PT
ピーティー
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
理学療法士/プロトロンビン時間
Physical Therapist / Prothrombin Time
この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
病院では、リハビリを担う国家資格の理学療法士(Physical Therapist)を PT と呼ぶ。医師の指示のもとで運動療法や物理療法を行う職種である。別の意味として、臨床検査の PT はプロトロンビン時間で、血が固まるまでの時間から凝固機能を調べる。抗凝固薬ワルファリンの効き具合は、試薬による差を補正した PT-INR で見る。
PT が歩行訓練を始める前に、PT-INR の結果を確認してください。
パーソナルトレーニング(パーソナルトレーナー)
Personal Training / Personal Trainer
ジムで、トレーナーが会員に個別に指導するパーソナルトレーニングを PT と略す。料金は1回ごとの設定のほか、回数をまとめたパッケージで売られることもある。トレーナーのチームを指して「PT チーム」と呼ぶ使い方もある。
来月から週1回の PT を入れて、スクワットのフォームを見てもらう。
基本語
Preferred Term
医薬品の副作用報告や治験で使う国際医薬用語集 MedDRA の階層の一つ。同じ概念を指すさまざまな語(LLT)のうち、その概念を指す代表の呼び方にあたる。個々の症例は最下層の LLT でコード化し、副作用の件数の集計はふつう PT の単位で行う。MedDRA は SOC・HLGT・HLT・PT・LLT の5階層で、PT はその4段目にあたる。
LLT でコード化した有害事象を、PT ごとに件数を集計した。
計器用変圧器
Potential Transformer
受変電設備で、高い電圧を電圧計や保護リレーが扱える低い電圧に下げる機器。日本では二次側を110Vとするのが一般的で、電流を測る CT(計器用変流器)と対で使い、両者をまとめて計器用変成器(VCT)と呼ぶ。近年は VT(Voltage Transformer)の呼び方も広く使われる。
高圧受電盤の PT の二次側電圧を測って、メーターの指示と合わせる。
PTの秒数は病院ごとにずれ、資格は全国で同じ
同じ血液を二つの病院で測ると、プロトロンビン時間(PT)の秒数が合わないことがある。測り方が雑なのではない。血が固まる反応を起こす試薬の感度が、製品ごとに違うのである。
この検査は1935年にアーマンド・クイックが考案した(資料によっては1932年)。試薬による差を補正する INR(国際標準比)を WHO が導入したのは1983年(資料によっては1982年)で、物差しがそろうまでに50年前後かかっている。やり方はこうだ。試薬の感度を標準品と比べて国際感度指数(ISI)で表し、患者の PT と正常値の比を、ISI の回数だけ掛け合わせる。ワルファリンの効き具合を病院が違っても同じ数字で読めるのは、この換算のおかげである。
同じ病院の廊下で「PT」と呼ばれるもう一人は、事情がまるで違う。
理学療法士である。資格を定めた理学療法士及び作業療法士法は、1965年6月29日に公布された。名称、免許、業務が一本の法律でまとめて定められ、第1回の国家試験は翌1966年に行われている。検査の PT が半世紀近くかけて物差しをそろえたのに対して、人の PT は法律で一度にそろった。
そろえる仕事は、病院の外の PT にもある。製薬の PT は、副作用報告に使う国際医薬用語集 MedDRA で「Preferred Term(基本語)」と呼ばれる階層だ。同じ概念を指す語がいくつもあるなかから、代表の呼び方として決められたものが PT になる。電力の PT(計器用変圧器)は、高い電圧を計器が読める低い電圧、日本では二次側110Vに下げる機器で、近年は VT と呼ばれることも多い。
ばらつくものを一つの基準に寄せる。検査値も、資格も、副作用の呼び名も、そこは同じだ。例外はスポーツの PT、つまりパーソナルトレーニングで、こちらは基準をそろえるどころか、一人ひとりに合わせて組み直す。
カルテに「PT が歩行訓練を始める前に、PT-INR の結果を確認してください」と書いてあれば、一文の中に1965年の法律と1980年代の換算式が並んでいる。