略語

RC

アールシー

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

建設・建築

鉄筋コンクリート(RC造)

Reinforced Concrete

圧縮に強いがもろいコンクリートを、引っ張りに強い鉄筋で補強した構造。柱・梁・床・壁などの主要構造部を一体でつくる工法を「RC造」と呼び、不動産の物件情報や構造図では構造種別の表記として使う。木造や鉄骨造(S造)と並べて区別する。

このマンションはRC造なので、木造より遮音性が高い。

趣味・ホビー・玩具

ラジコン

Radio Control

無線で模型を遠隔操作する趣味・玩具のこと。送信機(プロポ)で車、飛行機、ヘリコプター、船などを動かす。ホビーショップでは「RCカー」「RCヘリ」のように車種名の頭に付けて分野を示す。

週末はRCカーのサーキットでセッティングを試した。

半導体・電子部品

RC回路

Resistor-Capacitor circuit

抵抗(R)とコンデンサ(C)を組み合わせた回路。時定数τ=RCで応答の速さが決まり、遮断周波数は1/(2πRC)で表される。ローパスフィルタやノイズ除去、タイマー、リセット回路などに使う。

ノイズ対策として、入力ラインに簡単なRCフィルタを入れた。

IT・システム開発

リリース候補版

Release Candidate

ベータ版の次、正式版の直前に出す検証用の版。大きな不具合が見つからなければ、そのまま正式版になる想定で、最終的なバグ報告を集める目的で公開する。バージョン番号の後ろに「1.0-rc1」のように付ける。

rc2で重大なバグが出たので、正式版のリリースを1週間延ばした。

航空

レーダー・コーディネーター席(米FAAの管制業務規程)

Radar Coordinator Position

米国の航空路管制で、レーダー席とその補助席のチームに加わる調整担当の席。他の管制機関や隣接セクターとの交通調整を受け持ち、レーダー席が機間隔の維持に集中できるようにする。「コーディネーター」「トラッカー」「ハンドオフ・コントローラー」とも呼ばれる。FAAの規程上の呼称で、日本の管制では一般的な略語ではない。

交通量が増えてきたので、RCを立てて隣のセクターとの調整を任せた。

「ラジコン」は商標で、だから模型店はRCと書く

RCという2文字は、建設なら鉄筋コンクリート、電子回路なら抵抗とコンデンサ、ITならリリース候補版を指し、ホビーではラジコンの略になる。4つ並べると、ホビーのRCだけ、略す前の日本語に持ち主がいる。

ラジコンバスという玩具が、増田屋斎藤貿易(現在の増田屋コーポレーション)から発売されたのは1955年11月とされる。ウィキペディア日本語版『ラジコンバス』は、これを世界初の無線操縦型の玩具として紹介している。中身は火花送信機とコヒーラ検波器を使ったものだ。コヒーラとは、ガラス管に金属粒を封入し、電波を受けると電気を通すようになる検出器のことである。

「ラジコン」という語は、増田屋コーポレーションが商標登録している。ウィキペディア日本語版『ラジコン』によると、商標登録第482788号で、玩具やスポーツ用品など多くの商品が対象になっている。他社はこの語を商品名にできないため、別の呼び方を使うと、同記事は説明する。タミヤは「RCモデル」、京商は「R/Cモデル」、タカラトミーは別に商標登録した「エアロアールシー」。NHKは特定企業の宣伝になるのを避けて、「無線操縦」や「ラジオ・コントロール」と言うという。

日常語として定着した「ラジコン」を売る側が使いにくかったから、模型店の棚には「RCカー」と書かれている。そういう面もある、と記事は読める。ただしこれは記事の説明にもとづく読みで、各社が社内でどう決めたかまでは確認していない。

商標の事情がない3つのRC

では、ほかのRCも同じように、何かを避けた結果の表記なのだろうか。どれも商標とは関係がない。

建設の「RC造」は構造種別の表記で、不動産の物件情報や構造図に、木造やS造と並べて書かれる。電子回路のRC回路では、時定数がτ=RCと書かれる。抵抗値(Ω)と静電容量(F)の積がそのまま秒になり、Rは抵抗Resistor、Cはコンデンサ(容量)Capacitorの頭文字として、式の中で変数名の役目をしている。ITのリリース候補版は、「1.0-rc1」のようにバージョン番号の後ろへ付き、rc2、rc3と数が増えていく。

この3つのRCは、構造の区別、式の記号、版の通し番号として、それぞれの現場で使われている。ホビーのRCは、ラジコンという語を他社が使えなかったことと結びついている。

模型店でRCカーの箱を手に取ると、記事の説明どおりなら、2文字の後ろには増田屋コーポレーションの商標という事情がある。