RM
アールエム
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
レベニューマネジメント(収益管理)
Revenue Management
需要予測をもとに客室の価格や販売の仕方を調整し、宿泊施設の収益を最大化する手法。需要の高い日は料金を上げ、低い日は下げるといった価格設定のほか、予約経路や最低泊数の条件などで販売を制限する調整も含む。ホテルではこれを担うレベニュー・マネージャーという肩書も見られる。
来月の連休は予約の入りが早いので、RMの一環で最安プランの販売を止め、料金を引き上げた。
リレーションシップマネージャー(顧客担当)
Relationship Manager
銀行で法人や個人の顧客を受け持ち、継続的な対話で資金ニーズや経営課題を把握して、融資・資金調達・外国為替などの金融サービスを組み合わせて提案する担当者。外資系銀行の法人RMは、プロダクトの専門担当や海外拠点と連携して提案をまとめ、与信分析や担当先のポートフォリオ管理も受け持つ。
新規の資金調達案件は、担当RMがプロダクトの専門担当を連れて先方の財務部門に提案した。
最大反復回数(筋トレ:1RM=最大挙上重量)
Repetition Maximum
筋力トレーニングで、ある重量を正しいフォームで何回挙げられるかの限界を示す単位。1RMは1回だけ挙げられる最大重量で、最大筋力の指標になる。3RM・5RMのように回数を付けて、その回数が限界になる重量を表すこともある。トレーニングの負荷は1RMに対する割合で決めることが多い。
ベンチプレスの1RMが80kgなので、今日は75%の60kgで8回を3セット行う。
原材料
Raw Material
生産管理や在庫管理で、仕入れて加工に使う前の材料を表す在庫区分の略記。まだ製造指示(ジョブ)に払い出していない材料で、仕掛品(WIP)や完成品(FG)と区別して数える。払い出し(出庫)の処理をすると、RMからWIPへ移る。保管場所も分けて管理されることが多い。
在庫表のRMの欄は、工場の倉庫にある未使用の鋼板の数量を示している。
RMの四つの顔:料金表、取引先、バーベル、鋼板
「RM募集」とだけ書かれた求人票がある。募集元がホテルなら、毎朝開くのは客室の料金表だろう。銀行なら、取引先の一覧のはずだ。同じ二文字でも、ホテルでは Revenue Management、銀行では Relationship Manager で、見ているものがまるでちがう。
ホテルのRMは、需要予測をもとに客室の料金や販売条件を動かす手法である。ただ、この言葉は最初からホテルのものではなかった。英語版 Wikipedia の「Revenue management」の項によると、1980年代初頭に People Express のような格安航空会社が急成長し、American Airlines は1985年に「Ultimate Super Saver Fares」を打ち出して対抗した。そのとき Robert Crandall が築いた手法は「yield management」と呼ばれた。名前の最初は、ホテルではなく座席の言葉だった。
ホテルはなぜその名前のまま使わなかったのか。同じ項は、「yield」が航空の用語で、ホテルに必ずしも当てはまらなかったので、Marriott International などが revenue management と呼ぶようになったと書いている。座席を売る言葉を、客室を売る業界が改めたわけだ。呼び替えが何年のことかは、読んだ範囲では確かめられていない。
銀行のRMには、座席も客室も出てこない。人材会社コトラの解説では、顧客と中長期で関係を築き、資金ニーズや経営課題を把握して金融サービスを提案する仕事とされる。外資系銀行の求人では、プロダクトの専門担当と組んで提案をまとめ、担当先のポートフォリオも受け持つ。ホテルの側は日々の料金と販売条件を動かし、銀行の側は顧客を預かる。
どちらも「マネージャー」や「マネジメント」の頭文字だと思っていると、残りの二つに裏切られる。
筋トレのRMは Repetition Maximum、最大反復回数である。1RMは1回だけ挙げられる最大重量で、ベンチプレスの1RMが80kgなら、その75%の60kgで8回を3セット、というように負荷を決める。数字が頭に付くのは、四つのうちこの意味だけだ。そして、ここでの M は maximum、管理ではなく限界を指している。
製造の現場では Raw Material、原材料である。在庫表では、まだ製造指示に払い出していない材料の区分で、仕掛品(WIP)や完成品(FG)と分けて数える。出庫の処理をすると、数量はRMの欄から消え、WIPの欄に現れる。
M は management、manager、maximum、material と、四通りに読まれる。料金表を動かす人、取引先を受け持つ人、バーベルの重さ、倉庫の鋼板が、同じ二文字で呼ばれている。
求人票の「RM募集」を見たら、まず仕事場を確かめたい。そこにあるのが、料金表なのか、取引先の一覧なのかを。