略語

OA

オーエー

6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

IT・システム開発

オフィスオートメーション

Office Automation

パソコン、コピー機、ファクシミリ、電話などの機器で、事務所の書類作成や連絡・集計といった事務作業を省力化・自動化すること。1980年代前半に企業で進んだ考え方で、現在は「IT化」と呼ばれることが多い。現場では、プリンターやコピー機などの事務機器そのものを「OA機器」と呼ぶ。

総務部でOA機器の入れ替えを検討し、複合機のリース契約を見直した。

放送(テレビ・ラジオ)

オンエア(放送)

On Air

番組を電波に乗せて放送すること、また放送中であることを指す。テレビでは、過去に放送した映像を流すときに、元の放送年月日を示すテロップとして「OA」と表示することがある。

この回は来週月曜にOAされる予定なので、金曜までに編集を終わらせよう。

学術・研究

オープンアクセス

Open Access

インターネットの特性を生かして論文を誰でも自由に利活用できるように

出典:内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局「日本の学術論文等のオープンアクセス政策について」

学術論文を、読者が料金を払わずインターネットで読める状態にすること。著者の最終原稿を大学の機関リポジトリ(研究成果を保管・公開する仕組み)に載せる方式をGreen OA、掲載料(APC)を払って出版社版を公開する方式をGold OAと分ける。日本では2024年に即時オープンアクセスの基本方針が決まった。

助成金の条件に合わせて、採択された論文をOAで公開することにした。

証券・投資

オーバーアロットメント

Over-Allotment

株式の募集・売出しで需要が予定株数を上回ったとき、主幹事証券会社が大株主などから株を一時的に借りて、同じ条件で追加販売する仕組み。追加分は募集・売出し株数の15%が上限。その後市場価格が下がれば、主幹事は市場で株を買い付けて返す(シンジケートカバー取引)ため、株価を支える効果が期待される。

公募増資の価格決定と同時に、OAによる売出株数も開示された。

スポーツ・フィットネス

オーバーエイジ枠(サッカー五輪代表)

Over Age

男子サッカーの五輪代表は1992年のバルセロナ五輪からU-23(23歳以下)の年齢制限があるが、その上限を超える24歳以上の選手を最大3人まで加えられる。この枠を「OA枠」と呼び、1996年のアトランタ五輪から採用されている。

五輪代表は、守備の要としてOA枠で海外組の選手を呼ぶ方針だ。

医療・医学

変形性関節症

osteoarthritis

関節の軟骨がすり減って痛みや変形が出る病気、変形性関節症(osteoarthritis)の略。整形外科の論文などで使われ、膝の場合は「膝OA」、早期のものは「早期膝OA」と書く。

膝OAの患者に対し、運動療法と体重管理を指導した。

機器、枠、公開と、OAは後ろの語に頼る

総務部の「OA機器」はコピー機や複合機で、五輪代表の「OA枠」は選手の席だ。同じ二文字なのに、後ろに付く語がまるで違う。後ろの語がなければ、OAだけでは何も決まらない。

先に出てきたのは機器のほうである。Wikipediaによれば、事務作業を機械で自動化する発想は1970年代に生まれ、1980年代初頭にOA化が盛んに唱えられた。1980年代にはオフィスコンピュータの導入で業務の自動化が進んだという。ただし、この記事は日本に限った時期を述べているわけではない。

枠のほうは、サッカーの年齢制限から生まれた。男子の五輪代表には1992年のバルセロナ大会からU-23の制限があり、その上限を超える選手を最大3人まで加えられる。オーバーエイジの枠は、1996年のアトランタ大会から採用された。日本はこの大会では使わなかった。現代ビジネスの記事によると、日本が初めて使ったのは2000年のシドニー大会で、GKの楢崎正剛、DFの森岡隆三、MFの三浦淳寛の3人を呼んだ。

そして2002年2月14日、ブダペストでオープンアクセスの宣言が出た。文献が「free availability on the public internet」、つまり公開されたインターネット上で自由に手に入る状態を指す、と定義している。ここでOAは、機械でも人でもなく、論文の読まれ方の名前になった。

並べると、機器は1980年代、枠は1996年、公開は2002年と、少しずつ時期がずれる。放送の「オンエア」、証券の「オーバーアロットメント」、整形外科の「変形性関節症」がいつOAと略されるようになったかは、確かめられていない。

助成金の申請書に「OAで公開する」とあれば、機器でも選手でもなく論文のことだ。手元の書類の言葉が、二文字の意味を決める。