マージン
マージン
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
利ざや(売買差益)
trade margin
商品を売った値段と仕入れた値段の差額で、小売店や卸売業者の取り分になる。売価に対する比率(マージン率・値入率)で管理し、たとえば値入率は(売価-仕入原価)÷売価で計算する。粗利(売上総利益)に近い考え方の数字として、商品ごとの値付けや売場の採算の判断に使う。政府統計では、流通業者が受け取るこの差額を「商業マージン」として扱う。
この商品はマージン率が20%だから、1,000円で売れば仕入れ値は800円だね。
証拠金・委託保証金
margin
信用取引・FX・先物などで、取引の担保として証券会社などに預けるお金。預けた額の数倍の取引ができる一方、相場が逆に動いて担保が足りなくなると追加の入金(追証、マージンコール)を求められ、期限までに応じないと強制決済される。国内の株式信用取引では、委託保証金は約定代金の30%以上かつ最低30万円が必要で、維持率が20%を割ると追証になる(期限や維持率の設定は証券会社によって異なる)。
相場が急落して維持率が20%を割ったので、期限までに追証を入れるか建玉を返済しないといけない。
余白
margin
出版物などのページにおいて上下左右に存在する版面以外の余白部分を指す。
ページの上下左右で、文字や画像を置く範囲(版面)の外側に空けておく余白の設定。本では、綴じ側(ノド)・上(天)・外側(小口)・下(地)の四辺で幅を変え、伝統的な書籍の体裁ではノドあきが最も狭く、天・小口・地の順に広くなる。ただしページ数の多い無線綴じの冊子はノドが開きにくいため、入稿前にノド側を広めに取る。裁ち落とし(仕上がり線の外にはみ出させる塗り足し)とは別に扱う。
ページ数の多い無線綴じなので、ノド側のマージンは普段より広めに取っておいて。
マージン率(派遣料金に占める派遣会社の取り分)
margin rate (staffing agency margin)
法第二十三条第五項の厚生労働省令で定めるところにより算定した割合は、前事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所(以下この項において「一の事業所」という。)ごとの当該事業に係る労働者派遣に関する料金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者一人一日当たりの労働者派遣に関する料金の額の平均額をいう。以下この条において同じ。)から派遣労働者の賃金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者一人一日当たりの賃金の額の平均額をいう。次項において同じ。)を控除した額を労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合(当該割合に小数点以下一位未満の端数があるときは、これを四捨五入する。)とする。
労働者派遣で、派遣先が払う派遣料金のうち、派遣労働者の賃金を除いた部分が占める割合。派遣会社(派遣元)の利益だけでなく、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費なども含まれる。派遣法により、派遣元は事業所ごとの平均派遣料金・平均賃金・この割合などを、原則としてインターネットで公開する義務がある。率が低いほどよいとは限らず、ほかの公開情報と組み合わせて総合的に評価するものとされる。
この派遣会社は事業所ごとのマージン率を公開しているので、教育訓練の内容とあわせて確認してから比較しよう。
取り分・担保・余白、マージンの向き
1,000円の商品のマージン率が20%なら、仕入れ値は800円で、差額の200円が店の取り分になる。信用取引で維持率が20%を割った口座には、追証と呼ばれる追加の入金が求められる。印刷の入稿でマージンといえば、ページの余白のことだ。小売では入ってくるお金、金融では出ていくお金、印刷ではお金の話ですらなく、金額の向きまで別々になっている。この語がなぜ3つの意味に分かれたのか、語源は確認できていない。
手元に残る分、預ける分、空けておく幅
小売のマージンは、売値から仕入れ値を引いた差額である。店や卸売業者の取り分で、売価に対する比率で管理し、値入率は(売価-仕入原価)÷売価で計算する。政府統計(e-Stat)も、流通業者が受け取るこの差額を「商業マージン」として扱っている。
金融のマージンは、信用取引、FX、先物などで担保として証券会社に預けるお金、つまり証拠金(委託保証金)である。国内の株式信用取引では、約定代金の30%以上かつ最低30万円が必要になる。取り分どころか、先に差し出すお金だ。小売と同じパーセントで語られても、分母が違う。小売の20%は売価のうち手元に残る割合で、金融の30%は取引額に対して預けなければならない割合である。
印刷のマージンには、お金が出てこない。JAGATは「出版物などのページにおいて上下左右に存在する版面以外の余白部分を指す。」と説明している。文字や画像を置く範囲(版面)の外側に空けておく部分で、本のページでは四辺それぞれに幅を決める。
設定した数字と実績のずれ
小売の値入は、販売前に設定する数字である。粗利は値引きやロスを反映した実績で、両者は一致しないことがある。
金融にも似た構図がある。相場が逆に動くと担保が足りなくなり、追加の入金(追証、マージンコール)を求められる。国内の株式信用取引では、維持率が20%を割ると追証になり、期限までに応じなければ強制決済される。たとえばSBIネオトレード証券は維持率20%、追証の期限は翌々営業日12:00としている(期限や維持率は証券会社によって異なる)。
印刷の余白には、こうした実績とのずれは出てこない。代わりに、仕上がりで見えにくくなる場所を先に見込む。本のページでは、綴じ側(ノド)、上(天)、外側(小口)、下(地)の四辺で幅を変える。伝統的な書籍の体裁ではノドあきが最も狭く、天、小口、地の順に広くなる(JAGAT)。ただしページ数の多い無線綴じの冊子はノドが開きにくいので、入稿前にノド側を広めに取る。仕上がり線の外にはみ出させる塗り足し(裁ち落とし)は、別の設定として扱う。
1,000円の商品の仕入れ値800円と、維持率20%の追証ラインと、無線綴じでノド側に足す余白は、同じカタカナで呼ばれている。数えている単位は、円と、パーセントと、ページの端の幅で、それぞれ違う。