用語

リール

リール

6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

アウトドア・釣り・キャンプ

釣り用リール

reel

釣り竿に取り付け、道糸(ライン)を巻き取り・繰り出す道具。ハンドルを回して糸を回収し、魚とのやり取りでは糸の出し入れを調整する。糸の出方と巻き方の違いで、スピニングリールとベイトリールなどに分かれる。

軽いルアーを投げるなら、まずスピニングリールを選ぶと扱いやすい。

映画・映像・アニメ

フィルムのリール(巻)

reel

映画フィルムを巻き付ける円盤状の枠、またその1巻分。35mmフィルムの標準的な1巻(1,000フィート)は音声付きでおよそ11分で、上映ではこれを2巻分まとめた約20分の巻が多く使われてきた。長編は複数巻をつなぎ、巻の切れ目では映写機を切り替えて上映した。1巻に収まる短い作品は「ワンリーラー」と呼ばれる。現在はデジタル上映が主流になっている。

第3リールの頭出しを確認してから、映写機にかけてください。

音響・レコーディング

オープンリール(テープのリール)

open reel

磁気テープを巻いた軸(リール)をむき出しのままデッキに掛けて録音・再生する方式、またその軸。カセットのように筐体に収まっていない。テープ幅と送り速度を大きく取れるため記録情報量が多く、業務録音やマスターテープに使われてきた。

マスターは昔のオープンリールで残っているので、まずデジタルに取り込もう。

半導体・電子部品

部品の巻き取りリール(テーピング梱包)

reel

チップ部品を凹みに収めたキャリアテープを巻き付けた樹脂製の枠で、表面実装機に供給する単位。コンデンサ・抵抗・ICなどが対象で、テープ幅やピッチは規格で決まる。発注では「リール単位」で数量や最小ロットを数える。

このチップ部品は1リール4,000個単位での手配になります。

Webサービス・SaaS・アプリ

リール(短尺動画機能)

Reels

InstagramやFacebookに用意された短尺の縦型動画の投稿・視聴機能。音源やARカメラエフェクトなどを付けて編集でき、公開アカウントのリールは発見タブにも表示されるため、フォロワー以外にも届く。Instagramでは2020年8月に提供が始まった。

新商品の紹介はリールで出したほうが、フォロワー外にも届きやすい。

遊技・公営競技・盤上遊戯

パチスロの回胴(図柄の回転体)

reel

パチスロ(スロットマシン)で、表面に図柄を並べて回転する円筒状の部品。左・中・右の3本が並び、プレイヤーが停止ボタンを押すと止まって、有効ラインにそろった図柄の組み合わせで役(小役・ボーナスなど)が入賞する。法令上は「回胴」と呼ばれ、1本あたりの図柄(コマ)数は21個までとされる。

左リールにチェリーが止まったので、小役が成立したようだ。

11分の巻から15秒の動画へ

釣具店のリールと、映写室のリールと、パチスロ店のリールと、スマホのリール。巻き取る道具、フィルムの巻き、回る円筒、縦型の短い動画。四つを並べて、同じ語だと言い切れる人は少ないだろう。

語としては、同じ根から出ている。英語の reel は古英語の hrēol にさかのぼり、12世紀より前から「回転して糸などを巻く道具」の意味で記録がある。釣り竿の糸巻きも、ミシン糸の糸巻きも、映画フィルムの巻き枠も、あとから同じ語に収まった。

ただ、収まり方は揃っていない。釣りのリールは、糸を巻く側、つまり道具そのものを指す。ところが映画では、枠に巻かれたフィルムのほうをリールと呼ぶ。35mmフィルムの標準的な1巻は1,000フィートで、音声付きなら約11分。長編はこれを何巻もつなぎ、巻の切れ目で映写機を替えて上映した。1巻で収まる短い作品は「ワンリーラー」と呼ばれる。巻いた物の量が、そのまま作品の長さの単位になったわけだ。

電子部品の現場も、数え方は映画に近い。チップ部品を収めたキャリアテープを枠に巻いたものが「1リール」で、発注の数量も最小ロットもリール単位で数える。1リールに何個入るかは部品ごとに違う。ここでも、巻かれた物の量が取引の単位になっている。

では、オープンリールはどちらか。磁気テープを巻いた軸がむき出しのまま、デッキに掛かる。巻かれた物であり、掛ける物でもある。道具と中身の区別が、いちばん曖昧な例だろう。

パチスロのリールは、そのどちらでもない。法令上は「回胴」と呼ばれ、表面に図柄を並べた円筒が左・中・右に3本並ぶ。1本あたりの図柄は21個までと決まっている。プレイヤーが停止ボタンを押すと止まり、有効ラインにそろった組み合わせで役が入る。糸もフィルムもテープも、巻かれているものはない。残っているのは、回るという部分だけだ。

そこで最後の一つ、InstagramやFacebookのリールに戻る。2020年8月に日本でも始まったときの上限は15秒だった。画面のどこにも、巻かれたものはない。回胴にしても巻かれてはいないが、あちらは少なくとも回っている。それでも「巻」という名前が選ばれた。なぜその名前になったのか、事情はわからない。ただ、フィルムの巻が約11分で一つの作品になり、1巻で終わる短編にわざわざ名前が付いていたことを思えば、「巻き一つ分の短い映像」という感覚が残っていたとしても不思議はない。これは推測にすぎない。

11分と15秒では、2桁近く違う。それでも、指で縦に送られていく画面の動画は、一巻ずつ取り替えられていく映写室の巻と、どこか似た動きをしている。