略語

MF

エムエフ

7つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

スポーツ・フィットネス

ミッドフィルダー(サッカー)

midfielder

MFは主に自陣と敵陣の中間の位置でプレーし、攻撃と守備の両方の役割をこなすポジションです。

出典:Jリーグ公式サイト「ポジション」

サッカーで、自陣と敵陣の中間でプレーする選手の位置。メンバー表や戦評ではGK・DF・MF・FWの4区分の一つとして書かれる。攻撃ではFWへパスを出し、守備では相手のパスを奪う役を受け持つ。トップ下やボランチなど細かな役割もMFの内側で分けられる。

今日のスタメンはGK1人、DF4人、MF4人、FW2人の4-4-2だ。

通信・電波

中波

medium frequency

周波数300kHz〜3MHz(波長100m〜1km)の電波帯の略号。AMラジオ放送や近距離の海上通信に使われる。日本の中波ラジオ放送には526.5〜1606.5kHzの範囲が割り当てられている。近い距離へは地表波で、遠い距離へは電離層の反射で届くが、遠距離の伝搬は昼間はほとんど使えない。

AMラジオの電波は、周波数帯でいえばMFにあたる。

写真・カメラ

マニュアルフォーカス

manual focus

ピント合わせをオートフォーカスに任せず、撮影者がレンズのリングなどで手動で行う方式。カメラのメニューやレンズの切り替えスイッチではAF(オートフォーカス)に対するMFとして表示される。撮影距離を固定して撮りたいときや、AFで合わないときに使う。

暗くてAFが迷うので、MFに切り替えてピントを合わせた。

自然・環境

精密ろ過(MF膜)

microfiltration

膜ろ過の区分の一つ。目の粗い開いた構造の膜で、溶けていない粒子や細菌などを止め、溶けている物質はほとんど通す。水道の浄水処理ではUF膜(限外ろ過膜)とともに濁りの除去やクリプトスポリジウム対策に使われ、MF膜・UF膜を使う膜ろ過浄水施設は全国で900を超える。

この浄水場は、濁りの除去に砂ろ過ではなくMF膜を使っている。

素材・化学

メラミン樹脂

melamine-formaldehyde resin

メラミンとホルムアルデヒドから作る熱硬化性樹脂(アミノ樹脂の一種)の略号。樹脂の種類を短く書くときに MF と表記される。食器や家具・建材の化粧板、電気部品などの成形品に使われる。

樹脂の物性表で、熱硬化性樹脂の欄に MF(メラミン樹脂)が並んでいる。

医療・医学

骨髄線維症

myelofibrosis

骨髄の線維化、脾臓の腫れ(脾腫)、貧血を特徴とする慢性の骨髄増殖性腫瘍。血液内科の資料や診療ガイドラインでは MF と略され、原発性のものは PMF と書かれる。

血液内科の資料にMFとあれば、骨髄線維症のことだ。

音楽(演奏・楽器)

メゾフォルテ

mezzo forte

楽譜の強弱標語の一つで、「やや強く」演奏する指示。記号は小文字の mf で書かれる。「やや弱く」を表す mp(メゾピアノ)もある。

この小節は mf と書かれているので、やや強く弾く。

MFの三つは「中」で、Fだけが別々

サッカーのメンバー表にはMFと書いてあり、ラジオの周波数の表にもMFがあり、楽譜の隅にはmfと書いてある。三つとも「中くらい」を指している。同じ二文字がここまでそろって「中」を言うのは、偶然だろうか。

Mは偶然ではない。Fは別々だ。

サッカーのMFはミッドフィルダーで、Jリーグの公式サイトは「MFは主に自陣と敵陣の中間の位置でプレーし、攻撃と守備の両方の役割をこなすポジションです。」と書いている。電波のMFは medium frequency で、日本語では中波という。デジタル大辞泉は、波長が100〜1000メートル、周波数が300〜3000キロヘルツの電波と説明している。音楽のmfはメゾフォルテで、「やや強く」の意だ。この「メゾ」を、デジタル大辞泉は「中位の、半分の」の意を表す語として載せ、イタリア語由来としている。

mid、medium、mezzo。英語の二語とイタリア語の一語が、どれも「中」を表し、どれもMで始まる。Wiktionary によれば、三つとも印欧祖語の *médʰyos(「間、中間」)にさかのぼる。Mの重なりは、同じ祖先の語が残した跡だ。

Fは重ならない。フィルダー、フォルテ、フリクエンシー(周波数)と、それぞれ別の語の頭文字である。Mが同じ「中」でも、何の中かはFで決まる。ピッチの中、電波の帯の中、強さの中と、三つの中は別の軸の上にある。

強さの軸の「中」は、真ん中に座っていない。強弱標語を強い順に並べると、フォルティッシモ、フォルテ、メゾフォルテ、メゾピアノ、ピアノ、ピアニッシモの6つで、メゾフォルテは真ん中の二つのうち強いほうにあたる。「やや強く」と説明されるのはそのためだ。「中」にも、片側に寄った中がある。

残る4つのMFは、中ではなかった。写真は manual focus(マニュアルフォーカス)、環境は microfiltration(精密ろ過)、化学は melamine-formaldehyde resin(メラミン樹脂)、医療は myelofibrosis(骨髄線維症)である。この4つのMは、それぞれ別の語から来ている。

7つの意味のうち、Mが「中」と読めるのは3つだけだった。4-4-2のメンバー表で、4人並ぶMFの欄を見る。そこにあるのは選手の名前で、電波の帯も、強さの指示もない。