略語

MP

エムピー

10つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

ゲーム・eスポーツ

マジックポイント

Magic Points

RPGで魔法や特技を使うたびに消費するポイント。キャラクターごとに上限があり、足りないと技を出せない。宿屋での休息やアイテムで回復するのが定番で、HP(体力)と並ぶ基本パラメーターとして表示される。Magic Power の略とする作品もあり、『ドラゴンクエスト』シリーズでは「マジックパワー」の略とされる。

ボス戦の前にMPを温存して、回復は薬草だけでしのぐ。

音楽(演奏・楽器)

メゾピアノ(やや弱く)

mezzo piano

楽譜に書く強弱記号のひとつで、「やや弱く」演奏する指示。mezzo piano はイタリア語で「半分弱く」の意。pより少し大きく、mf(メゾフォルテ)より少し小さい中間の音量を表す。小文字で mp と書く。

二小節目からmpなので、伴奏はp(ピアノ)のときより少しだけ音量を上げてください。

防衛・安全保障

警務隊・憲兵

Military Police

軍隊内の治安維持や犯罪捜査を担う憲兵・警察部隊の略称。米軍などでは MP と呼ぶ。自衛隊では警務隊がこれに当たり、警務官は「警務 MP」と書かれた腕章をつける。警務官は刑事訴訟法上の特別司法警察職員として、隊員の犯罪や自衛隊施設内の事件を捜査する。

基地のゲートでは、MPの腕章をつけた隊員が入場者の確認をしている。

半導体・電子部品

量産

Mass Production

ハードウェア製品の開発工程(NPI、新製品導入)の最終段階。試作、評価、生産検証を経て、安定して量を作り続ける段階に入ったことを示す。工程表では EVT・DVT・PVT の後ろに MP と書かれる。

PVTの歩留まりが目標に届いたので、来月からMPに入る。

写真・カメラ

百万画素

megapixel

カメラやスマートフォンのイメージセンサー、画像の画素数を表す単位で、1MPは約100万画素。5MPなら500万画素。数字が大きいほど細かく記録でき、トリミングや大判印刷に余裕が出る。ただし画質はセンサーの大きさやレンズにも左右される。

このスマホのメインカメラは50MPだが、センサーが小さいので暗所は苦手だ。

趣味・ホビー・玩具

マスターピース(トランスフォーマー)

Masterpiece

タカラトミーのトランスフォーマー玩具の高年齢向けシリーズ「マスターピース」の略称。2003年の「MP-01 コンボイ」から始まり、型番は MP-56 のように MP と番号で付く。変形と劇中イメージの再現を両立させたコレクター向け商品。

MPのコンボイは変形機構が複雑で、初めて組み替えたときは説明書が手放せなかった。

生命科学・バイオ

マスフォトメトリー(質量測光法)

Mass Photometry

溶液中のタンパク質や核酸などの生体分子を1分子ずつ光学的に捉え、散乱光の強さから質量を求める測定法。標識をつけず、15〜20µL程度の少量の試料で、天然状態のままの分子の大きさや複合体の割合を調べられる。

精製したタンパク質がオリゴマーを作っているか、MPで確認した。

分析・計測

マイクロ波プラズマ(MP-AES:マイクロ波プラズマ原子発光分析)

Microwave Plasma

元素分析で、マイクロ波で生成するプラズマを指す略号。MP-AES は窒素のマイクロ波プラズマで試料中の元素を励起し、出る光の波長と強さから金属などの元素を測る。ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分析)と違い、アルゴンや可燃性ガスを使わず、空気から取り出した窒素で運転できるのが特長とされる。

食品中のミネラル分析は、アルゴンを使わないMP-AESで回している。

医療・医学

MP関節(中手指節関節)

metacarpophalangeal joint

整形外科・手外科・リウマチ科で、手の指の付け根(握りこぶしの山になる部分)にある中手指節関節を指す。指先側の DIP 関節、中間の PIP 関節と並べて、指のどの関節かを示すときに使う。英語の文献では MCP 関節と書くことも多い。

関節リウマチの診察では、MP関節の腫れと痛みを左右で確かめる。

素材・化学

融点

melting point

固体が液体に変わる温度(実際には温度範囲で示すことが多い)。合成した化合物を特徴づける値として記録され、不純物があると融点が下がり範囲が広がるため、純度を見る目安にも使われる。有機化学の文献では mp と小文字で書き、数値を続ける。

再結晶した結晶の mp を測ると範囲が狭く、純度は十分と判断した。

MPは列のどこに座っているか

楽譜の mp は「やや弱く」と読む。pp、p、mp、mf、f、ff と並べた強弱記号のなかで、p より少し大きく、mf より少し小さい席である。mezzo は「半分」の意で、弱と強のあいだに立っている。

同じ二文字が、別の現場では列の端にいる。手の指の関節は、指先から DIP、PIP、MP と数える。MP は指の付け根で、握りこぶしにしたとき山になる部分だ。ハードウェアの工程表も、EVT、DVT、PVT と続いた最後に MP と書く。どちらも、三つ並んだ略語の最後尾である。

偶然だろうとは思う。ただ、MP が「最後」を意味する何かを持ち込んでいる可能性は、一度は疑いたい。

指のほうを開くと、metacarpophalangeal、中手指節関節という。metacarpus は、ギリシャ語で「次の」を表す meta と、「手首」を表す karpos からできた語で、手首のすぐ次にある手のひらの骨を指す。MP 関節は、その手のひらの骨と指の骨のつなぎ目だ。指先から数えるから最後に来るだけで、手のひら側から数えれば最初の関節になる。量産の MP は Mass Production で、試作、評価、生産検証を終えたから最後に書かれる。同じ最後尾でも、片方は数える向きの結果、もう片方は工程が終わった結果である。席が同じなだけで、座った理由は別だった。

数字との並び方も、業界で揃っていない。写真では 50MP のように数字が前に付き、1MP が約100万画素になる。トランスフォーマーのマスターピースは、2003年の MP-01 コンボイから MP-56 まで、番号が後ろに続く。化学の mp は融点で、小文字のまま、測った温度が後に続く。小文字で書くのは、音楽と化学の二つだ。

ゲームの MP は、HP と組になって画面の隅に並ぶ。体力が尽きれば倒れ、MP が尽きれば魔法が出ない。『ドラゴンクエスト』シリーズでは、MP をマジックパワーの略とする。

並びを持たない MP もある。自衛隊の警務隊は、腕章に「警務 MP」と書く。基地のゲートで、列も番号も添えず、二文字だけで役目が伝わる。研究室の質量測光(Mass Photometry)や、マイクロ波プラズマで元素を測る MP-AES も、装置の名前に埋まっていて、列に並べる相手がいない。

列に座る MP と、座らない MP がいる。関節リウマチの診察では、握りこぶしの山にあたる MP 関節の腫れを、左右の手で見比べる。指先から数えて三つめ、手首の次の骨との継ぎ目である。