用語

ノード

ノード

4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

インフラ・クラウド・セキュリティ

ノード(ネットワーク・クラスタの構成機器)

node

ノードはクラスターによりますが、1つのVMまたは物理的なマシンです。

出典:Kubernetes ドキュメント『ノード』(The Kubernetes Authors)

ネットワークやクラスタにつながる1台ごとの機器・マシンを数える単位。Kubernetesのクラスターは、クラスタを制御するコントロールプレーンと1つ以上のワーカーノードで構成され、ノードは仮想マシンでも物理的なマシンでもよい。

負荷が上がってきたので、ワーカーノードを3台追加してクラスタを拡張した。

AI・データ

ノード(ニューラルネットの計算単位/ブロックチェーンのクライアント)

node

AI・データ分野には別々の意味が2つある。機械学習では、ニューラルネットワークの各層に並ぶ計算単位で、隠れ層のノードはニューロンと呼ばれる。ブロックチェーンでは、ネットワーク内のコンピュータで動くクライアントソフトのインスタンスをノードと呼ぶ。新しいブロックを検証できるだけのデータを保存するものをフルノード、ブロックヘッダーだけをダウンロードするものをライトノードと区別する。

この層は128ノードで構成し、ブロックチェーン側では自前でフルノードを立てて新しいブロックを検証している。

エネルギー

ノード(電力系統上の点)

node

電力系統上の地点で、ノーダル制では地点(ノード)ごとの価格(LMP)で精算される。混雑が発生していなければ地点間の価格は同じになり、混雑があると価格差が生じる。日本では広域的運営推進機関などが、将来の混雑管理手法として海外のノーダル制を調査している。

ノーダル制では、ノードごとに電力価格が異なるため、送電線の混雑が価格に表れる。

半導体・電子部品

プロセスノード(半導体の製造世代)

process node / technology node

半導体の製造プロセスの世代を示す呼び名。「22nm」「14nm」のように書き、数字が小さいほど新しい世代で、集積度は世代ごとにおよそ2倍になるよう、寸法を約70%に縮める慣習で決められてきた。ただしFinFET(立体構造のトランジスタ)が入った22nm世代以降は、数字が実際のトランジスタ寸法と一致せず、各社の世代名として使われている。

この新製品は、前の世代より微細なプロセスノードで製造される予定だ。

128ノードの層と128ノードのクラスタ

「128ノード」と書かれていたら、それは何だろうか。

ニューラルネットワークの話なら、層に並んだ128個の計算単位で、1つ1つは数値を扱う小さな部品だ。クラスタの話なら、128台のサーバーである。Kubernetesのドキュメントは、ノードを「ノードはクラスターによりますが、1つのVMまたは物理的なマシンです。」と書いている。仮想マシンでも物理機器でも、数えるときはノードになる。

電力の世界では、さらに違う。系統を点と線で描いたときの点がノードで、機械ではなく図の上の地点だ。それでいて、ノーダル制ではこの点ごとに電力の価格が決まる。数値の部品、サーバー、価格のつく地点。これだけ中身が違うのに、同じ語で通じてしまうのはなぜか。

英語の node はラテン語の nodus、結び目から来ている。語源辞典のEtymonlineによると、英語では15世紀初めに「結び目、こぶ」の意味で入り、天文学で惑星の軌道が黄道と交わる点を指す用法が1660年代から記録されている(年代は同辞典の記述による)。縄そのものではなく、縄どうしが結ばれる場所に付けられた名前だった。

クラスタのサーバーも、層の計算単位も、系統の点も、線が集まる場所だという一点で同じなのだ。ノードという語は、それが何でできているかを言わない。どこで結ばれているかだけを言う。中身が機械でも数値でも地点でも、同じ語で呼べるのはそのためだろう。

現場では、同じ「点」が業界ごとに違う仕事をしている。ITインフラでは、点は数える単位だ。「ワーカーノードを3台追加した」と言えば、増設の規模がそのまま伝わる。AIでは、点は計算の最小の部品で、層の幅は「128ノード」のように数える。ブロックチェーンのノードは、ネットワーク内のコンピュータで動くクライアントソフトの1つ1つで、フルノードなら新しいブロックを検証できるだけのデータを持つ。電力では、点は価格の単位になる。送電線が混雑すれば、ノードごとの価格に差が出る。

ただ、この読みに乗らないノードが一つある。半導体のプロセスノードは、「14nm」のように書く製造世代の呼び名で、線が集まる場所ではない。22nm世代以降は、数字が実際のトランジスタ寸法と一致せず、各社の世代名として使われている。結び目の語が、なぜ世代を数える語になったのかは、確かめられていない。

冒頭の「128ノード」に戻ろう。クラスタなら128台を用意する費用の話になり、層なら128個の数値を並べるだけの話になる。数字は同じでも、重さが違う。結び目の名を借りた語は、結ばれている場所までは教えてくれるが、そこに何があるかは文脈に任されている。