PP
ピーピー
8つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
ピアニッシモ(とても弱く)
pianissimo
楽譜に書く強弱記号で、p(ピアノ=弱く)よりさらに弱く演奏する指示。小文字で書く。さらに弱くしたいときは ppp のように p を重ねる。
終結部の pp は、客席に息づかいが聞こえるくらいの弱さで入ってください。
ポリプロピレン
polypropylene
プロピレンを重合してつくる熱可塑性の汎用樹脂。比重が約0.9と汎用樹脂のなかで最も軽く、耐薬品性や電気絶縁性に優れる。一方で低温では脆く、熱膨張が大きい。容器、日用品、自動車部品、フィルムなどに幅広く使われる。
この容器は PP 製なので、電子レンジで温めても変形しにくい。
PP加工(PP貼り)
polypropylene film lamination
印刷物の表面にポリプロピレンのフィルムを熱圧着して貼る表面加工。耐水性や耐摩耗性が増し、光沢(グロス)やマット、ビロードのような手触りなど仕上がりを選べる。ラミネートのうちパウチ加工と違い、フィルムの縁が残らない。
カタログの表紙はマットPP加工にして、手触りを落ち着いたものにします。
PP(治験の解析対象集団)
per protocol
臨床試験の統計解析で、実施計画書(プロトコル)に沿って治療を受け、重大な逸脱のない被験者だけを対象にする解析(PPS)。理想的な条件での効果を見るもので、無作為化した全員を対象にするITT解析と並べて、結果の安定性を確かめるのに使う。
主解析はFASで行い、PP解析で結果が変わらないか確認します。
運賃元払い
prepaid
貿易の運送書類(船荷証券やAWB)で、運賃を荷送人(出荷側)が出発地で支払い済みであることを示す表示。受取人が着地で運賃を払う場合はCC(collect=着払い)と書く。フォワーダーとのやりとりでも運賃条件を「PP/CC」と略して確認する。
B/Lの運賃欄は PP になっているので、着地での運賃請求は発生しません。
パワープレー(アイスホッケー)
power play
アイスホッケーで相手にペナルティが科され、人数が多い状態で攻める時間帯。試合記録やスタッツ表では PP と略し、PP中の得点やアシストの合計を PPP と書く。守る側の人数が少ない状態は SH(short-handed)と呼ぶ。
今日の試合は、第2ピリオドの PP で先制点が決まった。
脈圧・食後・産後
pulse pressure / postprandial / postpartum
診療記録で使われる略語で、文脈によって意味が変わる。循環器やバイタルの記録では、収縮期血圧と拡張期血圧の差である脈圧(pulse pressure)を指す。英語の医学略語としては、食後(postprandial)や産後(postpartum)の意味でも使われるため、どの科の記録かで読み分ける。
血圧が150/60なので、PP(脈圧)は90と大きめです。
パワーポイント(技の使用回数)
Power Point
ポケモンシリーズで、それぞれの技を使える残り回数を表す数値。技を1回使うたびに1減り、0になった技は選べなくなる。覚えている技すべてのPPがなくなると、「わるあがき」という技しか出せなくなる。
強い技はPPが少ないから、ボス戦まで温存しておこう。
Pを重ねると弱くなる音楽、数えるホッケー
楽譜の pp は、p を二つ並べて「とても弱く」と読む。ppp ならさらに弱い。文字が増えるほど音が小さくなるのだから、考えてみれば妙な記号である。
p はイタリア語の piano(弱く)の頭文字だ。pp は pianissimo、ppp は pianississimo の略で、どちらも piano に最上級の語尾 -issimo をつけた形にあたる。ppp は、その最上級をさらに重ねたものだ。ところが pianissimo の頭文字は p ひとつしかない。つまり pp は綴りを縮めたものというより、弱さの段階を p の数で数える書き方である。
同じ PP でも、ほかの業界はそうなっていない。ポリプロピレンは poly と propylene、アイスホッケーのパワープレーは power と play、治験の解析対象集団は per と protocol、血圧の脈圧は pulse と pressure、ポケモンの技の残り回数は power と point。二語の頭文字がたまたま P どうしだっただけで、並びに意味はない。
と言いたいところだが、ポリプロピレンだけは少し違う。poly は「多数」を意味する接頭辞で、プロピレンの分子を多数つなげた(重合した)ものがポリプロピレンである。1954年3月11日、イタリアのナッタ(Giulio Natta)が結晶性の高いアイソタクチックポリプロピレンの合成に成功し、1957年にはモンテカティーニ社が工業規模の生産を始めた。ナッタは1963年、触媒の功績でツィーグラーとノーベル化学賞を分けあっている。頭文字が重なったのは偶然でも、PP の中身では本当に同じものが重なっている。
ホッケーのスタッツ表にも、P を三つ重ねた PPP がある。こちらは PP(パワープレー)中の得点とアシストの合計だ。ppp と違って段階を表すのではなく、数えた結果を書く欄になる。
診療記録の PP も、計算の結果を書く欄である。血圧が150/60なら、収縮期血圧と拡張期血圧の差で PP(脈圧)は90になる。ただし医療の PP は脈圧に決まっているわけではなく、食後(postprandial)や産後(postpartum)の意味でも使われる。どの科の記録かで読み分けるしかない。
ゲームの PP は、数えるというより減っていく数字だ。ポケモンでは技ごとに使える回数が決まっていて、1回使うたびに1減り、0になるとその技は選べなくなる。覚えている技すべての PP が尽きると、出せるのは「わるあがき」だけになる。
楽譜の ppp は、客席が息をひそめる最も小さな音量を求める。スタッツ表の PPP は、数字が大きい選手ほど試合を動かしたことになる。ゲームの PP は、数字が小さくなるほど手札が尽きていく。同じ P の並びで、文字が増えるほど音が小さくなるものもあれば、数字が増えるほど貢献が大きくなるものも、数字が減るほど選べる技が減るものもある。