MC
エムシー
9つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
司会者
Master of Ceremonies
式典・展示会・発表会などで、開会から閉会まで進行を受け持つ司会者。登壇者を紹介し、タイムテーブルに合わせて場をつなぎ、時間の調整も担う。台本どおりに進めつつ、会場の空気に応じて話の長さを変える役回り。
オープニングセレモニーのMCは、登壇者の紹介と転換の間つなぎまでお願いします。
ラッパー/ライブのトーク部分
Master of Ceremonies
ヒップホップでは、ラップをする人(ラッパー)を指し、即興で言葉を競う「MCバトル」の名もここから来ている。別にライブやコンサートでは、曲と曲の間に演者が客席へ語りかけるトークやその時間も「MC」と呼ぶ。こちらは和製英語「マイク・コメント」の略とする説もある。
セットリストの3曲目のあとにMCを入れて、次の曲の紹介につなげよう。
MC型カートリッジ
Moving Coil
レコードプレーヤーの針先の振動を電気信号にするカートリッジのうち、コイルが動く方式。磁石が動くMM(Moving Magnet)型の出力が数mV〜10mV程度なのに対し、MC型は0.1〜0.5mV程度と小さい。そのため昇圧トランスやヘッドアンプで電圧を上げてから再生する。
MC型に替えたら出力が足りないので、フォノイコライザーの入力をMC対応にした。
マシニングセンタ/電磁接触器
machining center / magnetic contactor
工作機械では、自動工具交換装置(ATC)を備え、多数の工具を自動で持ち替えながら切削する数値制御のフライス盤であるマシニングセンタを指す。制御盤などの電気設備では、コイルに通電して電磁石で接点を開閉し、モーターなどの負荷の入り切りをする電磁接触器の略号で、図面や機器の記号にも使われる。
MCの工具交換が止まったので、制御盤のMCの接点も点検しておいて。
メディアコンバータ
Media Converter
光ファイバーとツイストペアケーブルなど、種類の違う伝送媒体の間で信号を変換する装置。LANの配線を光で延ばしたいとき、既存の銅線ネットワークとつなぐために使う。「メディコン」とも呼ばれる。
別棟までは光で引いて、両端にMCを置いて銅線のスイッチにつなぐ。
モンテカルロ法
Monte Carlo method
乱数を使ってシミュレーションや数値計算を繰り返し、近似解を求める手法の総称。解析的に解けない積分や確率の問題で使われ、物理・統計などの論文では「MC」と略される。マルコフ連鎖と組み合わせたものは MCMC と呼ばれる。
この積分はMCで10万回サンプリングして近似した。
制御電動車
motor car + control car
電車の編成で、運転台とモーターの両方を備えた車両を表す記号。M(電動車)とc(制御車)を組み合わせたもので、運転台のない電動車(M)や、モーターのない制御車(Tc)と区別して、編成図や車両の配置を書き表すときに使う。国鉄・JRの形式名では「クモハ」のように「ク」(制御車)と「モ」(電動車)を重ねて表す。
この編成はMc-M-M-Mcの4両で、両端が運転台付きの電動車だ。
メディカルコントロール
Medical Control
「メディカルコントロール(Medical Control=MC)」とは、救急救命士が行う処置の質を医学的に保障する取り組みのことです。
救急救命士が現場や搬送中に行う処置を、医師が医学的に支える仕組み。電話や無線で医師が指示・助言する「オンラインMC」と、プロトコール(活動基準)の整備や事後検証、再教育などの「オフラインMC」に分かれる。診療科の略語ではなく、救急医療の体制を指す。
この症例は事後検証会でMC協議会に報告された。
マイナーチェンジ
minor change
発売後の途中で、車名やモデルの世代を変えずに外装の一部、装備、エンジンの小改良などを行うこと。全面刷新のフルモデルチェンジの間に入れて商品の鮮度を保つ。「MC」「マイチェン」と略される。
来年のMCで安全装備が標準になるらしいから、購入は待つことにした。
MCのうち一つだけ、地名だった
制御盤の前で「MC見といて」と言われた。工作機械のことか、盤の中の電磁接触器のことか。同じ工場の同じ二文字が、二つの物を指す。
MCの意味は九つある。Master of Ceremonies(司会者・ラッパー)、Moving Coil(カートリッジ)、machining center、magnetic contactor、Media Converter、Medical Control、minor change、電車のMc(電動車Mと制御車c)、そして Monte Carlo。九つとも、一文字目はM、二文字目はCで始まる語だ。偶然にしては揃いすぎている、と思う。ただ、二文字で略すなら、英語ではこのくらい重なるのかもしれない。
揃っていないのは、Cの中身である。Ceremonies(式典)、Coil(コイル)、Center(センタ)、Contactor(接触器)、Converter(変換器)、Control(制御)、Change(変更)、Car(車)。この八つは、役目や物を言う普通名詞だ。Carlo だけが地名で、役目を何も語らない。乱数を使う計算の手法に、なぜ町の名が付いたのか。
乱数を振って結果の散らばりを集め、近似解を得るやり方は、賭けの勝敗を何度も繰り返して確率を知るのによく似ている。そこで、モナコ公国の町でカジノで知られるモンテカルロの名で呼ばれるようになった、と説明されている。第二次大戦中、中性子が物質中を動き回る様子を探るために考案されたともいわれ、通称として先に広まった名が、1949年にメトロポリスとウラムの論文の題に使われた。手法そのものは、司会者のように場を仕切るのでも、コイルのように動くのでもない。偶然にゆだねる計算だから、偶然の町の名が借りられた。
コイルが二度出てくるのは、別の偶然である。カートリッジのMCは針先の振動に合わせてコイルが動き、制御盤のMCはコイルに通電して接点を閉じる。どちらも電流と磁石の働きだが、一方は音を拾い、もう一方は電動機の入り切りをする。
「MC見といて」と頼まれた人が開けるのは、結局どちらかの扉だ。工具交換の止まった工作機械か、接点を持つ制御盤か。論文の中のモンテカルロは、その二択には入ってこない。