OT
オーティー
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
作業療法士
Occupational Therapist
厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。
病気やけがで日常動作が難しくなった人に、食事・着替え・家事・仕事といった「生活の動作」を取り戻させる訓練を行う国家資格の専門職。医師の指示のもと、手工芸や作業活動を使って応用的な動作能力や社会への適応力の回復をはかる。作業療法そのものも略して OT と呼ぶ。病院のリハビリ科のほか、介護施設や訪問リハビリでも働く。
退院後に自宅で調理ができるよう、OTが台所での動作訓練を始めた。
制御技術・運用技術
Operational Technology
工場やプラント、ビル設備などで機械や生産ラインを監視・制御するハードウェアとソフトウェアの技術。事務用の情報システム(IT)と対比して使われる。近年は制御系がネットワークにつながり攻撃を受けるようになったため、「OTセキュリティ」として情報セキュリティの分野で話題になる。ITが情報の機密性を重んじるのに対し、OTは設備を止めないこと(可用性)が優先されやすい。
工場のネットワークをITとOTで分け、OT側には外部から直接つながらないようにした。
残業・時間外労働
overtime
所定の勤務時間を超えて働くこと、またはその時間。英語圏の勤怠管理や給与計算で使われる略記で、日本でも外資系企業などの勤怠・給与の現場で見かける。法定労働時間を超えた分には割増賃金が発生するため、人事・労務では時間数の管理と手当の計算の対象になる。
今月は繁忙期でOTが増えているので、部門ごとの時間を確認しておいてください。
延長戦(バスケットボール・アイスホッケーなど)
overtime
規定の時間で同点だったときに決着をつけるために行う追加の試合時間。バスケットボールでは5分間を決着がつくまで繰り返し、アイスホッケーではリーグによって人数を減らした5分間のサドンデス(先に得点したほうが勝ち)を行う。スコア表や順位表では「OT」と表記され、延長で決まった試合を示す。
第4クオーターで追いつかれ、試合はOTにもつれ込んだ。
終わりを決めるのは得点差か、法律か
バスケットボールの試合が同点で終わると、5分間のオーバータイムが始まる。それでも同点なら、もう5分。決着がつくまで繰り返す。ルールの上では、延長に回数の上限はない。
勤怠表の「OT」も、同じ overtime の略である。こちらは所定の時間を超えて働いた分を指し、働き方改革関連法の施行(2019年4月、中小企業は2020年4月)以降は、原則として月45時間・年360時間という上限が罰則つきで決まっている。
同じ綴りの延長で、片方には上限がなく、片方には法律の上限がある。なぜだろうか。
スコア表の側から見てみる。延長戦では、両チームが同じ時間を同じだけ使う。どちらかが得点を重ねて差がつけば、そこで終わる。長引いて疲れるのも、双方に同じように降りかかる。終わりの条件が、試合の中に入っているのである。
勤怠表の側は、そうならない。残業を命じるのは会社で、その時間を差し出すのは働く人だ。差がつけば終わる、という仕組みは使えない。会社が「まだ終わらない」と言えば、終わりを決める者がいなくなる。だから終わりを外から決める必要が出る、と私は考えている。この説明は二つの仕組みの違いから私が組み立てたもので、上限が設けられた経緯を直接確かめたものではない。
確かめられる事実は、上限の中身のほうにある。限度時間を超えて働かせるには、特別条項つきの36協定が要る。それでも、年720時間、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)が限度とされる。さらに、法定労働時間を超えた分には25%以上の割増賃金を払う決まりがある。勤怠のOTは、長引くほど時間も金額も数えられ、枠に収められていく。
接戦の末にスコア表の隅へ「OT」と書き添えられる試合と、月末の勤怠表で「OT 38.5」と入力された一行。同じ二文字の延長は、一方が得点差で、もう一方が法律の数字で終わる。