略語

オペ

オペ

3つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

医療・医学

手術

Operation(ドイツ語)

手術を指す医療現場の略語。ドイツ語の Operation に由来し、「オペ室」「緊急オペ」「オペ前」のように、手術そのものや手術室まわりの流れを言うときに使う。看護師や医師が申し送りや予定表で日常的に使う。

午後から緊急オペが入ったので、病棟の検査は夕方にずらします。

銀行・融資

公開市場操作

open market operations(オペレーション)

「オペレーション」の略で「公開市場操作」のこと。

出典:金融・証券用語解説[オペ](大和証券)

日本銀行が短期金融市場で国債や手形などを売買・貸付し、金融機関の日銀当座預金(資金量)を増減させる調節手段。資金を出す「買いオペ」「資金供給オペ」と、吸い上げる「売りオペ」「資金吸収オペ」に大別される。市場関係者は日々の金利の動きとあわせてオペの結果を見る。

日銀が資金供給オペを実施し、短期金融市場に資金を供給した。

演劇・舞台・伝統芸能

オペレーター(照明・音響の操作担当)

operator

舞台で照明や音響の調整卓を扱い、プランナーの案どおりに本番で操作する人。「照明オペ」「音響オペ」のように使う。プランや指示を出す側と、現場で機材を動かす側を区別するときの呼び方で、キュー(操作の合図)に合わせて明かりや音を切り替える。

照明オペはキューシートの17番で場面転換のフェードを入れてください。

手術と操作に訳し分けられた語が、またオペに戻る

「緊急オペが入った」「買いオペを実施した」「照明オペをお願いします」。病院と金融市場と劇場で、それぞれ当たり前に聞こえる三つの文だが、オペの指すものは互いにまったく違う。それでも三つとも、operation か operator の頭を切り取った形になっている。

語源辞典 Etymonline によれば、英語の operation はラテン語の operatio(働くこと)に由来し、その元は operari(働く、労する)、さらに opus(仕事、作品)にさかのぼる。外科手術の意味は1590年代に確認できるとされ、軍事上の「作戦」の意味は1749年までに現れる。もとは「何かを働かせること」くらいの広い語で、手術はそのなかの一つの用法として育った。

日本語は訳を割って受け取った

日本語では、この系統の語が場面ごとに別の訳になった。身体に手を入れる operation は「手術」。日本銀行が短期金融市場に資金を出し入れする open market operations は「公開市場操作」。舞台の operator は、照明や音響の調整卓を扱う「オペレーター」。手術と操作は、漢字で書けば似ても似つかない。

ところが現場では、それぞれがまた同じ「オペ」に縮む。コトバンクが載せる辞書の記述では、医療の「オペ」はドイツ語の Operation に由来する。一方、金融の「オペ」は英語の operations で、大和証券の用語解説は「「オペレーション」の略で「公開市場操作」のこと」と説明している。源がドイツ語と英語に分かれているのに、カタカナの短縮形は一致した。

前に付く語が業界を決める

金融のオペは「買いオペ」「売りオペ」「資金供給オペ」のように、資金を出すか吸い上げるかを示す語を前につけて使う。医療の「緊急オペ」、舞台の「照明オペ」「音響オペ」も同じで、前の語がなければ何の話か決まらない。

冒頭の三つの文に戻ると、日銀のオペの対象は金融機関の日銀当座預金、緊急オペの対象は患者の体、照明オペの前にあるのはキューシートと調光卓である。