MI
エムアイ
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
心筋梗塞/動機づけ面接
myocardial infarction/motivational interviewing
急性心筋梗塞は,冠動脈の急性閉塞により心筋壊死が引き起こされる疾患である。
医療では二つの意味で使う。ひとつは心筋梗塞で、冠動脈が急に詰まって心筋が壊死する病気を、カルテや循環器の資料で短く書くときの略記。もうひとつは動機づけ面接で、患者の中にある変わろうとする気持ちを対話で引き出す面接技法。糖尿病などの生活習慣病の保健指導や看護で使われる。文脈で見分ける。
この患者は既往にMIがあるので、退院後の生活指導は動機づけ面接のMIで進めましょう。
マテリアルズ・インフォマティクス
Materials Informatics
材料科学にデータ科学を融合させるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、新材料開発を効率化する手法として、
材料開発に機械学習などのデータ科学を持ち込み、過去の実験・計算データから目的の性能をもつ材料の候補を絞り込む手法。経験と勘に頼った試作の回数を減らし、開発期間を縮めるねらいがある。日本ではNIMS(物質・材料研究機構)などが中核になって進めている。
触媒の配合探索にMIを導入して、試作の回数を減らした。
相互情報量
mutual information
2つの確率変数がどれだけ依存し合っているかを測る量。独立なら0で、依存が強いほど大きくなる。機械学習では、目的変数との関係が強い特徴量を選ぶ特徴量選択や、クラスタリングの評価に使う。線形の関係だけでなく非線形の関係も拾える点が相関係数との違い。
特徴量が多いので、まずMIの大きい順に上位20個に絞った。
磁気インピーダンス(MIセンサ)
Magneto-Impedance (sensor)
MI効果(磁気インピーダンス効果)とは、アモルファスワイヤにパルス電流を通電するとき、インピーダンスが外部磁界によって高感度に変化する電磁気現象を指します。
アモルファスワイヤにパルス電流を流すと、外部磁界に応じてインピーダンスが敏感に変わる現象(MI効果)を使った磁気センサ。ホールセンサなどと同じミリテスラ領域から微弱な磁場まで測れる。スマートフォンの電子コンパス向けに大量に採用された時期もある。
電子コンパスの部品を、MIセンサに置き換えた。
MIのIが同じ語幹から来るのは二つだけ
MIには少なくとも五つの意味がある。心筋梗塞(myocardial infarction)、動機づけ面接(motivational interviewing)、マテリアルズ・インフォマティクス(materials informatics)、相互情報量(mutual information)、磁気インピーダンス(magneto-impedance)。これだけ並ぶと、展開した英語のどこかに共通する語があるように思える。
Mから確かめる。Myocardial、Motivational、Materials、Mutual、Magneto。五つとも別の語だった。
Iはどうか。Infarction、Interviewing、Informatics、Information、Impedance。これも別々に見える。ただ、三つめと四つめは inform- を共有している。化学のマテリアルズ・インフォマティクスと、AI・データの相互情報量である。
同じ語幹から出ていて、指すものはかなり違う。物質・材料研究機構(NIMS)の報道発表は、MIを「材料科学にデータ科学を融合させるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、新材料開発を効率化する手法として、」と書いている。研究の進め方の名前である。相互情報量のほうは、2つの確率変数がどれだけ依存し合うかを測る量で、scikit-learn には特徴量の選択に使う関数 mutual_info_classif として入っている。こちらは一つの数値だ。
残るMIのうち、Iが電気の量を指すのは磁気インピーダンスだけである。愛知製鋼は、アモルファスワイヤにパルス電流を通すと、インピーダンスが外部磁界によって高感度に変化する現象をMI効果と説明している。このMIセンサの発明者は、名古屋大学名誉教授で愛知製鋼の顧問を務める毛利佳年雄氏だと、同社が2022年12月の発表で書いている。
医療の二つは、Iが病名の語(infarction)と、人のする行為(interviewing)に分かれる。それでも同じカルテの上で出会う。糖尿病の患者の既往欄に、心筋梗塞をMIと書く。その患者の保健指導の記録には、動機づけ面接をMIと書く。過去に起きた病気と、これから始める対話が、同じ二文字で並んでいる。