略語

PS

ピーエス

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

素材・化学

ポリスチレン

polystyrene

略称PS.スチレンの重合体で,スチレン樹脂,スチロール樹脂ともいう.

出典:化学辞典 第2版(森北出版)/コトバンク

スチレンを重合させた透明な熱可塑性樹脂の略称で、無色透明の熱可塑性樹脂で、容器などの日用品に広く使われる。発泡させた発泡ポリスチレン(発泡スチロール)は、断熱材や緩衝材にもなる。

この容器の材質表示にPSとあるので、ポリスチレン製だとわかります。

建設・建築

パイプスペース

pipe space

マンションなどで、給排水管やガス管などの縦配管をまとめて通す専用の空間を示す。キッチン・トイレ・浴室といった水回りの近くに設けられ、点検口などから配管の維持管理ができる。電気配線用のEPS、空調ダクト用のDSとは役割の違う空間として区別される。

図面のPSの位置が変わると配管ルートも変わるので、設備担当に確認してください。

医療・医学

パフォーマンスステータス(全身状態の指標)

performance status

患者が日常の活動をどの程度こなせるかを0〜5段階で表す全身状態の指標で、がん診療で使う。ECOGのPSが代表的で、0は制限なく活動でき、5は死亡を表す。数字が大きいほど全身状態が悪く、治療方針の判断や治験への参加資格の判断に用いる。

PSが3まで悪化したため、今回は化学療法を見送り緩和ケアを検討する。

自動車・輸送機器

メートル馬力

Pferdestärke

エンジン出力を表す馬力の単位で、ドイツ語のPferdestärke(馬の力)の略。75kgの質量を1秒間に1m持ち上げる仕事率と定義され、約735.5Wにあたる。英米の馬力(HP、約745.7W)よりわずかに小さい。欧州車のカタログなどの出力表記で見られる。

この欧州車のカタログには、出力が200PSと書かれている。

印刷・DTP・デザイン

ポストスクリプト

PostScript

Adobeが開発したページ記述言語で、文字・図形・画像を機種に依存せず同じ形で出力させる。1985年のLaserWriter搭載以降、DTPと商業印刷の標準になった。入稿では、PS対応のRIP(出力用の変換装置)という形で現れる。

入稿データはPSで書き出して、RIPでの出力結果を確認します。

PS3は重く、200PSは強い。括弧に残った馬力

医療の現場で「PSが3まで悪化した」と聞けば、治療を見送る話だとわかる。ECOGのPSは、数字が大きいほど全身状態が悪い。自動車のカタログに「200PS」とあれば、こちらは数字が大きいほど力が強い。同じ二文字で、数の大小が逆の意味になる。

ただ、自動車のPSにはもう一つ、妙なところがある。日本車のカタログの最高出力の欄には、kWを主にして、PSを括弧の中に添えたものがある。古い単位なら消えてしまってよさそうなのに、括弧の中には残っている。

馬力なのだから、どこの国でも同じ値になるはずだ。そう思いたくなる。

ところが、そうならない。PSはドイツ語のPferdestärke、「馬の力」の略で、75kgの質量を1秒間に1m持ち上げる仕事率にあたり、約735.5Wになる。英米のHPは約745.7Wで、PSより1.4%ほど大きい。どちらも馬力と呼ばれながら、数字は合わない。イタリアなどで使われるCV(cavallo vapore)はPSと同じメートル馬力の別名で、数字は合う。ずれるのは英米のHPとの間だ。自動車情報サイト「くるまのニュース」も、PSとHPは算出方法が微妙に違うと書いている。

日本のカタログでkW表記が前に出た理由を、同サイトは1999年に国際単位の表記が義務付けられたことに求めている。1PSは0.7355kWだから、200PSの欧州車は日本のカタログでは約147kWになる。

では、なぜPSは括弧の中に残ったのか。これは推測だが、出力を「何馬力か」で受け取ってきた読者が多く、kWだけでは大きさの見当がつかないからだろう。確かめた事実ではない。

PSという二文字が単位でない場所も多い。マンションの図面でPSと書かれていれば、給排水管やガス管を縦に通すパイプスペースのことで、馬力とは関係がない。樹脂の材質表示のPSはポリスチレンで、無色透明の樹脂だが、発泡させれば発泡スチロールにもなる。印刷の入稿でPSと言えば、1985年のLaserWriter搭載以降、DTPの標準になったページ記述言語PostScriptを指す。

五つの意味のうち、数字を後ろにつけて大小を比べるのは、医療と自動車の二つだけだ。そのうえ向きが逆になる。医療のPSは0に近いほど元気で、自動車のPSは0に近ければ動かない。

カタログの出力欄には、今も「147kW(200PS)」のような並びがある。義務になったのは国際単位のほうで、括弧の中のPSは、おそらく読む人のために残っている数字である。