買うと3万通貨分のポジションになる。

くじの木片から、作ったまとまりと売るまとまりへ

医薬品のGMP省令は、ロットを「一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品及び原料(以下「製品等」という。)の一群」と定めている(第2条第4項)。この定義に個数は出てこない。同じ期間に同じ工程で均質に作られた一群であれば、それが1ロットである。品質試験も回収の範囲もこの単位で決まるので、ロットの境目は法令上の線になる。

ロットを数量の単位だと思っている人には、この定義は意外だろう。FXでは1ロットが1,000通貨のこともあれば10万通貨のこともあり、どちらにするかは会社が決める。物流の発注ロットも、1回に買う量を数で区切る点では同じ側にある。製造、医薬品、半導体の3業界が作ったまとまりを指し、物流とFXが買う量・売る量の単位を指す、という分かれ方になっている。

容器1つか、会社の決めた数か

半導体では、ウェハを入れる容器1つの最大25枚前後がそのまま1ロットになる。単位の目安は容器の大きさである。FXのほうは、ロットの大きさを決めるのが取引する会社である。

製造の「最小ロット」は、作る側が決めた下限の数量だ。ところが買い手から見ると、同じ数字が発注ロットにもなる。作る側のロットと買う側のロットが、一つの数字の上で重なっている。

くじの木片から一口へ

英語の lot の祖先は古英語の hlot で、語源辞典 Online Etymology Dictionary は「誰かの分け前を決めるために使うもの」と説明している。さいころでも藁でもよかったが、名前を刻んだ木片が多かったという。もとは数量ではなく、分け前を決める道具の名前だった。

「同じ種類の人や物の数」という意味が出てくるのは1570年代である。土地の一区画の意味は1630年代のアメリカ英語で、新しい入植地では条件のよい土地の配分をくじで決めることが多かったため、と書かれている。「集まり、一団」は1725年で、競売に出す一口(オークション・ロット)の連想から来たとされる。

競売の一口が意味を広げたのなら、買う量・売る量の単位のほうが古い用法に近く見える。ただしこれは、語源辞典の記述から編集部が組み立てた推測である。各業界がいつ lot を取り入れたかは確認できていない。