ラック
ラック
5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
サーバーラック・19インチラック
server rack
サーバーやネットワーク機器をネジ止めして縦に積むための枠。幅19インチ、高さは1U(1.75インチ=44.45mm)の倍数というEIA規格があり、「EIA規格準拠」とうたう機器なら規格どおりのラックに取り付けられる。奥行きには規格がなく、機器とラックの奥行きの相性は別に確かめる必要がある。
このラックは空きが4Uしかないので、2Uのサーバーを2台までしか増設できない。
保管棚・パレットラック
storage rack
倉庫で商品や資材を保管する棚。1段あたりの耐荷重で軽量・中量・重量に分けて選ぶのが基本。パレットごと棚に入れる大型のものをパレットラックと呼び、こちらはフォークリフトでの入出庫が前提になる。段数や間口の取り方が倉庫の保管効率を左右する。
重量物は重量ラックの下段に、ピッキング頻度の高い小物は軽量ラックに置く。
機材ラック・ラックケース
rack case
パワーアンプ、イコライザー、マイクプリアンプなど、幅19インチで作られたラック型の音響機材をまとめて収めるケースや、そのように積んだ機材一式。持ち運びと保護を兼ね、ケースは1Uから24U程度まである。ハーフラックの機器はマウントパネルで取り付ける。積み方によってジャックに手が届かなくなるため、並べ方を先に考える。
本番ではパワーアンプとプロセッサーを一つのラックにまとめて、そのまま会場に運び込んだ。
ラック(ラックギア)
rack (gear rack)
片側に歯を切った細長い棒状の歯車。小さな丸い歯車(ピニオン)とかみ合わせ、ピニオンの回転を直線の動きに変える。この組み合わせをラックアンドピニオンと呼ぶ。かみ合う大小の歯車のうち大きいほうの直径を無限に大きくしていくと、最後はほぼ直線になる、という見方で説明されることもある。
モーターでピニオンを回し、かみ合ったラックを動かして、フォークリフトのように腕を上下させる。
ラック(ビリヤード)
rack (billiards)
ブレイク(最初の一撃)の前に的球を並べて固めるための枠。また、その枠で並べた球の状態や、枠に球を詰める動作も指す。8ボールや14-1では15個を三角形に、9ボールでは9個をひし形に並べ、先頭の球をフットスポット(台の定位置)に置く。9ボールでは1ゲームを「1ラック」と数える。
ラックをきつく詰めないと、ブレイクで球がうまく散らない。
ラックの空きは4U、勝負は1ラック
「このラックは空きが4Uしかない」と言われたら、2Uのサーバーは2台まで増やせる。3台目は入らない。4Uは177.8mmしかない。
空きをセンチやミリではなくUで言うのは、機器の高さがすべて1U(1.75インチ=44.45mm)の倍数で作られているからである。サーバー室のラックは、この1Uを縦に積んだ目盛りでできている。
音響のラックケースも同じ目盛りを使う。パワーアンプやイコライザーなど、幅19インチの機材を収めるケースは1Uから24U程度まである。24Uなら約1.07mだ。幅が半分のハーフラックの機器は、マウントパネルに載せて1台分の幅に合わせる。ここでも数えるのはUと幅で、機材の重さではない。
倉庫のラックは、数える物差しが変わる。保管棚は1段あたりの耐荷重で軽量・中量・重量に分けて選ぶ。パレットごと入れる大型のものはフォークリフトで出し入れするので、段数と間口の取り方が保管効率を左右する。重い荷を下段に、よく拾う小物を軽量ラックに置く、という使い分けも、強さの区分があって初めて成り立つ。
ビリヤードでは、ラックが数の単位そのものになる。8ボールや14-1では15個を三角形に、9ボールでは9個をひし形に、枠で固めてからブレイクを打つ。9ボールは1ゲームを「1ラック」と数える。枠を指す語が、そのままゲームの数え方になったのだ。理由は資料で確かめていないが、どのゲームも枠で並べ直さなければ始まらないことが、そう数える背景にあるのだろう。枠に球を詰める動作もラックと呼ぶので、「ラックをきつく詰める」と言えば、枠も動作もひとつの言葉に収まる。
機械のラックだけは、数えるものを持たない。片側に歯を切った細長い棒で、小さな丸い歯車(ピニオン)とかみ合わせると、ピニオンの回転が直線の動きになる。かみ合う大小の歯車のうち大きいほうの直径を無限に大きくしていくと、最後はほぼ直線になる、という見方で説明されることもある。ラックは、歯車の円が伸びきった姿として語られる。
U、段、ゲーム。数え方がこれだけ違っても、同じ「ラック」で話は通じてしまう。通じないのは、4Uの空きに誰かが3Uのアンプを2台載せようとした日だ。その横で別の誰かは、1ラック目の球を並べ直している。